魔力総量
「肉食いてぇ」
「分かるよ、お兄ちゃん」
シンヤとマナは、肉が食いたいとゴネて居た。
エルフの国に入り、ルナの屋敷に住み着いたから3日の月日が経って居た。
朝昼晩に、出てくる料理はどれも美味かったが、9割近く果物と野菜だった。
アリア「しょうがないです、エルフの主食は野菜や果物だからですよ」
「なら、私達が狩りに行けば良いじゃん。実際森は近くにあるし」
エルフの国は世界樹があるので、周りは森で囲まれて居た。リンの提案は自分達が森の中でモンスターを狩って食べる、その提案に乗ったシンヤとマナは瞬時に立ち上がった。
「よし、狩りに行くぞ」
「おー!!」
マナだけが、元気よく返事してくれた。
ルティナ「なら、冒険者ギルドに行って依頼のモンスターを倒しながら狩るのはどうじゃ?ご飯も食べられ、お金も貰える、一石二鳥じゃな」
「...あ、俺らって冒険者か」
最近冒険者っぽい事をしておらず、すっかり自分達が冒険者だと忘れて居たシンヤだった。
冒険者の単語が出てきたのか、シンヤはある事を思い出した。
「てか、そろそろ結婚しないか?」
アリア「最近バタバタしてましたからね。せっかくシンヤ君がAランクになったのに。次の目的地に観光し尽くしたら結婚の準備をするのも悪くありませんね」
「みんなで、パァーッと式あげるか」
シンヤは、楽しそうに結婚式の話をして居た。
「でも、お兄ちゃん。みんなであげるならアテナ様?も待たないとダメじゃない?」
「...あれから、話してないからな。ちょっと、冒険者行ってギルドカードでも更新しに行くよ。もしかしたら、何か連絡あるかもしれないし」
シンヤは立ち上がり、みんなで冒険者ギルドに向かって行った、ちなみにシェラードは仕事があると家を留守にしてる。
親子2人で落ち着かせる為にまだ、ルナとの関係を話して居なかった。
帰っ時に話すか
ギルドの中に入ると何も変哲の無い見慣れた風景だった。
とりあえず受付嬢がいるカウンターに向かった。
「依頼しに来たんだけど、何か美味しい肉系のモンスター討伐って無いか?」
完全にシンヤは、食べ物の事しか考えて居なかった。
受付嬢は手元にある、資料をパラパラとめくって居た。
「そうですね、これならどうですか?ボアです。魔力総量が10以上あれば、受けられますよ」
魔力総量??
「何、その魔力総量って」
「あ、もしかして。この国ははじめての方々だったんですね。説明しておらずすみません」
受付嬢は頭を下げ。
下から白い水晶を取り出しカウンターの上に置いて、話を続けた。
「魔力総量とはこの国では、魔力の総量を計測するのです。世界樹が近くにある影響で他のモンスターと魔法耐性が物凄く強いのですよ。普通の剣や斧だと切れにくく、魔力を込めてもそのモンスターより魔力総量が、低くても切れない事が多く、冒険の中で命を経つ人が多いのです」
「へぇ〜」
「なので、依頼の条件より魔力総量が低い場合は、受けられない様にしてるのです。調べてみますか?」
「お、調べる調べる。金は掛かるのか?」
「いえ、冒険者さんなら無料でやっております」
「シャラちゃん。待て待てそいつらは人族だ。俺らが先に測らせてもらうよ」
すると、後ろから割り込む様に2人のエルフが入ってきた。
2人のエルフはシンヤの前に立った。
「邪魔だ」
「先に話してるのは、こっちだろ?」
「うるせぇ、どうせ少ないんだから人族が測る価値も無いんだよ」
「はぁ〜、まぁ良いや。ほらよ」
シンヤは面倒事を避ける為に、先に2人のエルフに順番を譲った。
2人は白い水晶に手をかざすと、右のエルフは146左のエルフは201だった。
あれ、高いのかな?
