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第19話「ステップアップ」
「とまぁ、こんな感じだな。俺の昔話は。」
「…」
「無心でラーメンすすんな。」
瀬成の頭を叩く。
「っぐ…す、すみません、ラーメンが美味くて。」
「まぁラーメンが美味いのはよかった。」
「先輩、ヨーロッパまで行ってたんですね。」
「あぁ。もう、一気にカテゴリーを上がるにはヨーロッパしかないって思ってな。ま、結果は散々だったけどな。」
「…もう、レースする気はないんですか?」
「そうだな…まぁ、何度かこの安住レーシングでレースに出てみようか、って考えたけどな。」
「なんで、出なかったんですか?俺が乗るよりも絶対結果は出せる。」
「もう、怖かったからな。」
「怖い?」
「またチームがなくなったらどうしよう、って思うようになってな。」
「もう、あの恐怖が染み付いてるんですね。」
「あぁ。夢でも時々出てくるときはある。」




