公園デートでボートに乗ってトラブル!?
長い時間、電車に乗ってる気がした。
ずっと甘く柔らかい香りに包まれながら、満員電車でそんなトラブルがありつつも僕と守華さんは電車を降りる。
それから僕は駅のベンチに座って休み、隣に守華さんも腰掛けた。
「神兎君、大丈夫ー? ずっと満員電車の中だったから疲れちゃった?」
「だ、大丈夫です……」
僕は守華さんを見ると、まだドキドキしてしまう。
だってさっきまで……あのおっぱいの中に……
いや、思い出したら色々不味いから止めとかないと!!
「とりあえず目的地は合ってるかな? えー、桜見って所だねー」
僕達の今いる駅名を守華さんが読み、僕達が今いるのは桜見という場所だと分かった。
時間を見れば午前の9時を回っていて、お店とかは空いてなさそう。
「んー、何処かで時間を潰せるような場所は無いかな……おっ? 桜見運動公園っておっきな公園あるみたいで、結構人気なスポットみたいだよ」
「運動公園……じゃあ、そこで散歩してみますか? せっかく此処まで来ましたから」
「そうしよう、行こう行こう♪」
守華さん楽しそうだなぁ。
僕も来たことの無い場所を行くのは冒険するみたいで、少しワクワクする。
僕と守華さんは駅を出るとスマホの地図を頼りに街へ歩く。
☆
通い慣れた恋風とは全く違う場所を歩いていくと、大きな公園の入口が見えてきた。
人気の公園みたいで、そこはお祭りの会場としても活用されているらしい。
「へぇ〜、これだけの大きな公園はアメリカ以来だねー」
守華先輩は向こうで大きな公園を見てきたみたいで、なんとなく凄い大きそうだなと、僕のイメージが膨らむ。
アメリカって人も食べ物も大きかったりするから。
「僕はこれだけ大きな公園、初めてです……」
記憶の限り、此処までの公園に来た覚えは無い。
此処は恋風の公園より広さがあって遊具も充実してる。
確か此処って子供用のサッカーコートもあるんだよね。
……休みの時まで考えちゃうなんて、僕結構サッカー馬鹿かも。
「お、ボート乗れるんだ。ちょっと行ってみない?」
「そうですね。乗ってみたいです」
僕と守華さんの考えが一致すると、2人でボート乗り場の方へ向かう。
オールで漕ぐシンプルなタイプみたいで、料金を僕が払うとボートに僕達は乗り込んだ。
「あたしが漕ぐからねー」
「え? いや、僕が……」
「オールを漕ぐって結構体力使うから。神兎君お金払った上にそれまでやらせられないし、キーパーとしての良い特訓になるかもしれないじゃん♪」
そう言って笑顔で守華さんが自ら進んでボートを漕ぎ始め、その姿を僕は見守るだけとなってしまう。
男がやるべき役割をさっきからほぼ、やってもらってる気がするなぁ……。
オールで漕ぐ事がGKの特訓に繋がるというのは、現実でも漫画でも聞いた事が無いから効果があるのか分かんないけど。
「こういうのも良いねぇ〜、繁華街とか賑やかな所に行く方が多かったりするけど、静かな公園でこうやって2人きりでボートを漕いで何処までも行くって」
「そう、ですね……」
ボートを漕ぐ守華さんと僕は目が合い、彼女は優しく微笑みかけてくる。
その顔が可愛くて綺麗で僕は言葉に詰まりそうだった。
これもう、デートじゃん!? もう勘違いしちゃうよ……!
守華Side
神兎君を見つめながら2人きりでボートを漕ぐ、恋人っぽくて良いよね。
可愛いこの子を見ながらだったら、あたしは何時間でもオールを漕ぎ続けられる自信ある。
というかボートの代金あたしが払おうとしたら、神兎君が「払わせられないから僕が払います!」って別に金欠とかじゃないのになぁ。
ちょっと意地っ張りな所があって、そこも可愛い。
そこは男の子特有なのかな?
後、さっきから顔を赤くして落ち着かない感じなのは意識してくれてるんだろうなぁ。
電車の中でも顔真っ赤だったし、普通に女の子への意識あるんだねー。
……これ、そのまま行けそうじゃない?
ホントに誰もいない2人きりになったら、それこそ恋人までのゴール一直線って感じで!
どっかに良い所は無いかなぁ〜?とりあえずボートを漕ぎまくって場所を探してみよ!
「あの、守華さん。さっきからずっとオール漕ぎ続けてますけど、代わりますよ?」
「ううん、大丈夫! むしろ漕がせてね!?」
「は、はい」
此処で神兎君へパスしたら違うゴールへ向かいそうだと、あたしの勘が叫んでくる。
彼には意地でも渡せない!
午前の時間でも結構利用してる人達は多いなぁ……ん?あの角、良い感じかも!
甘い一時の為に行くぞあたしー!漕いだれぇー!
自らを鼓舞しながらボートを前進させると、そこには他のボートが1つあった。
しかもそこはカップルの姿で、めっちゃキスしてんの見えたし!
「守華先輩?」
「あ、ううん。そろそろ1回戻ろうかー」
そういう事を考えてるの、あたしだけじゃないんだなぁと思いながら神兎君へ戻る事を伝えてから、ボートを返しに向かう。
いや〜、アメリカで度々ああいうのは見た事あるけど日本も熱くなったもんだねー。
ボート乗り場へと近づいて来た、その時──。
「!」
1つのサッカーボールがあたし達の方へ飛んで来ると、咄嗟にオールを手放してボールへ両腕を伸ばす。
バシィッ
我ながらナイスキャッチ、池に落ちる事なくスーパーセーブってね。
落ちたら財布とかスマホ水没して大惨事になってたから!
というか誰よ?池にボール蹴り込んだ不届き者はぁ!?
「ごめんなさーい!」
あたしの心の声に応えたかのように聞こえた高い声へ振り返ると、そこには緑色のユニフォームを着た小学生ぐらいの子供達が柵の向こうに立っていた。




