リンの微かな異変
「「...」」
昨日のシンヤと同様に、ヒナタとメイは落ち込んで居た。話題の冒険者パーティが次々と失格して噂で、もしかして大した事ない?馬鹿な集団の集まり?などの鴉を否定する輩が次々と現れてきていた。
「まぁ、2人ともそんな落ち込むなって。な?」
流石に落ち込み過ぎてる、2人にシンヤは頑張って慰めようとしている。
「ごめんね。みんな、私のせいで」
「余が、不注意だったせいでみんなに泥を塗るような事しちゃって」
他行から鴉を馬鹿にする様な声が自分たちのせいだと言い張り、涙目になっていた。
シンヤはその2人を優しく抱きしめて、頭を撫でてあげた。
「大丈夫だよ。2人のせい何てないから、俺もやらかしてるし。言いたい奴には言わせれば良いんだよ」
「ダーリン」「シー君」
「ヒナタやメイを悪く言う奴は俺がコロ「バカ」イテ」
呆れた顔でアリアはシンヤの頭をチョップされた。
「そんな事したら、犯罪者集団に早変わりですよ!」
「冗談だよ」
シンヤは冗談だと言い張り、拗ねた様にブツブツと喋っていた。内心ではガチで殺す程では無いが半殺し程度にする気満々だった。
「そんな奴らほっとけば良いじゃないですか。どうせ、口だけ達者よ人達ですから。裏でガビガビと言って面と合わせれば何も言えない連中ばっかですよ?」
「でも〜お前らの事を悪く言われるのは、オレが耐えきれないよ」
「私もそうです。シンヤ君を悪く言う人は殺したい程思いますがここは堪えて下さい」
アリアはそう言い、シンヤはヒナタ達を悪く言う奴らを制裁する事を我慢した。
夕食の時間になりシンヤは修行部屋に向かって行った。
「リン、もうすぐ夕食の時間だ」
「うん、分かった。シャワーしてから行くよ」
「ほら、タオル」
シンヤはタオルをリンに渡した
「どうだ、剣の修行の成果は?」
「悪くないと思う」
「そうか、頑張れよ」
「うん、ねぇシン。久しぶりに2人っきりでお風呂入ろ?」
リンが気恥ずかしそうに聞いてきた。シンヤはその可愛らしいリンに微笑み頭を撫でた。
「良いよ」
2人は優雅に風呂を堪能した、リンはシンヤの背中を洗ってあげた。
「...」
リンはシンヤの背中に2つの矢で射抜かれた様な傷を見つめて、子供の頃を思い出していた。
「リン?どうしたの、手止まってるよ?」
「あ、ごめんごめん。ちょっと昔の頃を思い出してたの」
「そうか、リンもしかして。あまり剣の修行捗ってないだろ?」
「え?」
「最近元気がないぞ」
シンヤはリンの少しの変化に気付いていた。
「そうかな?」
「うん、昔のリンみたいになってるよ。何かこう落ち着きがないって言えば良いのか、うーん、何かに焦ってる感じだな」
「昔の私か...」
リンは持っていたスポンジを、強く握りしめた
「まぁ、今何に焦ってるのかは知らないけど。悔いが残らない様にな。俺は考え込むリンより。いつも、何も考えずに突進するリンが大好きなんだよ」
シンヤは笑顔でそう言った、リンは少しジト目になりながら
「それ馬鹿って言いたいの?」
「脳筋って事だよ」
「ほとんど一緒だよ!」
シンヤは立ち上がり、身体中や泡を水で流した。
そして、シンヤはリンの唇にそっとキスをした。
「悔いが残らない様に。俺は先に上がってるよ」
シンヤは先に上がった、リンは自分の唇を指でそう様に触り考え事をしていた。
「私って人のものを真似する事しか出来ないのかな」
リンはそうポツリと呟いた、そして大会当日もなりリンの2回戦が始まる。見事に瞬殺だった、ちなみにコヌーはヒナタとメイが2人とも失格した為、コヌーは勝ちとなった。
明日は3時から決勝戦だ。リンはそれに向けて先に馬車に戻り修行に育んだ。




