私として
今回は視点がころころ変わります。
『リン!!!!!!』
「え?」
シンヤの声が響き回って居て、リンは周りをキョロキョロとシンヤの居場所を探した、だがシンヤの姿は見えなく声だけが聞こえてくるのだ。
『何をしてる!!!!馬鹿野郎!!』
「なっ?!ば、馬鹿野郎?!」
いきなり、人が沢山いる所で馬鹿呼ばわりされ、思わぬ言葉に驚いてしまって居た。
『お前は!!誰だ!!!俺はお前の誰を愛した?!!!』
「え?」
『何を迷ってる!!!俺が知ってるリンは!!!戦いの中で迷ったらなんかしないぞ!!!!ガハッ、ゴホッコボッ、あぁぁ〜クソいてぇ』
「シン!!!」
いきなりシンヤの様子が可笑しくなり、リンは大声でシンヤの名前を叫んだ。
『ちょっとズルい言い方をするがよ、お前は誰として誰の為に今戦ってる!!もし、お前が負けたらどうする!!」
「私が負けたら?」
リンはコヌーを見た、この試合はコヌーが一方的にシンヤを賭けていた。だが、リンは例え相手からの一方的でも、シンヤの事なら負けたくない。
私として、シンを守りたい。私は誰でもない、ただの私。リンだ!!
リンは自分が何者なのか、やっと分かり決意をした。
『それだよ、その決意の顔に俺は惚れたんだ。勝ってこい。その顔になったリンは無敵だからな!!頑張れリン!!』
すると、シンヤの声は途切れる様に消えていった。
リンはコヌーに剣先を向けてこう言った。
「今から、リンとして貴方を倒す」
「ふん、ちょっとは剣士の顔になったか?面白い!!!お前の剣士道とやらを見せて貰おう!!」
双方剣を構えた
シン...やっぱり、私はシンが大好き。私、シンが居なかったら、まともな生き方してなかった。本当に好き愛してる。世界一貴方が好き。
シンの事を想うと、負ける気がしない!!
お互い攻撃を仕掛けた。
シンヤは、言いたい事を全て伝えられ少しリンの事は安心になった。そして、近づいて来る男に目線を映した。
「まさか、自分で居場所を伝えるとはな」
「感謝してるぜ、テメェに飛ばされなかったら。こんな事伝えられなかったからな」
「何を言ってる?」
シンヤはボロボロのハイネックジャケットを脱いで、雷電を構えトュウェルブに近づいて行った。
「そんな状態で、まだ立ち向かうとするのか?」
「当たりめぇだろ?1人の女が俺の為に頑張ってんだ。なら男として答えるべきだろ?俺はあいつらの事を想ってると最強になれる気がするんだよ」
雷電の柄を両手で握りしめ、剣先を天に向けた。目を瞑り深く深呼吸をした。
トュウェルブは目を瞑ってる状態のシンヤに超スピードで近づき顔目掛けてパンチを仕掛けた。
「雷電伍ノ太刀・雷切」
シンヤの顔に命中したと思ったら顔がぐにゃりとなり顔が霧の様に吹き飛んだと思ったら、横にシンヤが立っていた。
シンヤは鏡花水月を利用して避けたのだ。
ゆっくりと、トュウェルブに向かって刀を振り下ろした。
「遅い!!ガァ!」
一度だけ剣を動かしたはずなのに、トュウェルブに無数の斬撃が襲っていた。
シンヤは瞬き一つの間に自身の間合いに百を超える斬撃を繰り返していた。
だが、シンヤは無理に高速に動いた為怪我を悪化させてしまいその場で倒れてしまった。
トュウェルブもシンヤの百を超える斬撃を食らってしまい立ち上がる事が難しかった。
2人は決着をつける為、再び立ち上がろうとしていた。
「例え剣士の顔になったとしても、猿真似は消えない様だな」
「そう。もうお前の動きは覚えた」
「何?」
リンは構え方を変えた、その構えにコヌーは目を見開いて驚愕した。自分が握りしめてる柄を強く握りしめたのだ。
「それは、俺の構えか?」
リンは先に仕掛けた、コヌーは超スピードでリンの連撃を全ていなしたのだ。
「例え俺の真似ても、本物には勝てないぞ!!この偽物が!!」
リンに向かって剣を横に薙ぎ払った、それを受け流し、回転の勢いでコヌーの脇腹に向かって攻撃したがコヌーはそれを予測して剣で防御したが、飛ばされてしまったのだ。
