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自殺を隠すな

作者: 端乃 一也

 

 急死という報道だった。

 最近の某俳優某芸人の件について、最初は急死としか報道されず、

 心筋梗塞の類かなぁ、売れっ子の有名人は若い頃から遊びで不摂生してそうだものなぁ、私も健康に気を付けよう。



 この程度の感傷しか抱かなかった。

 自殺という報道がなされなければ、この程度で、終わってしまう。

 それは、果たして正常なのだろうか。



 当人達が選んだ、「死」という選択を歪めてはいないか。

 自殺を賛美するわけでは、もちろん無い。

 ただ、自殺という手段をとった人間は、刻み付けたいのだと私は思っている。

 へらへら笑って生きていれば良かったものを、わざわざ自分で台無しにするのだ、

 どこかが悲しいのだ、満たされないのだ、無常なのだ、言葉にできない巨大なものに打ちのめされたのだ。

 私たちが話を聞いてやるくらいでは、打ち壊せないものに出会ってしまったのだ。



「お前たちは、何故生きている?私は死んだぞ!だから、考えろ!」

 と、最後に大声で叫んでいるのだ。



 無論これは、ただの私の主観で妄想である。

 本当に、何一つ残さず消え去りたいから選択した者もいたのだろう。

 だが、それは余りにも悲しいと私は思う。

 自殺という事にすら、意味があった、伝えたいものがあったと思いたい。

 だから、隠してほしくはない。

 その意味が、絶望や悲しみでしかないとしても、私たち個人の感傷を奪うべきではないし、

 自殺というものが、「異常な精神状態の中行われた馬鹿げた感情の帰結」

なんて、思いたくもない。

 真剣に考え、生きた結果として受け止めたい。

 だから、考えたい。


 最後の叫びすら隠され、知られぬまま消えていくのは、寂しいと私は思うのです。




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― 新着の感想 ―
[良い点]  知りたいし知って欲しい。 [一言]  悲しいんです。  拝読叶いまして幸いでした。
2022/07/29 19:12 退会済み
管理
[一言] 死を選ぶということは、侮辱や無視に対して訂正、反論、説明する機会を完全に放棄したのと同じことだと思います。同盟でも立てて後を継いでくれる仲間を遺したとかいうのなら違いますが。
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