インターハイ東京予選決勝 恋風VS円帝
「恋風ー!」
「「GO!!」」
フィールド上で赤いユニフォーム姿になった恋風女子サッカー部。
GKの守華先輩だけは青い姿だ。
「最強ー!」
「「円帝!!」」
白と黒のユニフォームを纏う円帝、向こうはGKの色がピンク。
恋風も円帝も円陣を組んで皆が気合の掛け声を入れていた。
恋風中学 フォーメーション 4ー4ー2
守山 真野
11 9
阿佐護(花) 阿佐護(莉)
7 8
守矢 守神(真)
10 21
矢野 護影 水岡 金森
2 6 14 4
大花
1
円帝女学院 フォーメーション 3ー5ー2
真中 護才
11 9
護双(花) 守神(芹) 護双(蜜)
8 10 7
涌井 村上
4 5
藤川 大加護 宮崎
2 6 3
大葉
1
フォーメーションは練習試合の時と同じみたいだけど、メンバーは全然違う円帝。
どんなに好成績で来ようが負ければ、その時点で全国への道が閉ざされる。
間違いなく今日の円帝は本気のメンバーなはずだ。
この間まで廃部寸前だったサッカー部が、こんな全国トップレベルのチームと決勝戦なんて、サッカーゲームのストーリーでもプレーしてるような気分。
「はぁ〜、試合に私が出る訳じゃないのに緊張してきちゃう……!」
神坂先生の気持ちは凄く分かる。
大舞台での決勝、このベンチに居るだけで緊張してしまうのは無理もない。
「勝てる勝てるー!」
「恋風ファイトー!」
スタンドからは恋風を応援してくれる声が聞こえ、チアとか応援団も加わって決勝で一気に華やかな感じだ。
初戦とは本当、全然違う。
ピィ────
決勝の笛が鳴り響き、円帝ボールのキックオフで試合は開始。
芹華さんを中心に円帝のレギュラーによる華麗なパス回し。
スピードもコントロールも今までのチームの中でレベルが違う。
高校男子サッカーの上位レベルにも入るかもしれない。
『中盤、涌井、村上から守神芹華! 右の護双蜜柑へ渡った!』
芹華さんへ再び渡った途端に大きく右へパスが、右サイドの護双姉妹の蜜柑さんへ渡る。
『右サイドからドリブル! 恋風は阿佐護花音がマーク!』
『面白いですね、互いに双子の姉妹がいて同じ背番号同士の激突。この対決は注目ですよ!』
蜜柑さんの軽やかなドリブルに花音先輩が対応、相手の動きに惑わされない。
花音先輩を突破するのを厳しいと感じたのか、蜜柑さんは後ろへ戻す。
『右の護双蜜柑、戻して大加護が上がって来ていた!』
何時の間にか中盤まで燐火さんが来るとボールを受けて、恋風ゴール前へロングパスを蹴っていた。
ボールがグンと伸びていくと、相手エースの護才さんまで届く。
180cmの長身から繰り出されるシュートは勿論、ポストプレーも得意だから厄介だ。
「せぇい!」
そこに守華さんが飛び出してきて、パンチングで弾き返す。
積極的で大胆な飛び出しが功を奏したか、弾かれた球を初スタメンの真理華さんがキープ。
此処で円帝の攻撃を断ち切ってみせる。
守華Side
円帝の攻撃は当たり前だけど、今まで戦ったチームより速くて正確。
あたしがアメリカに留学していた時も含めてね。
その攻撃も真理華が断ち切ったおかげで止まる。
あたしのパンチングから、よく取ってくれた。
「よ、あんたアメリカのクイーンバレットに居たよね?」
1人の選手があたしへ話しかけてきた。
黒髪のポニーテールで、あたしぐらいに背の高い女子は確か護才って選手だ。
体のラインを見る辺り、彼女もナイスバディ。
大葉っていうGKが1番凄かったけど、それに匹敵してるように見える。
「そうだけど、あたしそんな有名なんだー?」
あたしがアメリカのクラブに居たのを知ってるって、結構な通じゃないと分からないと思う。
日本だと、あんま取り上げられてないのをお姉ちゃんから聞いて、残念ってなってたの覚えてるし。
「そりゃあね、女子サッカーのあたしらの年代じゃ有名だよ。本場アメリカで活躍するような日本の学生、早々いないからさ」
なんだぁ、結局あたし有名じゃん。
それを知ってるって事は、あたしのファン……って訳でもなさそうだね。
「そんな訳だから、簡単にゴールは奪われないでね? あたし手強いGKから点を取るのが好きだからさ」
護才って子は言いたいことを言って、あたしの元から離れていった。
察するに彼女は高難易度なミッションが好きで、それをクリアしたいって感じかも。
っと、そう言ってる間に恋風は真理華がボールを運んで1人を鮮やかなドリブルで躱す。
流石は姉妹と言うべきかな?
後ろから見た限りだけど、芹華と躱し方が結構そっくりに見えるんだよね。
1人躱してから咲月へ繋ぎ、そこからワンタッチで右の莉音にパス。
莉音には向こうの双子の片割れ、確か花梨だっけ?正直合ってるかどうかは知らない。
だって2人似すぎで区別つかないんだもん!
とにかく双子同士のマッチアップになるサイドの攻防戦。
『今度は阿佐護が攻撃で護双が守備と立場逆転! これはレベルの高いデュエルだ!』
『見応えあるサイドの戦いですね、双子同士の激突も大きな鍵となりそうです』
その見応えあるバトルも莉音が堪えきれず、強引にクロスを上げた事で終わっちゃうけどね。
ボールは花梨に当たってゴール前に高いボールが上がる。
うちのエースである長身ストライカー、狼憐先輩がジャンプしてヘディングを狙う。
今なら柄悪そうな金髪のDFもいないしチャンス。
けど、相手にはそれを越える長身GKが守っている。
あたしや狼憐先輩を越える高校No.1キーパー、大葉守李。
彼女は狼憐先輩を越える高さに加えてジャンプも高いし、何より手が使える。
空中戦に有利な条件を兼ね備えられまくったら勝てる訳もなく、大葉が空中でボールをキャッチしていた。
前回より堅い守りをあたし達は突破しなきゃならないって訳か……。
なら、その回数を1回で済むように今日も無失点で行かないとね!




