インターハイ 東京予選2回戦
週末の土曜を迎えて僕達、恋風女子サッカー部はインターハイ東京予選の2回戦に挑む。
初戦を6ー0と最高のスタートを切ったけど、勝ち上がれば相手はどんどん手強くなっていく。
少しでも皆を助ける為、マネージャーとして相手の情報収集は欠かさない。
「2回戦の相手は錦村高校。サイド攻撃を多用してきて積極的にクロスを放り込んで来たり、ドリブルでエリア内への侵入を狙ってきます」
「次はサイドの攻防が鍵を握るって訳だね」
仕入れた情報をロッカールームにいる皆へ伝え、咲月先輩は頷いていた。
相手の長所はサイド攻撃で1回戦も両サイドからの攻めを駆使して4ー1で勝ち上がっている。
狼憐先輩程、高くはないけど向こうの長身ストライカーが多く決めているのを動画で確認済み。
両サイドの選手と中央のFWの動きに注意だ。
「今日も頼れる情報感謝するね神兎君♪」
「は、はい……!」
アップへ向かう時、僕は守華先輩から肩を軽く叩かれて戸惑い気味になりながらも返事を返す。
「今日はあたしらサイド、頑張っちゃうから見ててー!」
「応援してよー?」
「も、勿論です!」
それに続いて莉音先輩、花音先輩が僕を取り囲みながら話す。
当然応援すると言って僕は2人を見送る。
「今日も決めて次へ連れて行くからな」
「はい……!」
狼憐先輩からはすれ違う時に僕の頭を撫でていた。
不思議と心地良い。
「……勝ってくるから……」
「は、はい……! 頑張ってください……!」
静かに勝つと言ってきた月夜先輩にエールを送り、静かな闘志を感じさせる。
この前あの5人とは、まさかのお泊りがあったから何か変に意識してしまう。
いや、そうなってるの僕だけかもしれないし、変な感じになって皆に余計な心配させるのは駄目だ!
選手達もそうだけど、僕も気を引き締めないと!
☆
アップが終わってから両チームがユニフォーム姿となって、再びフィールドに現れた選手達をスタンドからの歓声が出迎えていた。
少し恋風の応援の数が増えてるかな?
「恋風ー!」
「「GO!!」」
選手の皆は円陣を組んで、試合前に気合を入れていく。
これを聞くと僕も身が引き締まる思いだ。
各自がポジションに散っていくと、相手チームのキックオフとなったみたいで、相手チームの2トップが既にセンターサークル中央へ置かれた球の前に立つ。
早速、要注意とされた相手の攻撃が来るか……。
守備陣は最初から高い集中力が要求されるから、気を抜けば開始早々にやられる恐れはある。
サッカーでは開始早々、1分経つ前にゴールが決まる事だってあるからね。
ピィ────
主審の笛が大きく吹かれると試合は開始、錦村高校は積極的なパス回しで繋いでいく。
よく見れば、左右のサイドが上がってきてるのが見えた。
「サイド気をつけてー!」
僕はフィールドの皆に届かせる為に声を大きく、叫ぶように伝える。
錦村は早速長所を使おうと、中央から左サイドへパスを出す。
これを読んでいたのか莉音先輩が足を出してサイド攻撃を阻止。
転がった球が中央まで行くと、咲月先輩がセカンドを制する。
「莉音ナイスプレー!!」
僕が言おうとしたらゴールの方から、守華先輩の叫ぶような称賛する声が聞こえた。
咲月先輩がボールを持つと、左サイドの花音先輩が左を走って相手ゴールに迫る。
それが咲月先輩も見えたみたいで、右足のパスが直後に出された。
「中央寄せろ! 右上げさせるな!」
相手GKのコーチングがベンチにいる僕からも聞こえ、相手も恋風の両サイドを警戒してるみたい。
錦村DFが1人花音先輩に寄せて来るけど、クロスを上げると見せかけて切り返す上手いキックフェイントで、DFを躱していく。
あれは僕も真似したくなるぐらいで良い!
そこへ錦村の選手がもう1人詰め寄って来て、花音先輩へ迫る。
でも、花音先輩は相手が来る前に左足でゴール前へクロスを上げ、高いボールに向かってジャンプをしたのは恋風が誇る、長身エースストライカーの狼憐先輩だ。
相手DFも空中戦で競り合って来るけど、頭1つ分ぐらい狼憐先輩の方が高い。
地面に叩きつけるヘディングがGKの伸ばした腕をすり抜けていき、錦村のゴールネットが揺れ動く。
初戦の神上石に続いて恋風の先制ゴールだ。
「やった! 狼憐せんぱ「ナイスゴールー!!」い……!?」
僕がゴールを褒めようとしたら守華先輩の声と重なって、隠れてしまう。
流石GKと言うべきか声量が凄いなぁ……!
「神兎君、ありがとうー! サイドの動きを伝えてなかったら今みたいなゴール生まれてなかったから!」
「これは神兎君のゴールみたいなもんだよね!」
決して、そんな事は無いと思うけど……でも言ってもらえて嬉しいし、僕の声でそうなったのなら、いくらでも声を出していく
とにかく貴重な先制点は僕達が取った!
守華Side
あんのメス猫2匹め〜!!
隙あらば神兎君の側まで行っちゃって〜!
1点目は姉妹のおかげではあるけど、だからって神兎君へ触れて良いって許した訳じゃないよ!?
そこ勘違いしないように!
「こっからこっからー! どんどん行こうー!」
とにかくあたしはシュートやピンチが来るまで、盛り上げ役に徹しておく。
こういう所も神兎君が見てくれて、縁の下の力持ち大事と思ってくれるのを願いながら──。




