ヘアピン
2本目
「ご馳走様、貴方の血なかなか美味しかったわよ」
レヴィの傷はみるみると回復していた。
「すごい、力がみなぎってくるわ」
「どうする?あれお前がやるか?」
シンヤは壁に埋もれてるシェラシェラに指を指した。
レヴィはみなぎって来てる力を試したくて、ウズウズしていた。
シェラシェラは立ち上がり、シンヤを睨めつけた。
「たかが、人族が俺に触れやがって。万死に値する!来い!俺の犬達」
シェラシェラがそう叫んだ瞬間、周りにキラーウルフの集団がシンヤ達を囲んだ。
「レヴィちゃん俺も加勢する、せいぜい怪我するなよ?」
「おい、馬鹿シンヤ。誰に向かって言ってるの?これ、食べる?」
「お、貰うね」
レヴィはベルトポーチから、二つ棒付きキャンディを取り出してシンヤに一個渡した。2人は棒付きキャンディの袋を剥がして口や中にいれた。
「やれ!!」
シェラシェラがそう叫んだ瞬間、キラーウルフがシンヤ達を襲った。シンヤとレヴィは襲ってくるキラーウルフを次々と倒していた。
お互い初めてのタッグのはずなのに息がぴったりだった。
「な、ん、だと?30以上はいた」
キラーウルフは2人によって瞬殺された、シェラシェラは自分のキラーウルフは育てていたので並みのキラーウルフよりは何倍も強いはずなのに、それを瞬殺された事に酷く動揺していた。
「あとお前だけだ」
「ちっ、死ね」
シェラシェラはシンヤに向かって魔法を放ったシンヤは軽くその魔法を斬ってる隙にシェラシェラは逃げようとしたが、レヴィがそれを許そうとしなかった。
「馬鹿ね、貴方さっき私を倒したからって、私に警戒してなかったでしょ?」
「何故こんな短期間でそれほど強くなってる」
「さぁ」
レヴィはシンヤの血を飲んだおかげで力が膨大に膨れ上がっていた。
シンヤは大ハサミをレヴィに投げて、それを受け止めて刃と刃の間にシェラシェラの首があった。
「バイバイ」
レヴィがそう言った瞬間、シンヤとレヴィが指穴に手を入れてハサミでシェラシェラの首を切り落とした。
すると、シンヤはレヴィに向かって物申した。
「おい!何ちゅうの俺に渡した!びっくりしたぞ!」
レヴィから貰った棒付きキャンディが物凄く不味かった。
「え?あ、ごめん。生魚とわさび味を渡しちゃった」
「何でそんな味があるんだよ」
「私は結構好きなんたけどな」
レヴィは少女を拘束してる紐をといた。
「うわぁぁぁん」
「もう、安心して。悪い奴は倒したから」
少女が助かったと安心して、レヴィに泣きながら抱きついた。レヴィは少女を抱っこして3人で地上に上がった。
少女は落ち着いたのか泣くのを辞めて、シンヤとレヴィの真ん中で2人の手を繋いで、少女の親を探した。
「ネイ!!」
「ママ!」
少女、ネイが母親を見つけた瞬間母親に走っていって抱きついた。
「何処に行ってたのよ!」
「私ね、お姉ちゃんとお兄ちゃんに助けてくれたの」
「そうなの?それは良かった」
ネイの母親は何から助けてもらったのか分からなかったが、シンヤとレヴィが自分の娘を面倒見てくれた事に感謝をしてくれた。
「ありがとうございます、私が目を離した隙に消えていてどうなるかと思いました。本当にありがとうございます」
「次は目を離さないで下さいよ」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん。ありがとう」
「貴方もあまりお母さんに迷惑かけないでね」
「うん!」
レヴィは別れ際にずっと手を振っていたネイに微笑んでいた。それを見てたシンヤはある疑問を抱いた。
「何よ?」
「お前ってさ、本当に自分の意思でお嬢に呪いをかけたのか?」
「そ、そうよ?あのお嬢ちゃんの魔力が膨大だったから呪いをかけたのよ?悪い?」
「ふーん」
こんなに子供に優しく、助けようとしてたレヴィが自分の意地でキースに呪いをかけたのかと疑い始めたが、レヴィは少し戸惑いながら自分の意思だと答えた。
その、戸惑っていた事に少し怪しんでいた。
