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プロローグ 怪異と転生

 サイトなどに投稿する物では初めての作品になります。

 異世界モノが好きでずっと読んだり、書いたりしていたのですが、神からのお告げかのように、作品を投稿している夢を見たので投稿に踏み切りました!

 執筆力の低い未熟者の筆者ですが、楽しんで見ていただけるように努力していきますので興味を持った方は是非ご覧下さい!

 人生は理不尽の連続だ。

 この世の中には想像を絶する、悪夢のような現実を体験している者がいる。

 彼は、日本のとある“平和だった”村でそれを体験していた。

 彼は、一般的な日本人の特徴として、黒い髪を持っており、世間ではイケメンと呼ばれる部類に区別される、造形の整った目鼻立ちをしている。服装も白のワイシャツに黒のジーパンという一般的なものだ。

 そんな彼は村の中心とも言える広場で立ち尽くしていた。



「あ……あぁぁ…………」



 地面には無数の欠片が散らばっている。その一つ一つは触ってしまえば、砕けて散ってしまう灰色の物質。だが、その物質を作り出した元となる素材は、多数の細胞により形作られ、弾力を持つモノだった。辺りにある欠片を見れば、誰であろうとソレの元がなんであるのかは用意に想像できる。

 今では灰色の物質となってしまったそれは本来、血が通い、その主の考えた通りに動くことのできた“腕”であった。その他にも脚部や、胴体。そして、何かに怯えるような表情や、決死の形相を浮かべる頭部も散乱している。



「なんで、俺だけ…………?」



 その中で彼は一人、立っていた。

 それは彼にとって最大の幸運であり、最大の不幸。

 その灰色に埋め尽くされた地面の中の一つに、彼が大切に思ってきた家族や友人の“欠片”があるのだ。

 大量の“欠片”の中で最大の不幸に見舞われた彼は一人残されてしまった。しかし、彼を護った最大の幸運により、彼は生き残った。地獄のそこよりもさらに無情な現実の中で彼のみが生き残った。

 通常の者であれば、精神から崩壊してもおかしくはないだろう。



 そう、精神の弱い凡人であったなら



 だが、何の偶然か。生き残った彼は脆弱な精神を持ってはいなかった。目前で起こった全ての現象をその目で捉え、認識する。その全てを飲み込んでなお、その精神は崩壊することなく、在り続けた。

 地獄で肉体的にも、精神的にも生き残ってしまった彼は、一体何を考えたのだろうか。この世界への呪いか。それとも目前で起こった現象を起こした者への復讐か。大切な者達を守ることのできなかった、自身への後悔か。



「なんでこんな事が起こったんだ……?」



 彼が考えたのは、呪いや復讐、後悔といったマイナスの感情ではなく、純粋に何故この様な事が起こってしまったのかという、現象への疑問。



「俺は、らなきゃならない……俺だけは、識っておかなくちゃ……」



 それは、大切な者達から彼に与えられた義務だったのだろうか。彼は識るという、一点のみを求めた。だが、それを知る術を彼は持ち得てはいない。彼が彼自身を縛った鎖でもある、“識る”という行為を実行するには、現実の彼はあまりにも無力なのだ。

 魔法などという万能なファンタジーの存在しない本当の現実リアルでは、情報を知り得る手段として、大部分の一般人はテレビやラジオ、新聞、インターネットなどといったメディアを通して手に入れる。どの国も、本来なら伝えられるべき情報を、“混乱を避ける為”という理由のもとに、伝える情報を取捨選択している。まして、この場には全てが謎の石化物質となってしまった“モノ”しかない。人も家も、何もかもが石らしき“何か”に変わり、少しでも触れれば、どんなものでも粉となって散ってしまうのだ。

 彼はその事実を正確に認識している。“それでも”と、ある種の呪いとも呼べる強迫観念によって、何故今の状況があるのかを識ろうとする。



――――力が欲しいかい?



 直接頭の中に響いてくるような、不思議な残響を残しながらその声は降ってきた。声色では男か女か判断することはできない、中性的なものだ。しかし、その声の調子の軽さからそう歳をとっていないと判断できそうだった。



「力……は要らない。識る事ができればそれだけでいい」



 彼はその声に疑問を感じるが、それよりも先ほど目前で起きた現象を識る事の方が重要だと判断を下し、疑問を断ち切った上で答えた。

 もしこの場に彼以外の生き残りがいたならば、彼が呟く独り言を聞き、この場の光景を目にして、頭が狂ってしまったのだろうと考えただろう。



――――力は要らないのに、事象の本質を識ろうとするのか。面白いな……お前は、何をしてでも事象ソレを識りたいか?



 絶望の地に降るその声は、その場の惨状などまるで意に介していないかの様に、陽気な声で彼に問いかけた。声の主は満足気な声色であり、友人を遊びに誘うかのような気軽さである。

 それは、彼にとっては現状では唯一の“識る”為の道しるべである。これを拒否すれば、恐らくはこの目の前に起きた超常的な現象と、それに関係する情報を手に入れることはできない。それを一瞬で判断すると、彼は答えていた。



「さっきも言ったけど、俺は識らなきゃいけないんだ。その為なら俺は、何をしてでも掴むよ」



 頑なに“識る”という行為のみを追い続けようとする彼の言葉を、降り注ぐ声が満足気な調子で返した。



――――素直でよろしい。んじゃ、サクッと一回死んでくれや


「は……? ――――ッ!?」



 声の意味が分からず、一種の思考停止状態に陥っていた彼の背後でありえない事が起こった。彼の目に映るのは、彼自身の胸から突き出す、雷を帯びた純白の槍。その槍には彼の胸を突き抜けたことによって付着した血が、たっぷりとついている。

 理不尽な、胸を貫く痛みと、彼自身の胸から飛び出る帯電した槍。そうなった原因を知ろうと、彼は振り返ると同時に意識が落ちた。彼が最後に見たのは、微笑みを浮かべながらも悲しそうな顔をした、女性。しかし、その背には人にあるはずのない純白の翼が一対、広げられていた。



「……これでよかったのですか?」



 純白の翼を背に持つ女性――天使は、苦渋の決断を実行したあとのような、疲れた顔で天に問いかけた。



――――あぁ、正常性を失った彼には一度リセットして貰わないといけないからね


「ですが、わざわざ殺さずとも世界を渡らせれば良かったのでは?」



 あくまでも調子を崩さない声に対し、天使は非難じみた目を向け問いかける。それに答える声は、どこまでも陽気であり、どこまでも遊び心を忘れない声だった。



――――それじゃあ、全く面白くないじゃないか


 プロローグはどこで切ろうか迷ったのですが、最終的に転生する直前できることにしました。まだここまでだと「おもしろそう」とは思ってもらえないかもしれないですね……。

 異世界転生チート物として書いていきますが、主人公が本当に強くなるのは大分先になるかもしれません。彼の成長を上手く書けるように頑張っていきます!

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