鴉対リバース大海賊団 9
「ぷはぁぁぁ〜〜〜」
背中に大剣を背負っている大男は、煙草の煙を深く吸って吐いた。何か面倒事に巻き込まれてる事に面倒臭そうに眺めて居た。
「リバースの旦那よ、あまり契約内容と違う事をされても困るのだが...」
「知らない!勝手にそいつらが潜りに来たんだ!」
「はぁ〜、別にこいつらを殺しても構わないが、追加料金はいただくぜ?」
「構わん!あいつらを殺せるのならいくらだって出す」
大男は片手で背中にある大剣をひょいっと抜いて此方を睨みつける。
「あんたらも、困るんだよ。仕事中に横から茶々を入れられるのをよ」
「悪いな、こっちも仕事でやって来てんだ。そいつの味方をするのならお前らも殺すぞ?」
シンヤは軽く大男に軽く殺気を放つ。
「ふっははは、生意気なガキが。あまり調子に乗るなよ。ウロボロスをボコせて、自分達が強いと錯覚してると思うが、俺達はウロボロスより何倍も強い」
「ギャハハハハ!!お前らの血は何色んなんだ?!えぇ!僕ちゃんに見せてよ!おい!ギャハハハハ!」
隣にいる、二つの鎌を持った男は不敵な笑い声が響く。
「まぁ、良いや。どうせ10秒も持たない。サーティンやれ」
大男は隣にいる鎌男、サーティンに命令する。
その名前にシンヤはどこか聞いた事ある様なと反応する。
「ギャハハハハ!行け!固有魔法『愉快な闇』」
「ちっ、固有持ちか」
サーティンの腕から黒い液体の物がウネウネと出てきて、シンヤ達を囲む様に襲う。
シンヤは閻魔を抜き、襲って来る液体を全て斬る。
「ギャハハハハ!後ろだ!」
シンヤの後ろの液体からサーティンが笑いながら出て来て、二つの鎌がシンヤの背中を襲う。
「させません!」
ビリリリっとメイスに雷を纏わせサーティンを吹っ飛ばした。
すると、また液体から3体のサーティンが現れ襲う。
「修羅伍ノ太刀・ねじれの火車」
3体のサーティンを渦の様に回転して斬った。
「ほれ、10秒は経ったがまだピンピンと立っているぞ?」
「ふん、少しはやる様だな。サーティン!リバースの旦那。少しは戦力を分担するぞ」
「ギャハハ!了解だ、ファイブ」
リバースとウロボロスは右の方向に行き、サーティンは逆の左の方向に向かう。
「なぁ?もしかして俺一人をリンチでもするのか?」
「良いよ。お前らの作戦に乗ってやるよ。だが、悪いがお前の相手は俺じゃ無いのが惜しい。俺は竜の方に行く」
「私もあいつと決着をつけたいのでシンヤ君の方に付いてきます」
「なら、ボクは頭のおかしい方に行く」
「私もクロの方に行く」
リバースとウロボロスはシンヤとアリアで、サーティンはクロカとリン、最後に残ったマナとルティナはファイブとなったと思いきや、空から銀色の甲冑をつけた白髪の女が舞い降りた。
「やっぱり、来てみれば邪神教どもじゃないですか?」
「...何故ここにいる?戦を司る女神、アテナが」
「気安く私の名前を呼ばないで下さい。ド屑が」
4つの翼に銀色の鎧に丸い盾の真ん中に目の模様の様なものと剣を持っていた。
「ルティナ様はリン様とクロカ様の所に行って下さい。マナ様は少し喋りたいことがあるので、私の所に残っても構いませんか?」
「うん!分かった」
そして、ルティナはコクリと頷いてリン達の方に合流する。
「ふははは!まさかここで女神に会えるとは思えなかったぜ。思わぬ収穫だ」
「あら?私を倒すみたいな口振りですね?」
「下界に降りた神族なんざ敵じゃねぇ」
神族は本格的に力を発揮出来るので天界か神界だけになる。下界に降りれば実力や半分以下しか出せないので、だからあまり滅多に下界に降りて来ないのだ。
「そうですか」
ファイブは大きく大剣をアテナに薙ぎ払う。アテナはそれを軽く避けて剣でファイブの体に斬りつける。
「何の!」
「あら、斬られても顔色一つ変えないタフさは素晴らしいですね」
ファイブは再び大剣を横に薙ぎ払うがそれもまた避けられ反撃を喰らう。それを何回か繰り返すが全て避けられファイブは致命傷に近い無数の傷を負っている。
「威力は充分にありますが、スピードが遅いですね。攻撃力があっても当たらなければ意味がありません。貴方本当に邪神教ですか?弱いですね」
「はぁはぁ、ほざけカス。俺がタダでお前から攻撃を喰らってるとでも思ってるのか?」
「ふむ?」
「『苦痛なき貯金箱』お前から貰ったもの全て返してやるよ?」
ザシュ!
「アテナお姉ちゃん!!」
するとアテナから貰ったはずの傷が無くなったと思ったら自分自身にファイブに与えたはずの無数の傷が現れポタポタと血が流れ出た。
「カハッ、私の攻撃を喰らっていたのはワザとだったのですね?」
「ふん、女神であろうものが情けないな」
膝をついているアテナを見下す感じで見つめていた。
すると、アテナの前に盾を構えながらマナが立ちはかった。
「アテナお姉ちゃんを守るのは私の務め」
「ガキが調子に乗るな、お前に何が出来る?」
「貴方を殺す事は出来るよ」
「あはは、大きく出たものだ」
ファイブは大剣を片手でクルクルと回しながら、マナに近づいて行った。マナは盾を構えるとアテナがマナの方にトンっと手を置いたのだ。
「マナ様、大丈夫よ」
「ふん、タフな野郎だな。まぁ良い」
「マナ様、私は少し回復する。その間頼めるかしら?」
「うん!私アテナお姉ちゃんを守るから!」
「ふふ、頼もしい。そんな貴方にこれを授けるよ」
アテナは何もない所から丸い盾を出した。
「アイギスの欠片で作った盾。その名はアイガスの盾」
マナはその盾を受け取るといきなり盾が光出して蒸発するように消えた。腕盾に光の結晶が集まって腕盾に変化が現れる。
「何これ?綺麗」
黒色だった腕盾は白と金の色が付け足されている。まるで聖騎士のような感じになっていた。
「貴方は迷いがある。パーティの中で1番弱いと自分を責めてるでしょ?なら、ここで証明しなさい。貴方は決して弱くわない。邪神教の連中を倒して見せなさい」
「うん!」
マナは構えた。




