シンヤとアイの愛の価値観の違い
「あ!やべ」
馬車の中でシンヤは何かを思い出す様に叫んだ
「ギュラエス国に落とし物しちゃった」(≧∀≦)
「シンヤ君そんな顔しないで下さい。気味が悪いです」
「ひど!」
「シー君何落としたの?」
「ちょっと小さな物だよ。悪いちょっとここで待ってくれ。今から戻る」
アイは馬車を止めてシンヤは急いでギュラエス国に走った
「マスター..1人で大丈夫なんですかね?」
リン「大丈夫でしょ。シンヤだもん」
「やはり、心配です。私も付いて行きます」
アイはシンヤを追いかけようとした時アリアが近づいた
「アイ、シンヤ君をお願いね」
アイは何か思い詰めた顔で言った
「分かりました」
アイは指輪使ってシンヤの所に向かった
〜〜〜〜〜〜
騎士の集団とギュラエス国の国王とシュラーム王子とその他。何百人の騎士達が森の中に歩いていた。国王とシュラーム王子は馬車の中に居た
「クソ!あいつら!!絶対に許さない!我の腕を!!」
「父上必ずあいつらを殺しましょう」
「ふふ、馬鹿な奴らめ。ギュラエス国の近くの国は全て我の所有物だ。それに気付かぬ愚か者が。必ず我と帝国がお前らを殺す」
そして、騎士に担いで貰ってシュルルの父親が馬車に入って来た。
「私の息子の仇だ、死にたいって思うまで苦しめてやる」
「ガルルか。お主の脚は大丈夫か?」
「大丈夫です。国王様の腕の方が心配です」
「帝国に義手を作って貰う。必ずあいつらを葬るぞ」
「そうですね」
すると馬車の外から、騎士達が騒ぎ出した。それを聞いたシュラーム王子が反応した
「何の騒ぎだ?!」
「おい!そこの騎士!何があった!」
「はい!国王様我らに何者かが襲って来ました」
「ちっ、盗賊か。何人だ?!」
「ひ、1人です」
「何?1人ならすぐに始末しろ」
「そ、それが」
するとその騎士の胸から一つの刃が現れた
「ガハッ」
「ここに居たか」
中に入って来たのは腰に二つの鞘と一つの刀、そして、右手には一つの刀を持った軍服の男だった
「お、お前は!」
「父上!!この人です!この人が俺の第三王女を奪った人だ!」
それを聞いた軍服の男はシュラームを睨めつけた
「おい、俺のって言ったよな?カノンは俺の女だ。あまり、ふざけた事言ってんじゃねぇ」
「うるさい!お前さえ居なかったら!リュクシエーラは!」
すると軍服の男の近くにいたガルルが襲った
「シンヤ!!シュルルの仇だ!!」
軍服の男はシンヤだった。ガルルはシンヤに向けて果物ナイフを突き刺そうとしたがシンヤはそのナイフの刀身を掴んだ
「おいおい、もう俺らに危害を加えないんじゃ無いのか?」
「うるさいうるさい!そんな嘘に決まっている!」
「なら、やり返されても文句は言えないな」
シンヤは掴んだナイフを奪い手でクルッと回して、ガルルの首を斬った
「くそ!おい外の騎士ども!こいつを今すぐ殺せ!」
国王はそう叫んだが返答が返って来なかった
「もう、無駄だよ。外の奴らは全員殺した」
「何...この短時間で?!ありえない..100人近くは居たぞ」
国王は青ざめた
「何故だ!何故また我らを殺そうとする。あの時見逃してくれた。もし、我が他の国の騎士に捕まってたかもしれない!お前ら何故戻って来た」
「簡単だよ。殺した方があいつらが安全に旅が出来るからね。復讐に来るぐらい誰だってそう思うよ」
「じゃ!何故あの時我を生かした!」
「カノンが殺さないって言ったからだよ?正直俺は殺した方が良いと思ったけど。あそこでカノン達の前で無抵抗な悪人を殺してる所をあまり見せたく無いからね。わざと見逃した」
「なら、早く我を殺せ」
「父上!!」
「我は何百人も人を殺めて来た、いつかこうなると予想はしてたからな、初めて人を殺めた時から殺される覚悟は出来ている」
「父上!!俺は死にたく無いよ!」
シンヤは国王の発言を聞いて少し驚いて感心してた
