夫を心配する嫁達
リン達は会場に向かって居た、クロカがリンの右手を繋いで来た。
「リン...緊張してるの?...大丈夫..リンは優勝...出来る..ボクは応援してる」
「ありがとう、クロカ。私頑張って来るからね」
「ん...優勝して来なかったら...罰ゲームね」
「分かってるよ。親友のクロが舞踏会で優勝したんだ、私も優勝して来なくちゃね」
クロカから応援されて、リンは優勝を狙うと心が燃え上がって来たのだった。
リンの姿を見つけたのか、大会の役員が走って近づいて来た。
「リン選手ですか?」
「うん、そうだよ」
「良かった、街の放送でも伝えましたがすみませんが予定されて居た時刻より一時間早める事になりました」
「え?何で?」
リン達は馬車に居たので街の放送の声が聞こえて居なかった、何故1時間早めるのかリンは気になり首を傾げた。
「そうですね、どこから不穏な魔力をいくつか確認しまして、大会を早く終わらせて警備隊をそちらに回したいと上からの命令が来まして」
「不穏な魔力?」
「はい、不穏な魔力を感じたと思った瞬間地面が揺れたのですよ」
不穏な魔力、地面が揺れた話はトュウェルブが30%になって、思いっきり横に腕を薙ぎ払った勢いで地下室が破壊された時の事だった。
アリアは1時間早める事に困ってしまった。
「どうしましょう、シンヤ君に連絡しないと行けないですね」
「なら、私がマスターに伝えます」
アイはリングに魔力を流し、シンヤに念話をつなげた。だが、シンヤから返答が無かった。
「返答ありませんね?」
「珍しい、旦那様繋がらなかった事今まで無かったのに」
「シンヤさんの事ですよ?どうせ何処かで事件に巻き込まれてると思います」
「そもそも、お兄ちゃんが1人でどこかに出かけた事自体もう面倒ごとに巻き込まれてるんじゃない?」
「「「....確かに」」」
一同は声を揃えて言った
「まぁ、シンがついた頃には私が優勝してるって見せれば良いか」
「頑張って下さいよ、リンさん」
みんなはリンに応援の言葉を送って、大会の役員の案内で待機室に入った。
「リン選手様、準備を終えましたので舞台まで案内します」
「うん」
リンは椅子から立ち上がり自分の量ほっぺを叩いて。闘技場に向かっていった。
闘技場に上がると、コヌーが先に立って居た。
「兄者!!頑張って下さい!!」
「おう、ヌヌー!!今年も優勝するぞ!!」
コヌーは応援先で大声で応援していた、弟だと思われる人物と楽しく会話をしていた、コヌーはリンの姿を確認して目つきが変わった。
「約束覚えてるか?お前を倒したらシンヤと結婚すると」
「その話、シンヤを倒したらじゃないの?まぁ、良いや、私負ける気これぼっちも無いからね。シンヤの何に惚れたかは知らないけど、軽はずみの愛ならやめて」
「ふん、軽はずみでは無い。2人と永遠に剣の深みを高め合うんだ」
「そんな事で私からシンを奪おうとしてるの?ふざけんな、私のシンを奪わないで、私の恩人で私の愛しな人は渡さない」
「猿真似野郎が何を言う、お前を倒す」
リンとコヌーは剣の柄を強く握りしめて構えを取った。
『それでは、決勝戦。リン選手対コヌー選手の試合を始めるぅぅ!!!』
司会者が開始と放ちゴングが鳴った、お互い動かず相手の出方を探っていた。
そして、同時に仕掛ける為に近づこうとした瞬間、2人の動きは止まった、いや会場中の人が応援してた声がピタリ止み金縛りの様に動けなくなっていた。
「...何ですかこの殺気は、この魔力はマスターのです」
アイが立ち上がりシンヤだと思われる凶々しい魔力を感じる方向を振り向いた。
会場中、いや街の中は凶々しい魔力と殺気を感じて動けなくなって居た、その正体がシンヤと知らず。
鴉達はシンヤと気付いて、何が起こって居るのか混乱していた。
「どうする?これダーリンの所に向かうべき?」
「そうだね」
ヒナタとメイが立ち上がり、シンヤの魔力だと思われる方向に向かおうとしたがアリアとクロカに止められた。
「待って、そんな事はシンヤ君は望まないです」
「ん...シンちゃんは...自分から始めた問題を...私達が巻き込まれる...嫌ってる」
「それに今リンの試合です。シンヤ君も人の事が言えませんが、家族が頑張ってるのに、何故見てやれ無かった?応援しなかったとシンヤ君に言われますよ」
「でも...」
ヒナタはシンヤの事が心配だった。
「大丈夫です、どうせ。リンの試合が始まった事に気付いて早く終わらせる為に本気で行ってるだけですよ」
「...試合終わったら..すぐに向かえば良い」
立ち上がった者は、アリアとクロカの説得にまずは大切な家族であるリンの試合の応援を優先した。みんなは、夫の無事を祈った。
だが、アリアは考え事をしていた。
(例え本気で行くって言っても、あの形態を使う程ですか?)
アリアはシンヤの性格上、シンヤはあまり強化系の魔法を使わず極力素の状態で戦うとするとわかっていた。
龍神化、半悪魔化はシンヤの奥の手なのでそれをホイホイと使おうとしないのだった。
(もし、あの形態を使わないと勝てない相手だったら...)
アリアはどんどん、シンヤの事が心配になって来た、闘技場に居るリンも同じ考えだった。
リンがシンヤの、心配を考えてると。コヌーが仕掛けて来たのだった。
「避けられたか、試合中に考え事とは剣士として感心しないな」
リンはコヌーの攻撃を軽く避けた
「そうだね、今は試合に集中しないと」
リンとコヌーは睨み合った。そして、2人は超スピードで近づき剣と剣がぶつかり合う音が会場中響き渡ったのである。




