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「はあ、はあ、はあ」
顔にかかる荒く生温かい息が肌を湿らせる。
「可愛いよリリー気持ちいい」
太った男が甘く囁いた。
抵抗してはいけない。
声を出してはいけない。
涙を流してはいけない。
表情を変えてはいけない。
幾度となく行われてきたピストン運動を前に、これまで同様、リリーはただ受け入れるばかりである。
痛みは最初に比べれば我慢できるようになった。首を絞められることもあるけれど、抵抗しなければ殴られることはない。男が満足すればお金をもらえる。
今にも壊れそうな木製の二段ベッドがギシギシと音を立てる。
ふと、父親の顔がリリーの目に映った。
いつも通り、椅子に座ってお酒を飲んでいる父親の横顔。
その目には、コップに入ったお酒に反射する自分のことしか映っていない。
「イクよリリー一緒にイこう」
男の腰の動きが速さを増し、打ち付ける力が強くなる。
「イクイクイクああっ! あっ、あ」
内臓が今日一番の衝撃を受け、胃液と潰れたカエルのような声が飛び出そうになるのをリリーは必死に堪えた。
「うっ、うぅ、ぶふう」
男は恍惚とした表情を浮かべ、数秒、その余韻に浸ったあと、ゆっくりとリリーに挿れていたモノを引き抜いた。
「愛してるよリリー」
男はリリーの胸からお腹に手を滑らせて微笑み、ベッドから下りる。服を着て、父親に幾ばくかの金銭を渡し、家から出て行った。
「おい」
それまで沈黙していた父親がリリーの方を一切見ることなく口を開いた。
「終わったんなら骨拾いに行ってこい」
構成を見直すかもしれません。
見直した場合、物語は第二章から始まります。
またその際、第一章は過去回想で少し触れるくらいに縮小されますので、ご承知おきください。




