第38話「その後」
瀬成の奇跡の優勝から3ヶ月後。
AZUMI racingの新体制発表が行われていた。
「本日はお集まりくださり、ありがとうございます。本日、司会を務めます……」
自分は初めての体制発表が行われることに緊張していた。
舞台袖では2人のドライバーが待機していた。
「どうした?瀬成、緊張してるのか?」
「そりゃ、緊張しますよ。逆に緊張しないんですか?颯先輩。」
隣にいるのはAZUMI racingのレーシングスーツを着た石井颯。
元Vision motor sportsのエースドライバーだ。
蓮真は今年からスーパーGTのGT300クラスにデビューすることが決まった。
そのため、蓮真の分空きが出る。
瀬成1台で参戦してもよかったが、社長からの判断で、経験あるドライバーを起用して、さらに瀬成を成長させたいという要望で今回の体制が決まった。
「もう、10年近くこの世界にいるからな。緊張なんてしないよ。」
「いいなぁ。」
「お前もあと4,5年したら緊張しなくなるよ。」
「そうだと良いんですけどねぇ。」
実はもてぎでの大会後、Vision motor sportsの問題行動の数々が匿名のタレコミで明らかになったのだ。
その結果、問題行動を考えた結果、Vision motor sportsは解散。
代表は更迭となった。
そのため行く先を失ったドライバーの中の1人、石井颯にAZUMI racingの91号車に乗るドライバーとして白羽の矢が立った。
正直、彼いわく、大会はまだだがすでに昔より居心地が良いそうだ。
Visionは結果を重視するチーム。
結果が出せなければ良い待遇は受けられない。
F4の中でもハードなチームだった。
しかし、今は違う。
のびのびとした颯は開幕戦に向けて準備万端だそうだ。
そしてF4で2年目を迎える瀬成も今シーズンは昨年を超える記録を出すことを期待されていた。
ただ、その結果で評価するのはまた1年を戦い抜いたあとだろう。
彼ら2人はさらに楽しい場所を目指して走り出していく。




