3人の事実確認
レヴィは椅子に座り、俺は地面に正座をさせられていた。
彼女達は、シンヤ達2人を囲むように色々と訪ねて来たのだ。
「んで、どこで知り合ったのかな?もしかして、殺したから仲良くなったとかじゃ無いよね?」
「仲良くはなってない...」
カノンの問いに、レヴィはブツブツと否定をしていた。
仲良くなったと思ってたのにと、シンヤはショックを受けていた。
「まぁ、南のダンジョンをクリアした後に一番最初に向かった街があるだろ?そこでたまたま再会して色々あったんだよ」
「本当、色々あったものだ。剣の街の時は、死ぬんじゃ無いかとヒヤヒヤしたぞ」
「あはは、あれは強かったな」
トュウェルブとナインの戦いは、本当に危なかったからな、魔眼を使ってれば楽には行けてたけど、今回の戦いで分かったことは、固有魔法を連発して消すと逆にこっちがやられるって分かったからな。
「ちょっと?2人だけで世間話楽しまないで下さいよ?」
「「あ、」」
アリアに指摘された事に、今の状況を思い出した。
「もしかして、貴方はあの時本当にマスターに手を出してなかったのですか?」
「だから、そう言ってんじゃん!」
「何?お前疑われてたの?あはは、見た目が敵みたいだからだよ」
「何その言い方?馬鹿シンヤも人の事言えないじゃん?うざ、え?まじでうざ」
「2回も言わなくて良いじゃん...」
「もう、あんたらそんなイチャイチャすんなら、付き合えば?」
アリアが2人の会話に聞いてられなかったのか、何故か揶揄ってきたのだ。
「はぁーー?!!馬鹿じゃないの?おい、馬鹿シンヤ!お前の嫁、頭狂ってんじゃないの?やばいよ?自分の夫を、他人の女に渡そうとしてるぞ?やばいやばいよあれ?!」
「ど、どうしたの?」
何故かレヴィが物凄く取り乱していた。
アリア達は、レヴィの反応に何か確信をした顔になっていた。
「リンお姉ちゃん、あれが本物のツンデレって奴だよ」
「マナ?そんな事言われても私どうすれば良いの?私の事中途半端なツンデレみたいな事言わないでよ、いやそもそもツンデレじゃないし...」
マナは事実を知って、もう訳なさそうに頭を下げた。
「もう訳ございません。マスターに危害を加えたと勘違いしてしまって」
「あんたも馬鹿なの?私は敵なのよ?敵に頭を下げないで、あと実際貴方達に危害をくわえたじゃん。そこのお嬢ちゃんが一番分かってる事でしょ?」
レヴィはキースの方を視線を移した、キースは自分の事を殺そうとした人物が目の前に立っていた事に何をするのか、シンヤは少し心配だった。
「...そうね、確かに殺そうとしたね。でも、もしあんたが私に呪いをかけなかったら、我従僕と出会いなかったかもしれないし、別に復讐しようと考えてないしね。てか、一回殺されてたし」
「...あんたの嫁、正気じゃないわよ。自分の事を殺そうとした人物が居るのに、許すってやばいよ?」
「なら、レヴィちゃんはもっと正気じゃないぞ?実際目の前にお前を殺した本人が居るのに、最近俺に対して殺意すら湧いてないじゃん?」
「...はぁ?!湧いてるし!あんたに対してめっちゃ、殺意湧いてる!馬鹿じゃないの!」
「マナ...あれが本物のツンデレなんだね...」
「ものほん、ぱねぇー」
マナは何故か慣れない口調に変わっていった。
カノンはコホンと咳払いを済まし、話を終わらそうと進めた。
「まぁ、色々分かった事だし。10:0で旦那様のせいですね」
「何故に?!」
やっと話が終わったと、レヴィは立ち上がりキースの横を通った。
「本当は悪いと思ってるわ、ごめんなさい」
「え...」
そう言ってレヴィは少し離れた所の壁に、寄りかかった。
「じゃ、話も終わりましたし夕飯にしますか!」
「そうだな」
アリアが夕飯だと提案して来たので、俺は正座から崩し立ち上がろうとしたが、カノンに肩を掴まれた。
「はい?」
「旦那様は終わってない」
「え?」
「次はアリアじゃぞ?何話を綺麗に終わらせて、自分の事を逸らそうとしたんじゃ?」
「...いや〜」
図星をつかれたのか、アリアの目は泳いでいた。
「アリアお姉ちゃん?話したくないなら、良いんだよ?でも、あまり隠し事はされると良い気分しないけど...」
「っ、」
アリアは姉妹の様に接して来たマナの悲しい顔を見て、自分の未熟さに反省した。
「そうですね、わかりました。先程の戦いを見れば、私は人族では無く、天使族です。私のフルネームはアリア=エンジェロクス。最上天使です」
最上天使とは最も神族に近い分類の天使のことだ。進化に成功すれば、神族になる事もあるが伝説の話だ。
アリアは自分が天使だと、証明をする為に背中に翼を生やした。
「うわ〜、綺麗。でも、どうしてアリアお姉ちゃんは、自分の正体を隠そうとしたの?」
「それは、私が天使だと名乗りたく無かったのです。天使族、神族が物凄く憎い...」
「天使族が同胞と神族の事が憎い?またはや、変わってるのう。また、何故なんだ?」
サラは天使族が、同胞とその上の神族が最高傑作のプライドの高い種族だと覚えていた。
「...」
「アリア、別にそこは言わなくても良いんだぞ?あとは俺がなんとか説明するから」
「いや、シンヤ君。私達は家族なのです。自分の事は自分でやります。そうですね、まず何故私が天使と神が憎いと言うと、シンヤ君を殺そうとしてるのです」
「「「「え?!!」」」
一同はアリアの言葉に驚いていた、普通に田舎の村で育った少年が何故天使や神に狙われてるのか疑問を抱いていた。アイとサラとレヴィは何か納得した様な顔になっていた。
レヴィは言葉をこぼしたのだ。
「...悪魔族の血統」
「はい、そうですね。私達天使は悪魔が生きてるだけで許せないのですよ。だから、生き残りを殺そうとするのですよ」
「へ?そうなの」
シンヤは俺を殺そうとする動機を初めて知って驚いていた、アリアは何故シンヤが狙われるのか、最近に気付いたが。
「じゃー、アリアお姉ちゃんは、お兄ちゃんを守る為に私たちの村にやって来たの?」
「...」
マナの問いにアリアは答えにくそうな顔になり、俯いて黙ってしまった。
「アリア辛いな「良いんです。話させて下さい」
シンヤはアリアが辛そうな顔を見てられなかったのか、話を終わらせ様とした。
「そうですね。シンヤ君、上の服を脱いで下さい」
俺は言われるまま、チャックを下げてハイネックジャケットを脱いで、黒Tシャツも脱いだ。
「この心臓の部分に貫かれた傷あとありますよね?」
「あるね、何か前に事故ったでしょ?」
「うん、本当はそれ嘘なんです。この傷は、私がつけました。私は一度シンヤ君を殺そうとしたのです」
「え?」
あれ程シンヤに慕ってたアリアが、シンヤを殺そうとした言葉が聞き間違いだと願っていた。
「隠しててごめんなさい、私を殴っても構いません」
「...何か理由があるんだよね?」
シンヤの事が大好きなクロカは、シンヤを殺そうとした事だけで許せない行為だが、アリアを信じていた。
「...そうですね。あれは、私達が6歳に上がったばかりの時期ですね」
アリアは過去の話を遡った。




