鴉対リバース大海賊団 7
「急ぐんだぁ!!今期待の冒険者パーティを無駄死にしない為に我らが助けに向かうぞ!!」
「「「「おおおお!!!」」」
冒険者ギルドは、やはりSSランク指定の依頼を受けて向かったシンヤ達の事が心配だった。
折角の期待の新人をSSランクになったばかりをすぐに死なせるのが勿体無く、本部から辞めさせる様に命令を下された。
だが、ギルド長は本部からの命令ではなく自分の意思でジョーククロウが心配だった。
SSランクの冒険者を殺した、災害級に殺されないかと心配でしょうがなかった。
「どうか、無事で祈るばかりだ」
〜〜〜〜〜
「ティナ、ウロボロスって?」
「ふむ、そうじゃな。簡単に言えば古龍じゃな。本来のゴッドメアと同じ強さじゃな」
本来のゴッドメアとは、前にシンヤが戦ったゴッドメアは生まれたてで、そして無理矢理進化させた事に本来のゴッドメアより弱いとアイが魔石の解析で伝えられた。
「あれより、強いのか...何とかなるだろ?」
「小僧?まさか、1人で行く気か?流石にあれ1人は馬鹿だぞ?」
「ティナがそこまで言う程強いのか」
「あははは、そうじゃな。戦闘能力的には未完成なゴッドメアの方が強いと思うのじゃが。厄介なのは死なないのじゃ」
「死なない?不死身って事か?どう倒すんだよ」
「知らんのう。殺し続ければいつか死ぬんじゃ無いか?」
脳筋な作戦にシンヤは少し呆れて居た。不死身の聞いてどう倒そうかと考えている。
するとリングからヒナタの声が聞こえてきたので、シンヤはリングに魔力を流した。
『ダーリン、何か強力な魔力を感じたけど、加勢した方が良い?』
「うーん、今は大丈夫かな。今からアイがフレシカとフレデリカを連れてそっちに戻させるから、やばくなった時はまた呼ぶわ」
『分かった...てか、クロカとマナはもうそっちに行っちゃったよ?』
ドン!!
腕盾の手のひらに乗っているマナと、杖を持ったクロカが空から降り着地した。
「アイはその2人を船の中に。俺の魔力の流れがヤバそうと思ったら何人か加勢にきて」
「了解致しました。どうかご武運を」
アイはフレシカとフレデリカを担ぎ船の中に戻って行った。
シンヤはリン、アリア、ルティナ、クロカ、マナの所に刀を抜きながら向かった。
マナはメンバーを見渡し、何か思い出す
「あれ?このメンバーって、初めてパーティを作った時じゃない?」
「ほーう、創設メンバーじゃな」
ジョーククロウを作った時の6人組だった。
そもそも、創設メンバーだけで戦うのはゴブリン討伐以来だ。すぐにルナとカノンが加入してきたので、創設メンバーで戦うのは久しぶりなのだ。
「てめぇら、絶対に殺す。俺の家族を殺しやがって」
「別に悪さをするなとは言わねぇが、お前が守れなかったのが悪いじゃないか?」
サラを守れなかった時、自分自身の弱さを恨んでしまった。
シンヤは誰一人欠けない様に、もっと強く。誰よりも負けない、彼女達を絶対に守る為に強くなって居た。
「てめぇ、マジでぶち殺してやる。いや、テメェの仲間から先に殺して絶望を味合わせてから殺す」
「殺す殺すうるせぇな」
「黙れ!!ウロボロス、あの男以外は容赦なく殺せ!」
「ガルルルルルル!!!」
ウロボロスの叫び声だけで、周りの木々を声の風圧で投げ飛ばす。
だが、シンヤ達はビクともしなかった。そのままウロボロスの方へと一歩ずつ歩いて行った。
「うーん...お手並み拝見」
クロカは相手の出方を探る為に、ウロボロスの周りに無数のファイヤーボールを放つ。
ウロボロスの巨体とクロカの魔法操作によって、全て命中した。
「え?よっわ」
ウロボロスは今の攻撃によって生き絶えた。ウロボロスから魔力の流れが止まったと分かり本当に死んだと確認出来た。今の攻撃で死ぬとは思わずクロカは呆気なく感じてしまった。
だが、ウロボロスの傷はどんどん塞がり再び立ち上がった。
「本当に、不死身だな」
「うーん、ティナ。ウロボロスって数多くいるか?」
「多く居たら世界滅亡しちゃうじゃろ。多く居て4〜5体じゃ」
「同族殺しとかしてそう?」
「あまり、聞かないのじゃ」
「うーん、困ったな」
不死身と聞いたら、過去に戦ってきた不死身に近い再生能力が高い敵を簡単に殺せた終焉ノ十字架を使おうとするが、ウロボロスには
相手が自分と同族を殺した事があるという、条件が揃わず発動出来ないのであった。
「クロ〜、前アイから見せて貰った動画の中でドアの魔法の奴は使えないの?」
「ドア?何それ?」
シンヤはなんの話なのか捉えきれず首を傾げる。クロカはドアと言う単語に反応して何を言いたいのか分かった。
「試して見る。リン、シンちゃん時間稼ぎして」
「了解」
「アイアイサー!」
どうやら、リンはナナリタの返事が気に入ったらしい。
「『魔道の王』...冥界の王よ。我が敵の愚者に天罰をくだせ。大地は枯れ、夜空は黒く、満月は赤―――」
「リン、行くぞ」
「アイアイサー!♪」
シンヤとリンは閻魔と聖剣エクスカリバーを抜いてウロボロスに立ち向かった。クロカが詠唱を唱え終えるまでリンとシンヤは軽く時間稼ぎをする。
「ーーーれて行ってあげよ。我が敵の愚者の前に門を現れよ!門の名は『死者の門』今はそれが開く!。リン、シンちゃん離れて」
「オッケー」
「わぁ!」
シンヤはリンの腕を引っ張りウロボロスから距離を取った。ウロボロスの前に大きなゲートが開いたのだ。
ドアが開き中から漏れ出す空気に、シンヤはズキンッ!っと何かに反応した。
「懐かしい...?」
シンヤは何故かそう思った。ゲートの中から無数の手が伸びウロボロスをドアの中に引き摺り込んだ。
ウロボロスは断末魔を上げながらゲートの奥に引き摺り込まれ、ゲートは閉まると共にクロカはその場で膝をついた。
「はぁはぁ、キツイ...ウロボロス以上の敵だと...これはダメ...だな」
無限な魔力を持っていても、ヴァルハラ・ゲートはやはり誰でも引き摺りこめる訳ではなかった。
「おつかれ、クロカ。今日何食べよっか?」
「...シンちゃん」
「あはは、分かった」
「え?私達何もしてないんだけど」
アリア、マナ、ルティナは何もしてない事に少し不満があった様だ。
「殆どお兄ちゃん達しか動いてないじゃん」
「そうじゃ!なら、我らもこんな小僧とやりたいのじゃ!」
「良いよ...ボク達5人で」
え?マジで?俺この5人と今夜相手するの?...死なないよね?
「おい!!」
完全に終わった感を出してた空気をリバースがぶち壊した。
「俺の子を舐めてるな!」
と途端にリバースの頭上からウロボロスが現れたのだ。
今まで戦ってきた敵は不死身に近い奴等だったが、ウロボロスは正真正銘の不死身だった。
「はぁ〜」
シュバンッ!
「は?」
シンヤは面倒な敵と相手してるんだなと深いため息を吐いて、ウロボロスをリバースの目に追いつけない程のスピードで首を切った。
「どうせ、これも死なないんだろ。どう、倒そっかな?」




