世界樹 2
2本目
ここは何処だ?
シンヤ?は、ある庭で木刀をひたすら振っていた。
周りから、コソコソと自分の事を話して居るものが多かった。
「あれが神童こざるよ」
「ちっ、女なのに刀を振っているのはあまり良い光景じゃないな」
「それに、カグヤザカ家の中で1番の実力者らしいよ。次の当主はあの子が務めるだとよ。女が当主って、あの家系も終わったものだな」
は?カグヤザカ家?女?俺男だぞ?うお!!女の体になってやがる
シンヤは自分の体を見ると、胸に膨らみがあったのだ。
何が起きたのか、近くの人に尋ねようとしたが体が一ミリも動かなかった。いま、自分の意思と違って勝手に動いて居た。
なんだよ、この感情は
シンヤの中から、悲しみ、憎悪、苛立ち、呆れ、そして辛さの感情がシンヤの中に溢れ返って居た。
途端に視線が変わりシンヤは、炎の海の中に立って居た。
「サクラ!!逃げろ!!俺はここまでだ」
目の前に、眼鏡の黒髪男が誰かの名を呼んだ居た。
その男は黒い何かに飲み込まれそうだった。
次は後悔、拒絶、そして死にたいと言う気持ちが溢れ出て来た。
まただ...
シンヤの視界は勝手に変わって行った。
今は何人かの男女で森の中を走り回って居た。
シンヤは今、1人の赤ん坊を抱いて居た。自分は後ろに振り返って目の前に居た2人の男と女にその赤ん坊を渡した。なぜか、その2人の顔が見えなかった。
「シ..ヤ...ご...んね...一...に...いられ...本...あい...る」
所々、自分の声が聞こえなくて何を言ってたのか分からなかった。
そこで、目が覚めた目の前に2人の女が居てシンヤは涙をこぼして居た。
「ちょっと!!バァさん!何でこんな事したのよ!」
「ダメだった、神化の条件ってマイナス感情が溢れる事だが、まだ足りなかった」
「俺に何をした...」
2人の意味深な会話だったが、シンヤはそれを気にせず自分に何をしたのか老婆に問いかけたが、老婆は自分の質問に答えずずっと考え事をして居た。
すると、シンヤの後ろから1人の女が現れた。
「シンヤ!!どうしたんだ!」
シンヤはサラに振り返ようとしたが、動くことも出来なかった。
サラは老婆の顔を見て見知った顔だったのか、その場で固まってしまった。
「大精霊王様?...何故此処に?それに、シンヤに何をした?」
「おや?君はサラじゃないか、どうしてここに」
「先に!!私の問いに答えろ!シンヤに何をした!!」
シンヤが倒れてる事に、老婆のせいだと思ったのか。
サラは怒りが込みあがり、老婆に向かって鎖で攻撃した。
老婆は軽く防御魔法を発動させて防いだ。
「おやおや、反抗期か?もしや、サラはこの子とどう言った関係か?」
「うるさい!!シンヤを返せ!!」
サラは老婆の問いに聞く耳持たず、そのまま攻撃し続けたが。老婆は魔法で全て防御した。
「成る程、想い人?いや、それ以上の関係か?夫婦と見た。これは使えるぞ」
老婆はニヤリと笑った。
ハルは止めようとしたが、今の状態は何も出来ずただ見てる事しか出来なかった。
「こっちに来い」
「カァ、」
老婆は左手を上げると、サラを自分の手までに引き寄せた。
サラの首を強く握りしめ、シンヤの方を嘲笑う様に見たのだ。
「ガハッ」
「坊主よ、お前の大切な人が死んでしまうぞ」
「やめろ...」
掠れた声で老婆を強く睨みつけた、シンヤは老婆の謎な魔法で動けなかった。
無理やり、体を動かそうとしたが一ミリも動けなかった。
「何も出来ないまま、お前は目の前で大切な人を亡くす思いを知れ」
「ぶち殺すぞ。サラからその汚い手を離せ」
「はっ!何も出来て無い奴がでしゃばるんじゃ無い」
「大精霊王、何故こんな事をする」
「お前は生贄だ。この世界の未来の為にお前はここで死んで貰う」
「クソ!!!とけ!!」
「おっと、それはやばい」
シンヤは自分にかかってる魔法に、魔眼を発動させた。
右目は赤く光ったはずなのに。それでも老婆から掛けられた魔法は解けて居なかった。
「何故だ、何故だ」
「そうか、まだ出せないか。はぁ〜しょうがない殺すしか無いか」
「やめろ!!!!」
シンヤは半悪魔化をした。老婆はその形態を見て呆れて居た表情になっていた。
「欲しいのはそっちじゃ無い。もう、良いよ。サラ、バイバイ」
老婆の手がサラの心臓に目掛けて突き刺そうとした時に、シンヤは無理やり動いて超スピードで老婆からサラを奪って助けたのだ。
「はぁはぁ、良かった」
「嘘だろ?私の魔法を無理矢理解いた?化け物か」
「サラ大丈夫か?...サラ?」
シンヤはサラに呼びかけたが返答は無かった、サラの体からポタポタと赤い液体が溢れて居た。
「お、おい?サラ、冗談はやめてくれ」
「坊主、お前は一足遅かったんだよ」
シンヤは老婆の腕を見た、サラの体にあるはず物が老婆の手にあった。それは、サラの心臓だった。
いくら、サラに呼びかけても返答する事も動こうともしなかった。彼はそこで初めてサラが死んだと分かったのだ。
「知れ、憎しみ、悲しみ、劣等感、無力感、絶望全て思い知れ。お前にとって大切な人を失うことによって神化の条件は揃うのだ」
「おい、何故殺した?お前のよく分からん事情の為にサラを殺したのか?」
「なっ、」
人の感情が極限までに達すると、充血する様に目の全体が赤くなり血の涙を流すと事がある。
まさに、シンヤはその状態だった。自分の無力感に、老婆に対する怒りの感情が込み上がって居た。
老婆はシンヤから感じる魔力、殺意を感じて。
無意識に自分の手足が震えて居た。
「お前を殺す、今ここで徹底的に殺す」




