やはり、貴族にも良い奴はいる者だ
「君が我娘が連れて来た子かな?」
「ん?そ、そうだが?」
キースが着替えて来ると言って、シンヤがリビングで待機してる時、キースのお父さんと思われる男性が笑顔で聞いて来た。目は笑って居ないが。
「キースとは、いつからお知り合いだったのかね?」
「先ぶりだな?」
「先ぶり?」
「ああ、そもそも俺はこの国に到着したのも今朝だしな」
「そうだったのか」
キースの父親はこの国の者じゃ無いと知ったのかホッと胸を撫で下ろした。
シンヤに聞こえない様にブツブツと喋り始めた
「良かった、旅の者ならすぐにこの国から出発するのだろう」
「?」
なんだ?この国に長く滞在しちゃ、ダメなのか?
普通の人なら聞こえない声だが、シンヤは耳が良いので全て聞こえて居た。
「おっと、まだ自己紹介をしてなかったね。私はベドュ=ホシルヴァだ。宜しく」
「俺はシンヤだ。家名はない、ただの平民冒険者だ」
「冒険者だったのか。これはいつもモンスターの討伐ありがとう」
ベドュはシンヤと握手をした
良かった、平民嫌いの貴族では無いのか
貴族の大半は平民をゴミとしか見た無いので、ベドュはその貴族の分類じゃ無いと確認出来て良かったとシンヤは思っている。
「娘から少し聞いたぞ。アホどもを瞬殺したらしいな。さぞかぞ、上のランクと見たが実際ランクはなんだ?Bかい?それともAなのか?」
「俺は先日Sになったばかりだよ」
「ほーう!まさか、超人の領域と言われてるSランクの冒険者様だったのか。シンヤ様と呼ぶべきか?」
ベドュは揶揄う様にシンヤ様と呼んだ
「様は辞めてくれ、貴族みたいなお偉いさんに呼ばれるのは何かむず痒いだ」
ん?アテナも偉いだっけ?
「あはは、分かったぞ。キースが連れて来たんだ、今夜は増分にご馳走しよう」
「ありがたい」
扉が開く音がした、美しいドレス姿のキースだった
「従僕よ、どう、似合う?」
「ん?似合うぞ?なんだ、どっか出掛けるのか?」
シンヤはキースが豪華な服装をして居たので、どこか出掛けると勘違いしていた。
今のシンヤの言動にメイド達や後ろに立っていた執事がため息を吐いていた。
「従僕は馬鹿?」
「え?!」
いきなりキースに馬鹿呼ばわりされてシンヤは少しショックを受けていた。
もしかして、褒め方が足りなかったのか?
「キース」
「めっ、いつもみたいに呼んで」
「お嬢、そのピンクのドレス似合ってるぞ。綺麗だ」
「そう、ありがとう」
キースは少し嬉しそうに下を向いた、メイドや執事達はその光景をニコニコと笑って居たが1人だけシンヤに睨め付けてる人物が居た。
「な、なんだよ」
「いや。目の前で愛しの娘が口説かれてるのを見てるのもあまり良い気にならなくて」
「パパは黙って!」
「はい...」
そして、執事の男に食卓が並んでいる。長いテーブルが置いてある部屋に連れてかれた。
執事の案内にシンヤは席に座った、するとキースが椅子を引きずってシンヤと密着するぐらい近くに座った。
「お嬢、近く無いか?」
「私が食べ方を教えるよ」
「そうなのか」
すると、メイド2人が扉を開けたら1人の女性が入ってきた
「ママ、おかえり」
「キースとベドュただいま。その子は?」
キースの母親がシンヤを見た、シンヤはペコリと頭を下げた。
「キレシュお疲れ様だ。その子はキースが連れて来た子なんだ」
「まぁ!あらあらキースが連れて来た子ね!私はキレシュ=ホシルヴァね!宜しくね!」
キレシュはメイドに自分の席を案内されて、座った
シンヤの後ろに執事が立ち
「シンヤ様はお酒は飲めますか?」
「ん?あー、一応飲める」
