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F4 P1を目指して。  作者: 銀乃矢
F110CUP編
10/44

第9話「表彰台」

「この後の決勝レースはこの前買った新品タイヤにする。これでかなり走りやすくなるはずだ。」

「本当ですか?」

「あぁ、新品と中古はレースタイヤでは大きく変わる。」

「じゃあ、今までより速く走れるかもしれないってことですか。」

「そうだ。だから表彰台も狙えるかも知れないぞ。」

「頑張ります!」




スポーツランドSUGO戦、レース中。


「まさかセーフティーカーが出動するなんてな。」


スタート1周目でいきなりバックストレートで3台が絡む多重クラッシュが発生し、その処理のためにセーフティーカーが出動していた。


「でも、新しいタイヤの消耗を抑えられるからラッキーか。」



前との差を確認しつつ、マシンを蛇行させ、タイヤを温める。


「セーフティーカーのランプが消えた。この周スタートだな。今は2位。前との差を考えなきゃ。」



1位が最終コーナーで一気に加速し始める。

「これに続かなきゃ!」


しかし、加速力が足らず、再開してからも1位との差は詰まらず。


単独で2位を走行し、チェッカーフラッグを受ける。

「っし。初めての表彰台だ!」


ピットに戻ってくると、ニコニコの安住社長がいた。


「おめでとう。ついに表彰台だな。レーサーの夢の一つが叶ったな。」

「ありがとうございます!」

「…大野、やるじゃねぇか。」

「蓮真先輩もありがとうございます!」



表彰台に立つ。

マイナーなレースということもあって観客はほとんどいないが、憧れていた場所に立つことができた。



「ん?と、取れない…」

スパーリングファイトのためのボトルの栓が抜けない。

苦闘していると、1位の選手が取ってくれる。

「あ、ありがとうございます」


気を取り直してボトルを勢いよく振る。

すると中のシャンパンが吹き出す。

「きもちいいー!最高!」


トップ3の選手だけが味わえる式典。


最高の思い出だ。





表彰式も終わり、ピットに戻ってくる。

「いやー、いいレースしてくれたな。本当にありがとう。」

「いえいえ、社長にこんな機会を2度も用意してくださって感謝でいっぱいですよ。」


「今回も最高だったね!」

そう言ってピットに入ってきたのは小野医院の院長だ。


「君の走りには本当に勇気づけられている。だからこそ、君にはさらにレベルの高いところに挑戦してほしい。」

「…?と、言いますと?」

「FIA-F4だよ。F4ジャパニーズチャンピオンシップ。マシン2()()買える額出すから、ぜひ参戦してほしい。」

「いいのか?小野さん、申し訳ないよ。こっちもいくらかは出させてくれ。」

「いや、いいんだよ、安住さん。いつも美味しい弁当作ってくれてるんだから。ほんのお返しさ。」


「じゃあ、お言葉に甘えさせていただくよ。」



この時、僕は聞き逃さなかった。

院長が2台と言ったことに。



この2台の意味を理解するのはこの日から2週間経った頃だった。

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