聖国エルガルディ
「マスター、起きてください。もうすぐ着きますよ」
特にやる事がなく、シンヤは昼寝をしてしまったようだった。
聖国エルガルディ到着するので、アイに体を揺らされ起こされる。
聖国エルガルディに行く目的は二つあって、まず一つはアリアが行きたがっていたからと、もう一つの目的はそろそろアテナの事を何とかしないと行けないと思ったからだ。
正直行きたくなかったが、
王国の時アリアを狙うとする聖国の者がいたので、魔法都市の時と考えると面倒だと感じた。
教会に行ってアテナと合流出来たら合流して帰ろう。
まぁ、目立たずに入国する事は不可能だった。
アイが改造し尽くした豪華な黒金の馬車がどうやら俺達ジョーククロウのトレードマークになっていたのだった。
「少しお待ち下さい」
門番の人が馬車の豪華な黒金に直ぐにシンヤ達と気づき、慌てて奥の部屋に向かって行った。
待たされる事30分。門番の中から馬車が出てきて中から一人の老婆が降りてきた。
「あいつは...」
王国の時にアリアを勝手に貰うとほざいた奴だった。
「聖女様を早く引き渡して貰うか」
...は?
シンヤは馬車の外から聞こえてきた身勝手な言葉に、思わず聞き間違いか?と思ってしまった。
「マスター、あのお方は聖女様を早く引き渡せとおっしゃってましたよ」
アイがシンヤが聞き取れなかったと察して、老婆の言葉を繰り返した。いきなりの問題事にシンヤは頭が痛いと頭を抱えていた。
「なぁ、アリア。教会以外破壊して良いか?」
「ハハハ、そうですね。これは止める理由が見当たらないですね」
アリアはあまり面倒ごとが嫌いだったが、今回はシンヤは何もしてなく面倒ごとに巻き込まれた事に苦笑うことしか出来なかったのだ。
まだ、何かガビガビと喋っているがシンヤは馬車に降りて老婆と対面した。
「稲妻の聖女様はどこにいらっしゃる?」
「...いや、何故お前に引き渡さなくちゃいけないんだ?アホなのか?」
シンヤは苛立っていたのか、口調が荒くなっている。
「本当、お前の様な奴を見てると不愉快だ。目上の人にどう話すか、親にでも教わらなかったのか?それとも、親もお前の様なゴミだからか?」
「ゴミか...一つ分かった事は、お前よりはゴミじゃないって事ぐらいだな。知りもしなくせに、知らない人をそう侮辱するって笑えない性格だぞ?クソババァ、回復職に頭の中でも見てもらえよ?」
「最近調子に乗ってるガキが、お前を殺して稲妻の聖女様を渡して貰うぞ。聖女職は聖国にいるこそ相応わしいからな。アテナ様もそうおっしゃっておる」
「アテナ様?...そんなのお前らの虚言癖じゃねぇのか?あいつがそんな事言うと思わないけどな〜」
「お前、アテナ様をあいつ呼びとは無礼だぞ!!この愚か者がお前にアテナ様を語るとは虫唾が走るわ!」
「あっそう。まぁ、良いよ。俺らは教会に行きたいんだ。そこをどいてくれ」
「お前の様なゲスが神聖な場所に踏み入れるな。汚れる」
「一人の人間が入るだけで汚れるって、お前らの教会はそこまで汚れてるのか?」
「...はぁ、言葉も意味も知らないアホだったとはな。もういい、お前を殺す」
「そう、そっちがそうくるなら。こっちもそれなりの対応をするぞ?」
老婆の後ろから、ゾロゾロと白い鎧を着た12人の騎士が出てきた。
「はぁ〜、お前と話してると頭が痛いわ。もう、やってしまいなさい」
老婆は馬車の中に戻り、聖国に戻ってしまった。
12人の騎士の代表格の男が、一歩前立ち睨みつけながら口を開いた。
「私は円卓の十二騎士の一人、レオンパード=クリュンシュルだ。大聖女様の命令によって、貴様を始末する」
「あっそう。なら、一人ずつ来るのも怠い。いっせいに来い、俺一人で相手する」
シンヤは手をクイクイっと煽る様に振った。
リングから、リンとルティナに一人で戦うと言ってガビガビと言って来たが、一言謝ってナックルをはめた。
正直、最初からアテナの紋章を見せれば済む話だったが、自分の親を侮辱され、全員潰してから明かすのも悪くないと、シンヤの悪い部分が出てしまった。




