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行灯の昼  作者: 蒲公英
忘れてた、かも
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8

「今日は楽しかった!ありがとうね」

乗換駅で元気に手を振る水元に、手を振り返す。

何をしたわけじゃないのに、俺も楽しかったなあ。

水元も同じように楽しんでたなら、また一緒に出かけてもいいな。

楽しめることは、多い方が良いに決まってる。

休みの過ごし方が、ひとつ増えたじゃないか。


いつも通りの日曜日、洗濯と掃除をして、ごろりと横になる。

昨日の方が、疲れが取れた気がしたな。

考えたこともなかったけど、水元も当然今日は休みで、あいつは俺みたいにゴロゴロしてるんだろうか。

重い買い物は手が辛いとか言ってたけど、自転車はないのか?

運動神経がぶっちぎれてるって話だから、乗れなかったりして……まさかね。

気がつくと前日の外出を反芻していて、自分が普段どれほど退屈しているのか、自覚した。

次はどこに誘おうかと考えてしまう程度には。


一緒に出歩く女の友達ってのを今まで持たなかっただけで、他の人は普通にやってることなんだろう。

俺に積極的に近付いてくる女は居たことがなかったし、俺は俺で慣れないものだから、どうしても緊張してしまう。

水元に近付く男が多いのか少ないのかなんて、考えたこともなかったけど、一回結婚してるんだから、確実に水元を女として見る男がいるわけだ。

そういう意味では、水元は俺にとって貴重で稀有な存在だ。

だからってわけじゃないけど、少なくとも大事に考える対象ではある。


「土曜日はどうもー」

月曜の朝、かろやかに俺の目の前を通り過ぎた水元は、いつもの水元だ。

堅く考えることはないんだな。社内で知り合っても趣味で知り合っても、友達は友達だ。

そう思えば、次も気楽に声を掛けられる。

「今度は、水元のオススメの昼メシで行こう」

次に声をかけたとき、水元はかなり驚いた顔をしていた。


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