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行灯の昼  作者: 蒲公英
なんで俺よ?
17/77

5

落ち着いてるわけじゃない、反応が遅いんだ。

何故反応が遅いのかというと、興味の範囲が違いすぎて、ついていけない話を頭の中で噛み砕こうとしてるから。

何度も聞き返して、気分良く喋っているのを遮りたくなくて、曖昧に頷いているうちに、話が変わっていく。

下田さんは終始にこにこしていて、それは可愛らしいんだけど。

結局、何のことはない普段の続きで、やけに疲れが残っただけだった。

社内で「別に好きじゃないけど、一回お願いします」なんて態度をとれるわけじゃないし、俺に対する下田さんの誤解が深まっただけ。


「また、お喋りしてくださいね」

そう言って地下鉄の通路に消えた下田さんの笑顔を思い出し、溜息をついた。

嬉しくないわけじゃないんだ。

こっちからも好意を抱いているのなら、願ったり叶ったりなんだけど、どうもピンと来ない相手なんだよなあ。

俺だって男だから、可愛い女の子は好きだ。

そっちの件に関してだけなら(そっちってあっちだ)、迷わずにおつきあいしたい。

でも、そういうわけに行かないだろ?


翌日の土曜日は思いっきり寝坊して、洗濯だけで終わった。

その翌日も、テレビ見てネットサーフィンしてたら、終わってしまった。

こんな生活が続くんなら、好意を持ってくれる女の子と、とっととどうにかなってしまえ、と自分の声が聞こえる。

もう十年若ければ、迷わずにそうしていたろう。

今の俺には、この先が透けて見えてしまう。

俺に失望して去られるか、食い違いで破綻を来たすか。


結局、可愛い女の子に好意を示されて、喜んでいるだけなのだ。

俺は下田さんの中身に興味を抱いたことはないし、俺自身を見てもらいたいと思ったこともない。

だから、これからしなくちゃならないことは、下田さんとは上手くいかないと思うと、きっぱり伝えること。

そのタイミングを計るのは、俺自身なんだけど。

……苦手だ、それ。

彼女が目を覚ましてくれるの、待っていたいんだけどなあ。

その間にあわよくばってのは、スケベ心でしかない。

そうなってしまっても彼女自信に興味を抱けなかったら、傷つくのは俺の方じゃない。


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