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行灯の昼  作者: 蒲公英
なんで俺よ?
15/77

3

「方向、違わない?」

「バッグ持ってきたもん。長谷部さんが終わるまで、待ってるつもりだったから」

まだ途中なら、合流した方がマシって流れになってるけど。

「どうせ帰っちゃうつもりだったんでしょう。私と飲むの、イヤですか?」

腕には胸が押し付けられたままで、なんだか犯罪チックな気分だ。

「イヤってわけじゃないんだけどね。苦手なんだ、人間が大勢で騒いでるの」

「じゃあ大勢じゃなくて、私だけなら?」

腕にしがみついたままで、下田さんは言った。

だから、胸が当たるんだってば……って、ええっ?


「酔ってるんでしょう?オジサンをからかうのは止めて、みんなのところに戻ろうよ」

言葉だけだと冷静だけど、実はかなりテンパってる状態だ。

こんなにストレートに「気がある」と態度に出されたことはなくて、しかも、よくわかんない子から。

「やです。言ってることの意味がわからないほど、酔ってません」

だから、胸がね、さっきからずっと腕の中ほどにあるわけです、はい。

これを言っても良いものか。


「長谷部さんと、もっと仲良くしたいんです」

「仲は、悪くはない、と、思うんだけど」

ひとまわり下に、しどろもどろだ。

「水元さんより、仲良くなりたいんです」

「あれとは同期だし、別に特別何かあるわけじゃないし」

何イイワケ口調になってんだ、別に疚しいことなんて何もないぞ。

「彼女いないって言いましたよね。私、立候補します」


スケベ心が湧いたのは、否定できない。

この会話は腕に胸を押し付けられた状態で交わされたものだし、ひとりで居るのもいい加減飽きた。

俺を誤解しててもなんでも、俺に向かって好意があると言っているのだ。

ちょっと良い気分になっちゃっても、無理ないだろう?

すぐに色よい返事ができるわけじゃないけど、下田さんは顔にも身体にも不足はない。

「前向きに、検討しましょう」

「絶対ですよ!」

ぴょんぴょんと小躍りする下田さんの胸が、腕をこする。

うん、ルックスは悪くないよな。

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