「確かに、貴方の真似だけのならオリジナルには勝てない。でも、私は貴方でもシンでも無い。リンよ、私のやり方でやる」
コヌーは自分の真似してくれた事に好都合だった、自分自身の剣の癖を全て把握しているので、次の攻撃が予測しやすかったり、弱点を突いたらする事が出来るのだ。
リンが次の攻撃を仕掛けた、コヌーはその動きを知っていて次の動きのモーションを先回りに動き反撃を狙った。
途端いきなり人が変わったかの様に動きが変わり、リンの攻撃を食らってしまった。
「何?!」
「まだまだ!!」
「ふっ、その動きは!」
コヌーはニヤリと笑った、リンはコヌーに向かって横に薙ぎ払った、その動きは完全にコヌーの動きでその弱点をコヌーは知っていた。
(0.5秒だけ、その動きは右の脇腹が隙だらけになるんだよ)
コヌーは肩を確信したのか、笑みを溢してしまい。
リンの右の脇腹に向かって剣を振り下げた。
だが、その攻撃が当たらず高速で三つの斬撃がコヌーを襲った。
「くっ、」
コヌーは三つの斬撃をギリギリに防御した、リンは次々とコヌーに連撃を繰り返していたのだった。
だが、リンの動き毎回変わり、コヌーは完全に混乱していた、まさにコヌーはこう思った
「俺は一体、何人の奴と戦ってる?目の前に1人しか居ないのに、同時に無数の奴を相手してるみたいだ」
そう感じていたのだ、その動きにコヌーは大笑いをした。
「あっははは、俺は勘違いしていたよ、お前のはただの猿真似野郎では無い。本物の奴から真似ても本物の奴に劣る、だがその劣ってる差を他の奴らから補ぎなう」
「ご名答、名前を付けるなら『合成複写』これが私だよ」
「先程のお前を馬鹿にした言葉は、全て撤回しよう。お前もなかなか悪く無い剣士だな」
「なかなかは余計よ」
双方構えた、コヌーはリンの今の構え方が見た事なかった。
「初めての構え方だな?誰のだ..お前のか?」
「違うよ、これもシンの真似」
「何?俺が知らない?」
そう、コヌーは思考の中で何百回とシンヤと戦っていた。
例え動画で出さなかった動きでも、動画で写ってた筋肉の動きから予測するのだ、それが彼の才能の一つだ。
だが、リンが今シンヤの真似と言っていたが、その動きが予想していたのと全然違っていた。
「終わらせるよ?」
リンが超スピードで、向かっていた。やたら姿勢が低い事に気づきコヌーはしたからな攻撃だと気付いて先に剣を振り下ろした。
「修羅参ノ太刀・昇天炎龍」
「な?!」
剣を下から上に向けて円を描くように振るった、本来なら炎を纏わせるが魔法の禁止の為、ただ剣を下から上に振っているだけだ。
だが、コヌーには魔法を使ってないと分かってる筈なのに龍の炎が出ていた事に錯覚していた。
「参った、俺の負けだ」
リンはコヌーの首に当たる数センチで刃を止め、コヌーは負けたと確信して剣を鞘にしまったのだ。
司会者が決着がついた事に気づきゴングを繰り返しに鳴らしていたのだ。
『試合終了!!!今年の優勝は!!初参戦のリン選手だぁ!!!』
優勝者が決まり、会場は大盛り上がり。リンの四方から歓声の嵐だった。リンはカメラに向かって満面な笑みでVサインを送った。
「シン!!何処にいるか分からないけど。私優勝したよ!!後で褒めてね!」
何処にいるか分からないシンヤにそう伝えた。
リンはシンヤがこの戦いを見ていると感じていた。
シンヤはリンが自分に送った言葉を見て笑みを溢してしまった。
「リン勝ったんだな。流石だな」
「お前、僕に再生の時間を与えて良いのか?」
「悪い悪い、俺の嫁に見惚れてしまってたよ。リンが勝ったんだ、この戦いは負けられなくなってきたな!!まぁ、最初から負ける気はねぇがな」
「再生も出来ないお前が今の状況をどう打破する?」
「根性だ」
「成る程!!それは良い答えだ!!」
拳も刀がぶつかり合った
念話で、伝えられたんじゃないの?って思われた方いると思いますが。念話は魔力を使うので、試合中のリンが魔力を使ってしまうと失格になるからの理由で念話で伝えられなかったのです。




