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F4 P1を目指して。  作者: 銀乃矢
FIA-F4編
38/44

第34話「ファイナルレース」

モビリティリゾートもてぎで、FIA-F4の最終戦が幕を上げる。


「瀬成、今日は特例で昨日記録した2位の記録が引き継がれる。だから優勝を目指せるかもしれない。」

「変に意識しちゃうじゃないですか〜…」


「大丈夫。1位の石井は俺が抑えてやる。だから前だけ見て走れ」

「了解です」



瀬成の左前方に石井の乗る1号車がスタートの時を待っていた。


「あいつを抜けば、僕は1位だ…大丈夫。お父さんの教えをしてみるだけだ…」




スタート前。

「瀬成、何見てるんだ?」

「あ、いや、昔父にもらった雑誌見てたんですよ。」

「ほーん。お、お父さんも載ってんじゃん。」


「これ見てください。」

「えーと、〝レースで大事なのは、どのカテゴリーだろうとファンに見てもらうという気持ち〟か。」

「今日は2位からスタートできるじゃないですか。だから、ファンは少なくともアピールできるんじゃないかって。」

「ファンだけじゃないぞ。きっと上位カテゴリーのチームの人たちにもアピールできる。」

「そうですね。前、蓮真先輩が言ってたさらに楽しい場所を目指して走ります!」

「そうだ。楽しい場所目指して頑張るぞ。」



実はこの頃、蓮真にはスーパーGTのチームからすでにオファーが数件来ていた。




そして今に戻る。


目の前でスタート1分前のボードが掲げられる。

「エンジン始動っと。」


今朝も確認したエンジンに再び火が入る。


1周のフォーメーションラップの後、グリッドに戻ってくる。

「初めてのフロントロー(最前列)。でも、このまま走りきっても表彰台は絶対。でも、狙えるなら、1位、狙ってみますか!」


シグナルオールレッド。

全ドライバーの緊張が最高潮に達する。


ライツアウト。


一斉に弾かれたようにグリッドを蹴り出す。


少々気負った颯はスタートをミス。

軽くエンジンストール気味になる。

その横から1位をかっさらうように蹴り出すのは90号車の瀬成。


後ろで見ていた蓮真も気づく。

「もろたで!」

突然の関西弁。関東圏出身なのだが…


一瞬で1位だった颯は一気に5位まで順位を下げる。

「大丈夫だ…俺なら、俺ならやれる…!」


颯の猛追劇が始まる。


「後ろは、蓮真先輩…颯さん、そんなに順位落としたのか…」


「これはラッキーだ。1番のあいつが結構順位を下げてくれた。なら、その間に瀬成が逃げ切れるだけのタイム差を稼ぐだけだ…」



蓮真の前を走るのはツギハギのようなカラーリングの90号車。



後方に沈んだ1号車は着実に1台ずつ、オーバーテイクを続けていた。


「負けてられるか…」


また1台パスし、3位まで戻ってくる。

蓮真はもうすぐそこだ。



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