本当、久しぶりの依頼
アイが何とか船を作って貰った。船の大きさはそこら辺の船より何倍もデカかった。
「...海賊と間違われないよね?」
あまりにも凶々しい、黒金船にシンヤは苦笑いをして居た。
「出発は明日にしますか?」
「そうだな、何日海の上で生活するかは分からないからね。食料や水も確保するか」
この港から出発してから、目的の場所までは2週間の月日がかかるのだ。
シンヤ達の旅はゆっくりで気楽でいくと、楽しみに待っていた。
「船酔いとか酷いやつ居ないよな?」
と、訊ねると。メイ、イヴの2人が申し訳なさそうに手をあげた。
「...イヴは兎も角。メイは翼で飛んだりするだろ?船酔いするのか?」
「翼は一部だから船酔いはしないけど、本当は馬車でも船酔いしちゃうんだけど、アイちゃんの馬車は全然揺れないから大丈夫なの」
確かに今思い出せば、エルフ国で世界樹に行く時馬車の中にメイは結構静かだと思い出した。
「大丈夫です。そう思って、この船にはアリア様が船酔いを防ぐ効果を付与しておりますので、どんなに船酔いに激しくても、大丈夫ですよ」
「本当?、ありがとう〜。アリアちゃんもね」
そして、グループに分けて海旅用の材料を買って向かった。馬車の方は船の中に連結する様に作られていて、黒船の中に入ってある。
「ん?あんちゃん達はもしかして冒険者なのか?」
「ああ、そうだ」
シンヤ、リン、クロカ、メイ、レヴィは肉屋さんに向かうと、シンヤ達の姿を見て見て冒険者だと店員のおっちゃんがたずねた。
「もしかして、海賊討伐の依頼を受けてくれた奴らか?」
「お、そうだな」
シンヤはハンコをされてる依頼書を見せた。
「そうか、あんたらか...ハハハ、ありがたい。船旅様な食料を買いに来たのだろ?ほら、欲しいもの全部持ってけ!全てタダだ!」
「そんな事しても良いのか?どうするんだ、逃げたりしたら」
やはりこの依頼は危険で誰も受けてくれなかったのか、受けてくれる者が現れるとタダにする様にこの街なりの優しさだと感じた。
「あはは、それならしょうがない事だ。まぁ、ワシはあまり冒険者の事は詳しくないが、聞いた所あんたらは有名なやつなんだろ?本部に報告すれば1発じゃろ?」
「確かにな、まぁあんたらに迷惑かけてる奴を退治してくるよ。ありがとな」
シンヤは必要な肉の量だけアイテムボックスにしまった。
「あ、おっちゃん。お願いがあるんだ」
「お?なんだ、冒険者様の頼み事だ、ワシ達が出来る事ならなんでもやるぞ?船の整備か?」
「それは大丈夫だ。少し要らないものがあるんだ。処分してくれないか?欲しかったらあげるよ」
「別に構わんが...」
シンヤはアイテムボックスから、何かパンパンに入った袋を渡した。
渡す際おっちゃんは重っ!っと声を溢し中を見ると、何千万ギルぐらい入ってる金貨だった。
「な、なんじゃこりゃ」
「周りを見たところ、海賊どものせいで繁盛してないだろ?あんたらの家族やこの街の為に使ってくれ。俺たちには必要ねぇ」
この街は海賊のせいで、観光客が減り食料など奪われてると分かった。シンヤはその足しになる前に金貨を渡した。
「こんなの、貰えない...」
「肉のお礼だ。んじゃ」
「ありがとう、ありがとう」
おっちゃんはシンヤ達の偉大さに、涙を流し感謝の言葉を繰り返していた。
「どうか、死なないでくれ」
おっちゃんは、シンヤ達に聞こえない声で呟いた。
シンヤ達は材料を買い終わり、船の中にしまって行った。サラの両手には酒しかないと気付いたが、まぁ今回だけ許そうと見逃した。
「アイ、船の様子はどうだ?」
「オールオッケーです」
「なら、明日に向けて今日は体を休むか」
「「「「賛成!!!」」」
「ほーう、良い船てはないか!」
船に入ろうとすると、1人の正直が船の整備を感心して近づいて行った。