「それは、良かったです。では、此方をどうぞ」
シンヤの手前にワイングラスにワインを注がれて行った。
目の前にあったナプキンを取り、ナプキンは広げて半分に折り、太ももの上にかけた。
「此方は生ハムとトマトを使った前菜になります」
シンヤは1番左奥のフォークを取り一口一口丁寧に食べた
「次はビックリコーンを使った、スープとパンでございます」
シンヤは左にあるスプーンを手に取り、スープはスプーンを手前から奥へ動かしてすくい飲んだ。
最後にスープの残りが少なくなったら、スープ皿の手前を持ち上げて傾け、スープを奥の方にまとめてすくいやすくしてスプーンですくって飲んだ。
スープを飲み終えると、パンを一口サイズでちぎり食べた。
そのシンヤの完璧な美しいテーブルマナーを見て驚いて居た。
「あれ?私が教える事ない?」
「ん?」
次々と料理が運ばれて来て、シンヤは完璧なテーブルマナーをこなした。
昔、マナが高い料理のお店で食べてみたいって言ってた時、マナが俺のせいで恥ずかしくならない様にクロカから本を借りてテーブルマナーをもう勉強してたな〜結局使う場面なんて現れなかったし。
ベドュ「シンヤは平民と言ってたが、本当か?貴族の私よりテーブルマナーが綺麗だったぞ?」
「あはは、お世辞何ていりませんよ」
「いえ、お世辞では無いですよ。シンヤ様のテーブルマナーはそこら辺の貴族様より完璧でした」
執事からにも褒められた。
ベドュから、シンヤが旅をしているとキレシュに伝えた
「シンヤ君はこの国に何ヶ月ぐらい滞在するの?」
「ん〜、ダンジョンを攻略したら次の街に出発する予定だな。早くて1週間、遅くて1ヶ月ぐらいか?」
シンヤが1ヶ月以内でダンジョン攻略すると言ってる事に冗談と思われた。
「あははは、シンヤは面白い冗談を言う者だな」
「なぁ、1ヶ月後に出て行ってしまうのか?」
キースは寂しそうにシンヤにそう聞いた
その気持ちにキレシュが察したのか、シンヤにある提案を出した。
「シンヤ君、1年間だけこの国に滞在しない?お金も食事もある程度なら私達が出すわよ?」
「え?いや、それは出来ないかな。旅してるのが俺1人じゃ無いんだ」
「ダメか...それは残念ね」
するとベドュはキースの顔を見て覚悟を決めたのか立ち上がった。
「シンヤ!私の我儘だが、どうか一年だけキースと一緒にいてくれ!1年間だけ..キースの最後まで隣にいて欲しい」
「パパ!しつこい」
「うう、俺はキースの為に思って」
シンヤはベドュの最後までと、言う言葉に引っかかっていた
「何か訳ありか?」
「実は..」
「パパは黙って!我従僕に関係ない話しよ」
空気が重くなったと執事は感じたのか、デザートを持ってきた。
「此方デザートになります。あ、シンヤ様先程のトイレですが、私がご案内します」
「ん?トイレ?ああ、そうか。言ってたな。分かった」
見覚えない事を言われて最初は混乱したが、執事の顔を見て何かを察したのか話を合わせて。執事と部屋から出た。
ある程度歩くと執事は歩くのやめシンヤを向いて頭を下げた。
「私の考えに察してくれてありがとうございます」
「あんな目で見られたら、誰だって気付くだろ」
「ほーう、誰だってですか...お嬢様の気持ちには気付いて無い様だが」
最後のブツブツの部分はシンヤはハッキリと聞こえて居たが何の話か分かってなかった。
「それで、ここまで連れて来られたんだ。何かあるのか」
「はい、まず単刀直入に申し上げます。お嬢様の命はあと一年も残って居ません」
「どう言う事だ?」
キースの寿命が残り一年の聞きシンヤの目線は鋭くなった。




