マネージャーへのインタビュー!?
「恋風また勝ったんだってさ」
「え、準決勝進出じゃん?」
「そんなに強かったの恋風って……」
「興味無かったけど、応援行こうかな」
何時も通り校内を歩いていると、再び聞こえてくる女子サッカー部の快進撃に関する話題。
ベスト4まで来ると話も大きくなってきて、東京予選突破あるかもしれないと聞く事も多くなる。
「お、マネージャー頑張れよー」
「男子の方が桜王に負けて全国行けなくなった分、しっかりねー」
「ありがとうごさいます」
男子サッカー部の方は残念ながら途中で敗退となって、全国に行く事が出来なくなる。
アベックでの全国出場は無くなるけど、女子サッカー部は全国出場のチャンスがあるから行けない男子の分も頑張りたい。
「……また絡まれないよね……?」
僕はお昼を買って校舎の外に出て来ると、あの男子サッカー部の先輩達にまた絡まれるんじゃないかって身構えてしまう。
でも、今日は姿が無さそうだ。
噂じゃサッカー部で数人が謎の高熱を出して休んでるとか聞いたけど、あの時見た限り風邪と縁が無さそうなぐらい元気だったから無関係だよね。
「今日は何処にしよう?」
何時ものセット(あんぱんとチキンサンド)を手に持って場所を探そうと辺りを見回していた時──。
「小平神兎君?」
「え……?」
その時、女性の声が僕の名前を呼んだのが聞こえて周囲を見回す。
前方の方を見ると、そこには背の高い短い赤髪の女性が首にカメラを下げて立っていた。
生徒じゃ無さそうだし学校の先生関係でも会った覚えが無い。
「あー、いきなりゴメンね? そりゃ見知らぬ美人のお姉さんが現れたら誰だって警戒しちゃうもんだ」
現れたお姉さんが近づいてくると、僕は結構見上げてしまう。
多分、守華先輩や狼憐先輩ぐらいありそうかな。
「お姉さんはね、こういう者よー。どうぞ」
「あ、どうも……」
お姉さんは素早く僕へ小さな四角い紙を差し出して来ると、それが名刺だと分かって受け取る。
「レディスポーツ記者、大花護香って……!?」
僕は女性記者の苗字を見て驚く。
それはうちのサッカー部の守護神、守華先輩と同じ苗字だからだ。
「どうやら分かっちゃったみたいだね? ご推察の通り、あたしは守華の姉。君の事は妹から聞いたから♪」
陽気に笑う護香さんは守華先輩と似ていた。
「えっと、その守華先輩のお姉さん……レディスポーツ記者の人がどうして此処に?」
レディスポーツは確か主に女子アスリートを特集とした記事だって聞いてる。
女子サッカー部に入るまでは知らなかったけど、円帝の事を知ってから此処の雑誌に取り上げられてるのを見たのが切っ掛けだ。
「実はね、あたし恋風の担当記者になったんだよ」
「え、そうなんですか……!?」
護香さんが此処にいるのは取材の為なんだと分かり、守華先輩のお姉さんが担当記者になった事に僕は驚く。
「妹が恋風で頑張ってるのは聞いてるし、その時に君の事も聞いてね。そんな時に恋風の取材は任せられて、他が円帝や他の強豪チームを担当する中で選ばれたんだー」
どういう感じで記者が担当を任されるのか、仕組みは全然分かんないけど家族のいる学校を任される事もあるんだなぁ。
「んじゃ、そういう訳だからぁ。まずは軽くマネージャー君へ色々聞いても良いかな? 女子サッカー部の男子マネージャーは早々お目にかかれないし、お昼の間に食べながら気楽に話して良いからさ♪」
「ええと、じゃあ……お昼休みの間だけなら」
「ありがとうー! それなら善は急げって言うから近くのベンチで聞かせてもらおっかな?」
すっかり護香さんのペースになってると思いながらも、僕は記者のお姉さんに連れられて近くのベンチへ一緒に腰掛けた。
「コホン、小平神兎君。男子マネージャーとして大変そうだけど女子サッカー部での活動はどうかな?」
「最初は慣れない事ばかりで大変でしたけど、日々を過ごす内に慣れてきたり結構部員の皆さんが手伝ってくれますから、充実して楽しいです」
僕は護香さんの取材に答えながら、これまでの日々を振り返る。
男子サッカー部を追い出された事から始まり、守華先輩との出会いから咲月先輩だけの女子サッカー部へマネージャーとして入部。
そこから狼憐先輩、莉音先輩、花音先輩、月夜先輩、真理華さんと沢山の部員が入った。
彼女達と公式戦を戦い、全国出場が見える所まで勝ち進む。
だからこそ、こういう取材が受けられるんだなぁ。
僕が選手の時とか全然縁が無かったけど、答え方合ってるかな?
変な事を言ってないか心配になっちゃうよ。
「ふむふむ、じゃあ此処で気分を変えてプライベートな事も聞いちゃおう。高校生活に入って彼女は出来たかな?」
「か、彼女ですか!? いませんよ、作ってる暇無いぐらい忙しいですから……!」
急に彼女がいるかどうかの話題を護香さんから振られ、僕は慌ててしまう。
マネージャーで色々忙しいから、彼女を作ってる暇はとても無いのが現実だ。
「なるほどー……」
護香さんは興味深そうに頷いている。
まさかこれ、記事にされちゃう……?まさかね……。
護香Side
ううん、守華から聞いた通りの超可愛い男の子〜♡
これあたし本気にしちゃうかも〜。
デスクに恋風の取材をやらせてほしいって、押し切った甲斐があったってもんだよね!
本来なら円帝の取材担当になりそうだったんだけど、そっちより神兎君の居る学校で取材の方が全然、仕事のモチベになるからね。
というか彼女無しかぁ〜、守華ってば押しが足りないんじゃない?
そんなんだとさぁ……お姉ちゃんが神兎君を取っちゃうよ?
「じゃあ、好きな食べ物とかは何かな〜?」
「好きな……ええと、カレーライスとかオムライス……そればっかり食べずにバランス良く食べるようにしてるから好き嫌いは特に……」
ヤバ、一つ一つを一生懸命考えながら喋ってくれる神兎君が優し可愛い!
仕事だから耐えられてるけど、そうじゃなきゃ……襲ってたかも。
「ありがとうねー。じゃ、マネージャーとして部の事を色々知ってるならまた聞く事あると思うから、スムーズに連絡出来るよう交換しよ?」
「あ、はい。分かりました」
こうしてあたしは難なく彼の連絡先をゲット。




