表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行灯の昼  作者: 蒲公英
いつもの風景
6/77

6

「なんかねー、大人のホーヨーリョクとか言ってたよー」

水元が俺の顔を見て言う。

「誰が、誰を?」

「やーだ。下田さんが長谷部君を、よ。生田さんにぎゃあぎゃあ怒られて、派遣元にまで苦情が行って、自分はまずいことをしたらしいって自覚したとこで、なんか優しい事言ったんじゃないの?」

「いや、特に言ってないと思うけど」

あれが優しいと思えるんなら、ひどい誤解だ。

俺は話を長引かせたくなかっただけだし、彼女自体が派遣解除になっても、実はなんとも思わないと思う。


「長谷部さんは確かに、安心感ありますよね」

ストレートな津田は、お世辞は言えないから、外からはそう見えているのかも知れない。

「ああ、そうそう。困った時の長谷部さん頼み、とか、あるもんなあ」

山口まで合わせる。

同じ会社に困ったヤツが居れば、助けてやりたいと思うのは、俺が甘いんだろうか。

「長谷部君、愛されてるねえ」

水元が笑う。

「おっさんになりかけた男に愛されても、大して嬉しくない」


「あたし、不思議なのよねえ」

野口さんが唐突に俺に向かって言った。

「長谷部さんって、優しいし真面目だし、結婚するには良いタイプなのに、なんで独身なの?女の子の好み、うるさいの?」

顔面と頭の良い男と結婚した人に、そんなこと言われたって困る。

そう言ってくれるなら、野口さんが俺に惚れてくれたら文句はなかったのに。

「派手にアピールする部分が少ないから、気付かれ難いんじゃない?」

水元はウーロン茶なので、結構冷静だ。


俺が何故結婚してないのかの分析なんて、要らないんだってば。

考えてみれば、山口も津田も社内恋愛で、こいつらこそ社外でいくらでも恋愛できそうなのに、近いところで探したもんだ。

水元の離婚した相手は、確か取引先の男だった。

梅割の梅を焼酎の中で潰してみる。

明日の休みは、多分テレビ見て、終わりだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