「へぇ〜案外国王はゴミだと思ってたけど。そうでも無いんだね〜」
「ふっ、早く殺せ」
「分かったお前は苦痛なく殺してやるよ。誇り高き戦士よ」
シンヤはその国王の首を刎ねた
「ひぃぃ!俺は死にたく無い!死にたく無い!」
「お前は何人殺した?何人女をいたぶった?」
「知らない!知らない!数えた事ない!だから、お願いだ!いや、お願いします。殺さないでください!」
「うるさい、すぐには殺さない。お前が今までいたぶった奴らの苦痛を少しでも味わって死ね」
シンヤは持ってた果物ナイフをシュラームの心臓にゆっくりとゆっくり突き刺した
「アアァァ!!痛い!痛い痛い痛い!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!痛い...アアァァア!」
ナイフが心臓に届いて、何秒後に意識を失い亡くなった
それを後ろで見て居た者が居た
「マスター...」
シンヤは後ろに振り向くと、そこにはシンヤを心配する顔で見て居たアイが居た
「アイか..付いて来たのか」
「すみません、マスター」
「別に良いよ。ごめんな、こんな汚い所を見せちゃって」
「マスターはいつもこうなんですか?」
「いつもって訳じゃ無いよ。こうやって人を殺したのは初めてだけどな。前に無理やりリン達を連れて行こうとした貴族どもが居た時、リン達に一生近づかないと誓うまで瀕死状態まで追わせた事は何回か...」
「何故マスターはそこまで、自分を犠牲にするのですか?何故自分1人だけその辛さを背負うとするのですか?」
アイはシンヤに近づいて聞いた
「簡単だよ、お前らの事を愛してるからだよ。もちろん、アイお前もだ。アイの為なら俺は何かを犠牲にしたって構わない」
「マスター...やはり、私にはまだマスターの愛という物が分かりません。愛って言うのは何かを犠牲にしなくちゃ行けない物なんですか?」
「...逆だよ、何かを犠牲にして愛を与えるんだ。それが本当の愛だよ。自己犠牲の無い愛なんてただのまがい物の愛だ」
アイは少し考えたが、首を横に振った
「やはり、分かりません。誰かを愛す為に自分を犠牲にする?自分の愛する人が、自分のために不幸になってる姿を見て嬉しいでしょうか?そんな辛い姿を見て素直に喜べるでしょうか?マスターが考えてる事全く分かりません。私はマスターが犠牲になるなら、マスターからの愛なんて要らないです!」
「アイ...」
アイはそっとシンヤの両手を握った
「だから!もうこんな事は辞めて下さい!!こんな事続けたらマスターはいつか壊れてしまいます。私はマスターを...シンヤ様を失いたくありません!何故か分かりません。ユウマ様達が失った時は少し寂しさぐらいの感情でしたが、私はマスターを失った時を考えると心が痛みます。
だから!もう辞めて下さい。全て1人で背負うとしないで下さい。私にも私達にも少しでもその辛さを分け与えて下さい!!マスターだけが汚れる姿なんて見たく有りません!」
アイの瞳から雫が溢れだした
「...いや、分かりました。私はマスターが好きです。自己犠牲の無い愛がまがい物の愛?私はそうは思いません。私が思う愛は、辛さを犠牲を分け合い背負うのが本当の愛と思ってます。私はマスターが思ってる愛は間違って居ると思います。まだ、会ってからそんなに月日が経って居ませんが、マスターは私に愛を教えてくれました、次は私がマスターに本当の愛を教える番です」
そして、アイは笑顔でシンヤの手を引っ張った
「マスター帰りましょう!私達の家に」
「ああ」
アイ..ごめんな。俺は本当にお前らの事が大切なんだ。アイが思ってる愛が正しいなんて俺には分からない。俺にとってお前らは光なんだよ。
光には必ず影がある。その影は全て俺が引き受ける。お前らが幸せなら俺は構わないんだ。
邪道を通るのは俺だけで十分なんだよ。




