現在
私の総合レベルは世界のランカーにはほど遠いが、身体能力の高さでは国内ランキング上位にいる。
まだ16歳。
体術とナイフ遣いは誰にも負けないところまで上り詰めてやる!
「お前も手伝えば?」
密かにバブを見ながら闘志を燃やしていたらしい私にバブ本人が気味悪そうに言ってくる。
メラメラメラ。
落ち着け。バブは敵じゃない。
この施設で育った私達は唯一のファミリーだ。
世界のどこで出会っても絶対に味方でいる。
大切な人たち。
愛しいなぁと思いながら手を洗う。
はいはい、茄子の肉味噌炒めね。こっちは鶏の唐揚げ。シノブさんたらバブの好物ばっかだね。
贔屓だ贔屓だ。私にまでウキウキが伝染ってきてクスリと笑いそうになる。
やっぱり愛だな。
当の本人は通常運転ですましているが。
綺麗なお顔が、これまた綺麗な金髪で隠れがち。
ご尊顔を堪能しておかなきゃ、いつまたコールが掛かってどこに飛ぶか判らない最多忙マーダーだからね、バブさんは。
そして私達は誰だって明日はここにいないかもしれない。
もしかしたらこの地球のどこにも。
それが運命。でも誰も口にしたりしない。
チッ。
「べべ、使えなさすぎ」
私が物思いに耽っていたのを見抜いたバブ先生からお小言を頂いた。
これだからこの天才は。他人の胸の内まで背中越しに読むんじゃない。
口を尖らせた瞬間、何かが過ぎる。
あれ?今の舌打ちって。
えっ、えっ、えっ!? ふと閃いた。
「バブ!今回のミッションって何?」
ただ今日帰ると聞いただけで、何で帰国したのかを知らなかった。
ちょっと待って、この人!
「東波の潜入」
しれっと言ったバブと今日初めて目が合った。
"安堂尋"
わ〜〜〜!!
4年振りに会ったと思ったら早速潜入していて同級生になってました。って一体なんなの。
「うわぁ、やられた」
バブはマーダー業界では年齢不詳として知られ、高校潜入もお手のものだった。
シノブさん、先に教えてよぉ、とテーブルに突っ伏した私を「邪魔」と一言。
バブに軽く足蹴にされた。もう!転げ回りたい。
くそぉ。なんだって気づかなかったんだ、私は。
あぁ、悔しい。
「シノブさんは知らない」
空港に迎えに来ていた公用車の中で、渡された制服に着替え学園に直行だったらしい。
そうですか、そうですか。
国内傭兵部隊トップマーダー様ともなると扱いが違うんですね。
「いじけんなって、ガチうざい」
トゲのある言葉とは裏腹に、ふんふんふん、と手際よく野菜を炒めてる。
そんな背中を見ながらこっちは涙目だ。玉葱のせいかな。
あぁ、明日からの学園生活。どうしたら良いの、と素人みたいな事考えちゃうよ。
いやいや、私だってプロだもん。バブの足は引っ張らない!
「や、ちょっと待って。東波って事は......合同?」
がばっと跳ね起きた私に向かって
正解。
そう言ってニヤリ。
「お前、俺のバディね」




