マネージャーからのエールにヤンデレ女子達は負ける気がしない
「円帝は前線のタレントが豊富で攻撃力が高く、此処まで全試合無失点と盤石の強さで来てます」
「うわぁ〜、いかにもボスっぽい戦績だねー」
ロッカールームで選手達が着替え終わった為、僕は皆の前で此処まで勝ち上がった円帝について話す。
守華さんが言うように、ずば抜けた戦績なのは僕も思った。
物凄く得点を重ねてる上に守備も無失点と、隙が全然無い。
「攻撃では守神芹華が中心となって2トップの1人、エースFWの護才恵が高い得点能力をでゴールを量産してます」
スマホには、その護才さんが映っていて180cmの長身、黒髪のポニーテールをした女子だ。
彼女は今大会の得点王の座をほぼ手中に収めている。
「中盤も実力者揃いでサイドには双子の護双姉妹、花梨、蜜柑が高いテクニックとスピードを合わせ持ちます」
「えー、うちらのパクリじゃんー」
「こっちに憧れたりしてるー?」
阿佐護姉妹の先輩達が不満そうな感じだけど、向こうが3年で先輩ですよ……?
ちなみにスマホには花梨さんと蜜柑さんの姿があって、2人とも茶髪のショートボブで区別が全然つかない。
身長は阿佐護姉妹の2人と同じぐらいだ。
「守備に関しては大加護燐火が要なのは変わらないですけど、それより後ろ……GKの大葉守李、彼女は高校女子サッカーのNo.1キーパーと言われる程、優秀な守護神でゴールを奪うのは至難の業と言われています」
前回、燐火さんの守備が大きく立ち塞がってきたけど今回は更にもう1人、強大な壁が立ち塞がる。
3年のGKで185cmと緑の髪をしていて、頭に黒い帽子をかぶる今まであった女性の中で1番背が高い。
あの長い手足は男子ならともかく、女子では中々いないと思う。
「へぇー、凄いGKなんだ? あたしと名前似てるし、どっちがNo.1の守護神かの戦いにもなりそうだねー」
同じGKで凄い人が出て来たせいか、守華さんは楽しげに微笑んでいた。
とっちも無失点で来てるから、確かにGK対決でもあるかもしれない今回。
「これを超えない限り全国に行けないなら、こじ開けて行くしかないだろうな」
相手が無失点の守備でも狼憐先輩は怯む様子が無く、腕を組んだまま強気な笑みを浮かべる。
「……勝つしかない……負ける道は無し……」
言葉少なめだけど月夜先輩もやる気充分といった感じで頼もしい。
「此処まで来たらどっちにしろ当たって砕けろってもんよ!」
「いや、キャプテン。砕けちゃ駄目ですから」
「あたしらが敗北になるっぽいよそれは」
咲月先輩は気合を入れたつもりだろうけど、空回りしてるみたいで部員達から冷静にツッコミを受けてしまう。
やらかしたー、と頭を抱えるキャプテンだけど選手達にとってはリラックスになったかな?
「じゃあ気を取り直して、神兎君からエールをもらおうよ!」
「それが良いね、マネージャーだってチームの一員だし!」
莉音先輩、花音先輩の双子から突然の無茶振り。
この大事な決勝に僕のエールで盛り上げって、そんな気の利いた事とか為になる事なんか言えないよ……!
「神兎君、言っちゃってー!」
「お前のエールがあればいくらでも頑張れると思うぞ」
「……欲しい……!」
「是非、よろしくお願いします」
凄く断れない雰囲気になってきて、僕は勢いに任せると口を開く。
「恋風優勝! 絶対勝てます!」
絶対勝てると何の根拠もなく言いきってしまい、何で言ったんだと後悔しても既に遅かった。
士気が下がるような事だけは避けたい……!
「良いね、神兎君に言われると負ける気全然しないよ!」
「本当に不思議だな。力が漲るようだぞ」
本当に効果があったのか守華さんと狼憐先輩が絶賛してくれた。
「円帝どころか何処にも負けないよねー!」
「絶対勝てるって、このエールもらったら!」
「……最強の力が得られた……!」
「素晴らしい応援に感謝します」
双子の先輩、月夜先輩、真理華さんも続いて僕のエールが良いと言ってくれる。
無理して言ってくれたのかな?でも、どっちにしても僕の応援で喜んでくれるのは嬉しいし、今日はベンチから何時も以上に声を出していこう。
応援の力は大事だって言うからね。
僕が声を掛けるのが効果あるんなら、いくらでも声を出すつもりだ。
僕達、恋風女子サッカー部は決勝の舞台へと向かう。
☆
『高校女子サッカー、インターハイ東京予選の決勝戦を迎えました。此処まで勝ち上がったのは恋風高校と円帝女学院、絶対女王と古豪のぶつかり合いです』
『恋風は以前、東京の強豪と言われてましたが低迷したり事件もありましたからね。そこからよく復活してきましたよ』
この決勝戦では実況も付いてくれるみたいで、試合を盛り上げてくれる。
フィールドには恋風と円帝の2チームが出揃っていた。
練習試合以来の対決になったけど、お互いに以前とは違う。
円帝は芹華さんと燐火さん以外の皆が1軍フルメンバーに変わってるし、恋風は真理華さんが今大会初めてスタメンからの出場だ。
ついに両チームが決勝戦を駆けて闘うと思えば、試合に出てない僕も武者震いがしてくる。
とにかく精一杯応援しよう、皆頑張れー!
「(神兎君からのエール……こんな事、円帝は絶対貰えないからあたし達が絶対勝てるでしょ!)」
「(本当に敵で気の毒な連中だ)」
「(恋風だけの特権だからねこれ!)」
「(神兎君の応援受けられないチームに負けないし!)」
「(……絶対勝てる……)」
神兎からのエールを貰った一部のスタメン選手達はモチベーションが増しに増して、今まで以上に気迫が満ちている。
「(……何か知らんが見ていて気に食わん……!)」
「(何を勝ち誇った顔してんだ、メス猫共が……神兎を手に入れる前にブッ潰してやる!)」
それを見た芹華、燐火の敵意が増して殺気立っていく。
決勝戦の舞台は混沌とした空気が流れていた……。




