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FIVE SQUARE  作者: 藤森慶介
2/11

#2 勝負解禁編1

5月28日。東京は水道橋にある私立五条学園の第2パソコン室。二人の男子生徒が書類の作成に追われていた。

「おいアタック! 他の部員はどこ行ったんだ、このクソ忙しい時にっ!」

軟式パソコン部部長の三田はキーボードを猛烈な勢いで叩きまくりながら唸った。

「忙しくなるから今日はみんな来ないんじゃないですか?それに部長が一日踏ん張れば書類完成しますからね。ていうか俺のことアタックって呼ぶのやめてくれますか」少年はモニターから目を離さず三田の言葉に応える。

「おのれーっ!ウチの部員は俺様のこと何だと思ってるんだー!」

「我等がヘタレ部長」

「に゛ゅーん!!」

少年に即答された三田はよく分からない奇声を上げる。

「部長、変な声出してないでとっとと書類仕上げちゃいましょう」

「分かっとるわ児玉清!」

「その呼び方も止めてください…」


コンコン、とドアを叩く音がかすかにしたかと思うと、少年の幼なじみの同級生である菊池が教室に入ってきた。


「ナオキ、例のアレできてる?」

「ああヒトエちゃん、ちょっと待ってて」

少年はそう言うとマウスをカチッと鳴らし、同時に型の古いプリンタがういいーん、と大きな音を鳴らし始めた。

「はい、ちゃんと昨日リストアップしといたよ」

少年はそう言うと、印刷物の束を菊池に渡す。

「サンキュ、ナオキー。あ、三田さん、こんな時に来ちゃってすみません」

菊池が三田に軽く頭を下げる。

「ああ、気にしなくていいよ仁枝ちゃーん。で、それ何印刷したの?」

「山手線沿線のスイーツのお店のクーポンです」

少年が答える。

「へえー、ああ、そう言えば東京ドームのレストランにすっげえジャンボなデザート出してくれるとこあるんだよ。今度俺様と行ってみない?」

「結構です♪」

「うげあ」

三田のお誘いを菊池は一蹴する。


そんな時、ぴんぽんぱんぽーん、と呼び出しのチャイムが鳴った。

「2年9組、菊池仁枝(きくち ひとえ)さん、至急、職員室までお越しください…」

それを聞いた菊池は一瞬、体をびくつかせた。

「ヒトエちゃん…?」

不思議に思った少年が訊く。

「ん、ああ、呼ばれたからいかなくちゃ…、コピーありがとね」

菊池はそう言うと、パタパタと小走りに教室を出ていった。

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