#9 勝負解禁編8
「へ?」
少年の目が点になる。田河はすかさず言った。
「5なら、1枚私が持っている」
そう言って、田河は自分の手札のうち、1枚を晒して見せた。
ハートの5。
ファイブスクウェアでは1組52枚のトランプを使用しているため、ハートの5が2枚あるということはあり得ない。すなわち、少年のブラフが暴かれた。
「はっはっはー! 簡単に嘘がバレちまったなおい!」
少年は宮沢に盛大に笑われる。…ハッタリなんかするんじゃなかった。
「…4枚チェンジ!」
少年はスペードのKのみを残して、残りは全て捨てた。ブラフが無駄になったのならば、真っ向勝負で行くしかない!
「2枚チェンジ」
田河は手元に3枚残した。フラッシュかストレートができかけているのか、スリーカードか、それともこれもハッタリなのか…。少年には予想ができない。
シャッシャッ、とまた良い音を立ててカードが菊池より二人の元に送られる。この時点でお互いの手元にある5枚ずつのカードで勝負することになる。
「さあ、2人ともカードを開けていきな。一応同時に1枚ずつオープンしていくのがファイブスクウェアでの基本となっているが、必ずしもそうする必要はない。…まあ、今日は基本通りでいいんじゃないか」
宮沢に言われ、2人は1枚目に手を掛ける。
1枚目のオープン。少年は残しておいたスペードのKを開ける。田河はダイヤの8。
2枚目のオープン。
少年はK来いK来い、と念じながらまだ中身の分からぬ2枚目を開ける。中身はクラブの4。田河はスペードのA。
3枚目のオープン。少年の願いもむなしく、中身はスペードのJ。田河はここで先に見せていたハートの5を開ける。
4枚目のオープン。少年は引き続き願いを込めてカードを開ける。中身は、ハートのK。ここで、ようやくワンペアが完成した。ところが、
「クラブの5」
田河が、自分の4枚目のカードを音読する。田河もここでワンペアとなった。
最後の5枚目を同時にオープンする。
田河のカードは、ダイヤの5であった。
「最初の時点で5のスリーカードができていたんですね…」
少年がつぶやく。
「そう。だから君の手元には最高でも5が1枚しかないことは判っていたよ」
田河が静かに言う。
少年は最後の5枚目がKならば同じスリーカードでも数字の大きい少年の勝ちとなったが、そう都合のいいカードが来ることもなく、結果はクラブの6。第1ゲームは田河が先取した。




