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FIVE SQUARE  作者: 藤森慶介
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6/11

#6 勝負解禁編5

「ヒトエちゃん…?」

少年は絶句した。菊池が、ディーラー? 菊池をよく知る少年にも、寝耳に水の事実であった。

少年と菊池の目が合う。

「ナオキ…」

菊池の様子がおかしかった。目にうっすらと涙を浮かべ、明らかに彼女が恐怖におののいているのがうかがえた。


「彼女はね、ディーラー特待生だよ。…入学試験の面接を覚えているか?」

宮沢が口を開ける。

この場にいる2年の全員が思い出した。入試面接であった奇妙な光景―。


「君、ちょっとこれをきってみてくれないかい?」

少年は面接の途中、面接官の教師から一組のトランプを渡された。ジョーカーのない52枚のカード。少年は奇妙に思いながらもカードをきる。

「すまないね。何でもないから気にしなくていいよ。そう、手先の器用さを見るためのものだから」


手先の器用さを見るため、など単なる口実だった。宮沢が真実を語る。

「ファイブスクウェアのディーラーは完全に公平なカード配布と、カード捌きの美しさが必要だ。逆に言えば、その2つさえ満たせばディーラーになれる。3年に一度入学試験の面接で新たなディーラーを選出していたのさ、そして、栄えある20人目のディーラーに選ばれたのが…、彼女だった」

宮沢が菊池を指差す。

「授業料全額免除と引き換えに、3年間ディーラーとしての役目を全うしてもらう。そして彼女は、過去のディーラーと同じように、このファイブスクウェアの『全て』を叩き込まれた。ファイブスクウェアの歴史、存在意義、そして公正に、マシーンのように勝負を進行するという使命―」

少年は菊池の異変が、その教え込まれた「何か」によるものだと悟る。彼女は、何を知ってしまったのか。


「さ、ディーラーとしての初仕事だ。ファイブスクウェア自体も2年ぶりの実施だ。最近誰も勝負吹っかけてくれなくて退屈してたところだ、よろしく頼むわ、菊池さーん?」

「は、はい…」

菊池が弱々しく返事する。


4つの机を並べ、椅子を両サイドに置く。簡素な、バトルフィールドの完成だった。

田河と少年がその椅子に腰掛ける。ちょうど2人との距離が同じになるように菊池が立った。

勝負者がこの2人であることが分かり、菊池はさらに狼狽したようだった。

「まさか、ナオキが、ファイブスクウェアを…?」

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