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第五話 商人(キャラバン)と石化した村

昨日投稿するはずが十二時間の遅刻(・ω・`)

今日は仕事があるので、次の投稿は明日か明後日になります。

「すいません、ここを調査しに来た方達ですか?」


 荷馬車集団の一番後ろにいた人に話を聞いてみる。振り向いたのは結構体格の良い、どこかで剣闘士グラデュエーターでもやっていそうな坊主頭のおっさんだ。肌は褐色で、彫りの深い顔に、鼻の上辺りを横に一本傷跡をつけている。


「なんだ? あぁ、貴族の方でしたか。こんな僻地に何か御用向きですかな?」


 声はその体格には似合わない高さだが、不思議と安心感があり、この声じゃなければ合わないと思わせるかのような優しいテノールだった。


「貴族……? あぁ、僕は貴族じゃないんで、敬語で話さなくてもいいですよ。ここに集まってる荷馬車の集団は、何をしに来た方達なのかを聞きたかったんです」


 言われてから、俺の着ている服が前世のモノだったと気づく。素材として近いものを貴族が着ているために間違われたのだろう。


「なんだ、ただのガキだったのか。俺たちは最近起こり始めた怪奇現象に直面した、ただの商隊キャラバンだ。一応生存者がいないか確認してるんだが、噂に聞く限りじゃ生存者は誰一人として確認されてないから、ただの通過儀礼みたいなもんになってるがな」


「そうなんですか……ちょっと見てきますね」


 おっさんに一言告げて村に歩いていくと、そこは地球で見た光景の再現だった。ひとつ違うとすれば、破片が散らばっていないことくらいだ。

 目に入った、石像となってしまった人を神に貰った眼で視てみる。

 入ってくるのは断片的な情報だ。この人が歩んだ記憶が頭の中に入ってくる。石にされる直前の記憶が知りたいと思ったら、その場面の記憶の情報が頭に入ってきた。そこに出てきたのは、人の二倍程の身長がある異形の怪物だった。しかし、その記憶はまるで保存状態の悪いビデオを見ているかのように不鮮明で、フィルターがかかったようにソイツの姿の詳しい部分がわからない。

 その後、何人分かの記憶を覗かせてもらったが、その全てが同じようなものだった。


「やっぱ、そんな簡単には行かないか。ん? あれって騎士か?」


 街の広場の中央に石化した騎士がいた。周りの石化した人々は普通の村人といった風体だし、見たところこの街には騎士が勤めるような場所も見つからない。そのせいで俺の目に止まったのだ。


「うわ、剣が光ってる。ファンタジーだ……」


 騎士と同じく、彼の横に地面に突き刺さる形で落ちている、石化した剣がよく見なければ分からない程の強さで光を放っていた。

 ようやく本当にファンタジーらしい物に遭遇出来た事で、無意味な感慨に耽っている状態から気を取り戻す。改めてそれを視ることにした。

 地面から引き抜き、構えてみる。思ったより軽い。というよりも、軽すぎる。石化してるんだから、少なくともかなりの重さがあると思ったんだが……。見てみると、地面に刺さっていた部分は綺麗な刀身を保ったままだった。軽さゆえにかなりの速度で振れそうだったので、振ってみるとボッという音と共に、石だと思っていた部分が粉になって宙に舞った。中から出てきたのは綺麗な白銀はくぎんの刀身と、それを守るように取り付けられた紺碧こんぺきの柄。鞘がないのが残念だが、物凄く綺麗なロングソードだ。


「ん? あぁ、これ刺さってたの地面じゃなくて何かの土台の上だったのか」


 地面を改めて見てみると、この剣が騎士の持っていたものではなく、元からこの場所に刺さっていた物だということがわかった。刺してあった場所的にこの村の中でのシンボル的な物だったのだろう。


 剣に集中する。


 今日何度目かの莫大な情報の塊が頭の中へと叩き込まれてくる。この剣が生まれた場所、作った人。作られてからの膨大な年月。その間にこの剣を取った、百人を超す人物が使う戦闘時の癖。そして、この剣が持つ能力ちから


「なんだ、これ。なんか情報がバラバラになってるし、一部読み取れないな……」


 まるで文字化けした文でも読んでいるかのような情報が頭に流れてくる。

 集中が足りないと思った俺は指輪を見たときと同じく、剣へと細い一本の糸を穴に通すかのように神経を研ぎ澄まして潜っていく。

 その時、後ろから声がかけられた。


「おう坊主、こんなところにいたのか。そろそろ移動するけど、もし足がないなら乗ってくか?」


 再度流れ込んでくる、先ほどを超える莫大な情報とおっさんの声を最後に俺の意識は途切れた。


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