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行灯の昼  作者: 蒲公英
行灯はやわらかに灯る
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4

「真面目に答えろよ。こんなんでも、ビクビクしてんだ」

俺の腕から頭を引き抜いた水元は、手で髪を梳きながら、笑った。

「長谷部君って、やっぱり自分を過小評価し過ぎ。社内で赤丸急上昇の人なのに」

赤丸急上昇……なんかしたか?

「生田さんってもともと、女の子には評判良くないしねー」

あれか?あの一件って、そんなにインパクトでかかったのか?

大体、あれは水元に準えただけで、他の人間のことなんて考えてなかったぞ?


「いや、生田さんはいい人だよ。現場での統率力もあるし、几帳面で」

「そういう問題じゃないの。長谷部君は今、選べる対象が広がってるんだよ」

水元の顔は意外とマジで、ただ、言わんとすることは間違ってる。

もうとっくに選んでいるのだ。

消去法で水元になったわけじゃない。

それに、これは水元からの答えにもなっていない。


「もう一回言い直す。結婚しようよ、水元」

「私、面倒だよ?」

「自分の好きでやることに、面倒って感覚はないもんだ」

答えろよ、水元。一緒に暮らそうって言ってくれよ。

水元は大きく深呼吸して、やっと俺の顔を見た。


「私に、失望しないでいてくれる?」

オトコマエで頭の回転が早くて、責任感が強くて。そんな水元は、ここまで自信がないのだ。

それを知っているのは、俺だけ。

ここまで心を開いて見せてくれるのは、俺に対してだけじゃないか。

「なあ、俺ってそんなに頼りないか?」

水元が静かに首を横に振る。

「返事、くれよ。俺は水元と結婚したい」

「後悔、しないでよっ!」

膝の上に水元の頭が、どさっと倒れこんできた。


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