周囲からはおぉぉ!という歓声が聞こえてきた、2人のエルフはドヤ顔を見せつけて来た。
「人族よ、これがエルフの凄い所だ。すまなかった、俺達の後になってしまって」
そうか、こいつらわざと順番を変えて俺らに恥を欠かせる気か
「受付嬢さん、これって何有れば良いのかな?」
「そうですね、人族なら50以上あれば凄い方ですよ」
「分かった」
「おいおい、本気で測るのかよ。100も行かない人族が測っても恥をかくだけだぞ」
ニヤニヤと挑発して来たので、シンヤも挑発し返した。
何故か冒険者達の視線がシンヤ達に集まっている
「どうだろね?俺はお前らよりあるんじゃない?」
「はっ、後で吠え面かくなよ」
シンヤが白い水晶玉に手をかざすと、水晶が震え出してパリンっと割れた。
受付嬢は、目を丸くして固まってしまった。
「え?あ、ご、ごめん」
「こ、故障でしょうか?少々お待ち下さい。新品の持ってきます」
受付嬢は裏に走りに向かって、箱から新しい水晶を取り出した。
「すみません、もう一度お願いします」
「はい、」
シンヤは再び水晶に手をかざす、それでも水晶は割れてしまった。受付嬢も2人のエルフも他の冒険者達も割れた事に驚いて居た。
「信じられません。測定不能、少なくても500以上」
「500以上だと!!あり得ない、人族がハイエルフよりだと言ってるのか!」
「でも、水晶が割れたって事はそういう事です」
「イカサマだ!!」
受付嬢が言う事は、2人のエルフは否定し続けた。
何故なら、あんなに煽っといて自分達より下だと思うと恥ずかしくなって居たからだ。
受付嬢はそんな面倒なエルフを無視して、シンヤを見て話を続けた。
「500以上の人初めて見ました」
「俺の連れも見て貰えないか?金は払う、俺が割れたって事は少なくとも後6つぐらいは割れるから」
「へ?」
次はリン達が水晶に手をかざした。
リン→割れた
クロカ→割れた
アリア→461
マナ→381
ルティナ→割れた
...ん?
シンヤは、ルティナの耳元で呟いた。
「ティナさん?君<気>で割ったよね?」
「いや〜、この後に1桁だい出すのも嫌と思ったのじゃ」
「まぁ、うん。そうだな、しょうがないな」
そして、次々とハイエルフより高い数値を出してる集団に、ギルド内にどよめきの声が鳴り響いた。
カノン→289
ルナ→329
アイ→割れた
スー→食べやがった
「スー!何やってるの!」
シンヤはいきなり、水晶を飲み込んだスーの肩を掴んだ。
「お〜美味しいのかなって?〜」
受付嬢は、何が起こったか混乱してる中新しい水晶を取り出して、スーは手をかざした。見事に綺麗に割れた
メイ→341
サラ→割れた
ヒナタ→割れた
イヴ→296
キース→237
「あり得ないです。何ですかこの冒険者パーティは全員エルフより上です。貴方達は何者なんですか!」
受付嬢は、シンヤ達に興味深々だった。
シンヤはアイテムボックスから、ギルドカードを取り出して渡した。
受付嬢はシンヤのギルドカードを、見て仰天した。
「貴方が!噂の冥帝様だったのですか!!なら、後ろの方は鴉...」
何か最近冗談の様な鴉を、鴉って略する人多いよな...まぁ、別に良いけど
「ひぃぃ、すみません。冥帝様と知らずに...」
2人のエルフは、シンヤが冥帝と知ると顔を青ざめて尻もちをついた。
エルフ達のビビり具合がシンヤを不安にさせた。
俺って、どんな噂流されてるんだろ
「何事だ!!」
エルフ2人が土下座をしてるのを見て、裏からエルフの女が現れた。




