現在 東波学園 藤城亜美
「亜美ー、お疲れー」
笑いながら奏美がやって来た。
ホントお疲れだよ。打っても何も響かない安堂を1日学校案内して疲れたよー。
愚痴も言いたいけど、もう終わった!今日のお役目は御免。
当の本人はというと「起立、礼」で振り向いたら既にいなかった。何あれ。
「あの根暗くん、マジでド陰キャだったね」
1日遠巻きに見ていた奏美は、他人事だと思ってゲラゲラ笑ってる。まぁね、なかなかいないわ、あんなヤツ。
安堂は、結局誰とも一言も口を利かなかった。
顔を上げることもなく、床とお友達なんだな。
「奏美ぃ、アタシがんばったよぅ」
笑いながら頭をヨシヨシしてくれて奏美は部活に向かった。
よし、私は帰るぞ!
駐輪場から自転車を押しながら、裏門に向かっていると倉庫の裏手から声が聞こえてきた。
通り過ぎざまクラスの男子数人が見えた。
東波には珍しい陰湿な鵜飼達が、転校生を放っておく筈がない。
絡まれてるのは安堂だった。
先に教室出たくせに、なんで捕まってるのアイツは。
「お前さ、返事をしないって何様?」「目くらい見ろよ」
いやまぁ、私も同意見だよ鵜飼くん。
でもさ、人には色々事情があるんだよ、きっと。
それで今後の人生で安堂が困っても、それは彼が受けるべきペナルティなんだから放っておきなよ。
今日一日の安堂ストレスで私の頭の中が勝手にゴチャゴチャ喋ってる。うるさいよぅ。
「鵜飼ぃ、どうしたの?」自転車をUターンさせて首を突っ込んでいた。
「わ、藤城さん!あ、いや。いや、あの」
面白いように真っ赤な顔してしどろもどろになった鵜飼が私の事を好きなのは有名な話。
ごめん、鵜飼。
君に話しかけるのはこれで最後にしたいよ、私は。
グラウンドからイチ、ニー、イチ、ニーと掛け声が聞こえて来る。部活動が始まったらしい。
首まで真っ赤にした鵜飼を、周りの奴らは困ったような顔して見ているだけ。
鵜飼ってリーダータイプでもないのにな。お金?金の力か?あ、また無駄な思考をしてしまった。
......私は帰りたい。今日は急ぐんだから。




