歪んだ力で無双!?
相手の神上石は新鋭の強敵で苦戦する事が予想された。
でも、今リードしているのは恋風でボールも僕達の方が持てている。
狼憐先輩が前線からの守備でボールを取ったりと、相手に思うような攻撃をさせていないのが大きい。
守備の上手いFWはキープする方にとって厄介だからね。
「これ、円帝との練習試合が結構効いてるのかな?」
「そうかもしれないですね……それまでの練習とかも頑張ってましたし、色々重なってそうです」
ベンチに座る神坂先生と話して、僕は円帝との練習試合と様々な練習を繰り返した日々が活きたんじゃないかと思った。
継続は力なりって言うし、毎日の積み重ねが実を結んでくれてるんだろうなぁ──。
月夜Side
阿佐護姉妹も狼憐も守華も……神兎君の前で良い所を見せようっていう欲望が分かりやすく渦巻いて見える……。
気持ちは分かるけどね……あの子にナイスプレーとか褒められると嬉しいし……その姿が堪らなく可愛いから……!
ああ、神兎君神兎君神兎君……!!
家でも学校でも私の心は彼で常にいっぱい……彼が側に居てくれたらどんなに良いか……考えるだけでも興奮してきちゃう……!
今の所、彼は攻撃に貢献した狼憐や阿佐護姉妹に目を向けている……。
私のポジションはCDFで、前に出てシュートする事は滅多に無い……。
CKでも取って高さが欲しい時、私は上がれるけど……今の所はそんなチャンスが来る様子はなさそう……。
なら……守備で貢献しまくって彼の目を私に向けさせる……!
ついでに守華が目立たなくなれば……ライバルを1人潰せるから一石二鳥……!
フフ……フフフフ……1人も通さない……私と彼の邪魔をする愚か者は絶対通さない……!!
守華Side
幸先良く先制して良い感じな前半になっている。
特に狼憐先輩、莉音、花音が神兎君へアピールしようと頑張ってるのが見て分かった。
彼女達は神兎君を狙っている獰猛な肉食獣だからね。
「相手8真ん中来てるよー!」
あたしは主に声を出して神兎君に頑張りを見てもらうしかない。
とにかく完封第一!
GKならシュートを止めてアピールが1番分かりやすいけど、守護神が目立つのは追いつめられてる証拠で、チームとしては非常によろしくない。
神兎君を無駄にヒヤヒヤさせちゃうのも駄目だし、とにかく見えない所でチームに貢献しとくのがベストだよね。
「フフ……!」
「っ!?」
月夜先輩が前に出ての守備で奪ってる。
あまりに不気味と相手は感じたせいか、引いちゃってるように見えるけど。
円帝戦じゃ沢山シュートは飛んで来たけど、この試合だと全然来ない。
あたしの前にいる月夜先輩が守備で頑張ってるから。
「ナイスプレー! 月夜先輩ー!」
真っ先に良い守備をした不気味先輩へ、あたしから称えておく。
だって言わなかったら神兎君から言われそうでムカつくし!
「……」
後ろを振り向いて来た先輩に「お前からじゃねぇ」みたいな目を向けられたけど、勿論分かってやったからね。
守備で1人頑張って神兎君に注目されたい考えは分かるし!
って思ってたら、月夜先輩からのボールを受けた咲月が左を走る花音へ繋げて、ドリブルでまた切り込むと見せかけてのパス。
ゴール前で右へ出したボールに反応したのは莉音。
サイドから中央に寄っていたらしく、花音からのパスが来るって双子ならではのテレパシーで分かったのかな。
莉音はこれを右足のダイレクトシュートで豪快に決めて、恋風に2点目が入ってきた。
このまま行けちゃいそうな空気になってきたけど、油断は禁物!
1点取られるだけでズルズル落ちて負ける事がサッカーではあるし、守護神として気は抜かないよ!
「(何!? 恋風って監督問題とか色々あって公式戦から遠ざかってたって聞いたのに……!!)」
対戦チームの神上石の選手達は、まさかの2点差をつけられて恋風の想像を超える実力に驚かされていた。
この試合は円帝戦に向けてのウォーミングアップのつもりで、勝って次に進もうとしていたが彼女達は追いつめられていく。
「(なんか一部の選手が鬼気迫るような感じで怖すぎぃ! なんなのあれは!?)」
相手側からすれば神兎を想う5人は、その強過ぎる想いが故にドス黒いオーラを漂わせていた。
青髪の小柄な可愛い男子マネージャーを争ってる事など当然知らない。
ただ不気味なまでの気迫に押され、恋風の優勢で試合は進んでいた。




