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行灯の昼  作者: 蒲公英
忘れてた、かも
34/77

6

結果的には親子丼は、美味しいには美味しかったんだけど、俺の好みとはちょっと違った。

だけど「どうだった?」なんて嬉しそうに言う水元に、それを言うのも悪い気がして、「旨かったよ」とだけ言った。

「何?それだけ?つきあってくれないわけ?」

本気で一緒に行こうとしてたんだな、こいつ。

思わず、顔を見返す。

「お昼ご飯食べるためにだけ、ひとりで出掛けたくないんだもん。行動範囲、狭くなる一方」

なるほど納得。俺もずいぶん狭くなったもんな。


「あ、じゃあさ、神田にすっげー旨い天丼がある。しかも極安」

「天丼も好き!胡麻油?」

「そうそう。神保町の駅のすぐ近く」

「じゃあ、古本屋めぐりもすぐだね」

そんな風に、あっさりと約束は出来上がった。

気を張らずに済むのは、相手が水元だからだ。

約束したのが野口さんだったりしてみろ、前の晩から緊張するから。


ビジネス服以外で会ったことなんて、なかったな。

俺は普段からスーツじゃないから、違和感ないだろうけど。

あ、結構ワクワクしてるかも。

下田さんの時は気が重かったのに。

相手のペースがわかってて、自分のペースと合わせてくれることも知ってて、すっごい気楽。

ここのところ友達とも飲んでないし、休日はゴロゴロして、たまった洗濯すると終わっちゃうし。

たまにはいいね、こうやって出掛けるのも。


土曜日の午前の遅い時間に待ち合わせた水元は、普通にジーンズ姿だった。

予測外に女っぽかったり肌を露出してたりしたら、相手が水元でもちょっと引けちゃうかも知れないけど、これなら全然問題ない。

社内で見るときのアイロンの当たったシャツじゃなくて、ふわふわしてるトップスが、いつもより柔らかそうに見える。

「長谷部君、意外に身体緩んでないね」

俺の腹を見下ろし、坂本が言う。

それにも気をつけなくちゃいけない年代だから、同い年の水元にも、気になるポイントなのかな。

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