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行灯の昼  作者: 蒲公英
唐には変な木が生えている
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2

「お詫びに、肩でもお揉みしましょうか」

サービスの糸川が水元の肩に手を掛けたのを見たとき、あんまり良い気分ではなかった。

「いや、結構。それより、不備をなくしてくれるとありがたいね」

そう言いながら肩を逸らす水元に、ちょっとほっとしてから、疑問に思った。

俺が肩を揉んでやると言っても、水元は肩を逸らすだろうか?

これまで散々、当然のように肩を揉ませてきたのに。


そういえば、水元が肩を揉めと言わなくなったのは、いつからだろう?

少なくとも春にはそれが当然で、下田さんの不首尾のストレスで鉄板みたいになった肩に触った記憶がある。

意外に薄い肩で、パンパンに張っていると、ツボを探すことも難しくなる。

鍼に通ってるって言ったから、少しはマシになってるんだろうか。

なんで、こんなことが気になる?


一緒に出掛けるようになったら、水元の細かい表情が、見えるようになった。

会社で責任者然としているのとは別の、案外とおっとりした素顔がある。

だけど俺が怯むような人間関係は、オトコマエに笑いながら裁いていってしまう。

頭の回転が早いんだな、ケースバイケースってやつができるんだ。

こんな風にじっくりと水元を分析したこともなくて、いろいろな顔があるなぁと思う。

男同士であるなら、仕事の延長で飲みにも行くし、日頃のバカ話で気心も通じる。

表面しか知らなかった人間を、知っていく過程は結構楽しい。

そして、しみじみと損をしてたなぁと思う。

もっと早くに、こんな風に仲良くなっておけば良かった。


水元は、どうなんだろう?

俺以外にも遊び相手が居て、それぞれとこんな風に食事したりバカ話をしたりしてるんだろうか。

その中には、水元を女と認識している男がいるのかも知れない。

何かの拍子にそれが表に出て、水元自身がそう思われることを不快に思わなければ。

……あ、やばい。

水元は、また結婚する気はあると言っていたのだ。

恋愛を拒否するつもりなんて、ないだろう。

何がやばいんだか、よくわかんないけど。


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