「げっ!!」
シンヤは留守番中のグループが欲しがってるものをまだ買ってなかった事を思い出した
「どうしたのよ?」
「やばい!まだ頼まれてた品まだ買ってない!」
「えーー、何してるのよ。どれ私に見せなさい」
シンヤはレヴィにメモ帳を渡した
「あー、これなら何処にあるか知ってるよ」
「案内してくれ!」
シンヤは焦りながら、レヴィの両手を掴んだ
「落ちついて、案内するから」
レヴィが案内のもとシンヤの買い物が続行した、リン達が欲しがっていたのを全て買えた事にシンヤは一安心していた。
「レヴィちゃん、助かったよ。ありがとう」
「ふん」
感謝された事にレヴィは少し照れ臭そうになった。
「そういえばヘアピンはどうしたの?」
「え?」
シンヤがレヴィのヘアピンが無くなってる事に気づき指摘したな。レヴィも自分のヘアピンが無くなってる事に気付いて居なかった。
「あれ?吹き飛ばされた時に無くしちゃったのかな?」
「やっぱり、無くしてたのか。良かった、これ買ったからつけなよ」
「ちょっ」
シンヤはさっき街中を歩いてる時にレヴィの為にドクロマークがあるヘアピンを買って、それをレヴィの前髪につけた。
レヴィはヘアピンをみる為に、店の窓を鏡がわりにして自分の姿を確認した。
「ちょっと、ドクロはダサいよ!」
「えー、可愛いと思ったのに」
「ふん、まぁ良いわ。でも少し大きわね、ツノ当たらないか?」
レヴィはヘアピンに当たらないのか、試しにツノを生やして確認した。
「うん、ちょうど良いね。ありがとう馬鹿シンヤ。どう、似合う?」
「おう、物凄く似合ってる。可愛いぞ」
シンヤは笑顔で言った、レヴィは似合ってると言われると少し照れ始めた。
「そう、馬鹿シンヤの癖に生意気ね。可愛いは余計っつうの」
2人は歩いていると、シンヤはレヴィがこれからどうするか気になっていた。
「レヴィちゃんはどうするんだ?」
「私は自分の力を取り戻しに旅を続ける」
「ふーん、なら俺らと一緒に来ないか?」
「馬鹿なの?馬鹿シンヤが良くても、自分を殺そうとした人物と一緒に旅したく無いでしょ?」
「た、確かに」
「だから、ここでお別れね。結構お前との1日は悪くなかったわ。次会う時は敵同士だ」
「おう、あ、そうそう。レヴィちゃんこれあげるよ」
「ん?」
シンヤはレヴィにナイトメアの魔石を渡した。
「それが有れば、もっと強くなれるのだろ?さっきの魔族を瞬殺出来るレベルまで強くなれると良いが」
「馬鹿ね、敵を強くさせちゃって良いの?」
「あはは、俺はレヴィちゃんをもう敵として見てないし」
「ふん、言ってなさい。まぁ感謝はする。お返しにこれあげるよ」
レヴィはまた、生魚とわさび味の棒付きキャンディを渡した。
「また、これか..サンキュー。あと、顔蹴って悪かった」
「気にしないで、私達は敵同士殴られようが蹴られようが殺されようが関係ないよ。じゃーね」
「おう、じゃーな」
2人は別々の道に向かって別れた。
レヴィはポツリとつぶやいた
「それに、これ以上貴方と一緒に居ると。私は貴方を殺せなくなっちゃう」
レヴィはシンヤから貰った、ヘアピンを嬉しそうに触っていた。
シンヤはテレポートで馬車に戻った。
「珍しいですね、シンヤさんが最後ですよ」
「すまんすまん、迷子になってたから」
「それで、マスター次の目的地は決まりました?」
「みんな、おすすめはあるか?」
シンヤの問いにみんなは考え込んだ、するとリンがある事を聞いて来た
「武闘会みたいな、大会とかないの?」
「あ、それなら」
アイがリンの問いに何か思い出したのかチラシを出してみんなに見せた。
「剣の大会が近々開きます」
「よし!決まりだ!そこに行くぞ!!」
次の目的地は剣の街と言われてる、ソードュ街と決まって出発した。
シンヤはレヴィから貰った、キャンディの包み紙を剥がして舐めた。
「あれ?案外悪くねぇ、味だな」
ぐったり買い物編は終わります。次は剣の街編に入ります




