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036 命を賭けた戦いに辛くも勝利できました

「はあ、はあ、はあ……」


『ゴロスゥ……グワセロォォォ!!』


 シャドウロバースの腕が伸び、私を捕えようとする。

 それを直前に避け、再び私は敵との距離を保つ。

 そして自身の胸に左手を当て対象を凝視する。



----------

【Rare】 R 【Name】 シャドウロバース 【AB】 闇 【SL】 100/100

【MS】 悪魔型 【NDA】 腐りかけの眼球 【RDA】 シャドウロバースのコイン

【HP】 92(-333)/425 【SP】 1/1 【MP】 1/1

【ATK】 84(-35)/119『麻痺』 【DEF】 198/198 【MAT】 1/1 【MDE】 1/1

【DEX】 1/1 【AGI】 1/1 【HIT】 76/76 【LUC】 1/1

----------



『あと一撃ニャ……! 次の攻撃を避けたら、そのタイミングで――』


「……いや、それだと間に合わないよ」


『? ……まさか……』


 バキ、バキと不快な音を響かせるシャドウロバース。

 全身の骨が突出して変形し、洞窟内に血飛沫をまき散らし始めました。


「ミーシャ、これが最後だよ。判断して。先制して最後の一撃をお見舞いするか、それともあの敵の必殺技を直前で避けてカウンターで沈めるか」


 私は静かに脳内に語り掛けます。

 彼女の指示が出たらすぐに動けるように、全身の毛を逆立てたままシャドウロバースを睨みつけました。


『……確かに敵のATKは麻痺の効果で落ちてきているけど、ユウリのHPがあの一撃に耐えられるほど回復していないのニャ。もしもあの一撃が【回避不可】の必中攻撃だとしたら――』


「――カウンターを待たずして、私のほうがノックダウンってことね」


 その言葉を合図に、私は躊躇なく地面を蹴りました。

 そして肉球を振り上げ、シャドウロバースの懐に最後のパンチを――。


『ニグニグニグニグゥゥゥゥゥ…………!!!』


「!!」


 それとほぼ同時にシャドウロバースの腹が割れ、あの巨大な口の真っ赤な化け物が飛び出してきました。

 まるでカウンターを狙っていたのは敵のほうであったかの如く――。


『ユウリ!!!』


「……っざけんじゃないわよ!!!」


『!?』


 身体ごと巨大な口に喰われそうになった瞬間、私は自身の右拳を左手で叩き落とし地面を抉ります。

 その衝撃で身体が宙に浮き、前転します。


「うおりゃああぁぁぁぁ!!!」


 そのままシャドウロバースの後頭部に踵落としを叩き込みます。

 私のイレギュラーな動きに翻弄されたのか、敵は私を見失ったまま頭上に金色に輝く『167』というダメージ表記が出現しました。

 クリティカルヒット。ATK補正が+150%の攻撃です。


『ウゴアアアァァァァァァァァァ…………!!!』


 そのまま地面に叩きつけられたシャドウロバースは断末魔の叫びを上げて消滅していきます。


『や、やったニャ……!』


「はぁ、はぁ、はああぁぁぁぁぁ………。つ、疲れたあああぁぁぁぁぁ…………」


 仰向けに転がり、洞窟の天井を仰ぎます。

 勝った。マジで勝てた……。死ぬかと、思った……。


『ユウリ、よくあの直前で攻撃を変更できたのニャ……』


「え? あー……うん。なんとなーく来そうな気がしたんだよね……。だからあえて突っ込んでみた」


 こればかりはそうとしか説明できません。

 一つ言えることは、ちょっとだけ違和感があったことくらい。

 最初に敵が必殺技を使ってきたときはすぐに発動してきたのに、今回はちょっとだけ溜めてたような気がした。

 つまり、『私達の出方を窺っていた』。


「あの必殺技、きっと【回避不可】の攻撃じゃなかったんじゃないかな」


『……なるほどニャ。敵もこちらが回避能力が高いのは分かっていたし、そもそも最初に【鈍足】の状態異常攻撃を行っているからニャ』


「そゆこと。たぶん【暗闇】の状態異常のほうはカモフラージュだったんじゃないかな。相手を鈍足にさせてから、あの必殺技を必ず当てて始末する――。トロそうに見えて随分と狡猾なゾンビだったよね、あいつ……」


 そう言った私はそのまま深く溜息を吐きました。

 もう二度とああいうのと戦いたくない。

 ていうか、そもそもモンスターと戦うの嫌だ。

 疲れるし、汚れるし、怖いし、死にかけるし……。


『ユウリ、申し訳ないんだけれど、あまりゆっくりと休んでいる時間が無いニャ』


 そのまま寝てしまいそうな私に言いにくそうな声で語り掛けてくるミーシャ。

 確かにここで寝てたら別のモンスターに襲われるか、盗賊にとっ捕まるかの二択しかない。


「……よっと。まあ、ゆっくり休むのは盗賊のアジトから無事に逃げ出した後にするよ」


『すまんのニャ。ここから無事に逃げ出せたら、きっとお礼をするからニャ』


「お礼? いいよ、そんなの。それよりもミーシャをシャーリーさんとセフィアに紹介したいかな」


 もう私とミーシャは結ばれてしまったようなものです。

 いきなり家に帰ってきてミーシャを連れてきたら、シャーリーさんがどんな顔をするのかは分からないけれど……。


「とりあえず二股の洞窟のどっちに進むかだね……。ミーシャは出口がどっちだと思う?」


『……たぶん、右だと思うのニャ。少しだけ緑の匂いがするのニャ』


「緑……? あ、草とか木の匂いね。じゃあこっちにしようか」


 私は周囲に散らばっているモンスターの素材を拾い上げ、右の洞窟の先に進むことにしました。



 ……どうか、もうモンスターには出くわしませんように。




◇ブレインバット討伐報酬◇

【normal】尖った牙×1


◇シャドウロバース討伐報酬◇

【rare】シャドウロバースのコイン×1

【normal】腐りかけの眼球×1


【Rare】 N 【Name】 ミーシャ・レオリオン 【AB】 神 【SL】 69/100

【AT】 近距離攻撃型レイドアタック 【CH】 猫に小判とシルバーヴァイン・マタタビをゴールドラッシュ

【ADT】 祖父の形見の猫爪モーメンツクロー 【DDT】 獣人族の軽装ビーストクロス

【HP】 246/295 【SP】 40/40 【MP】 25/25

【ATK】 71/75 【DEF】 26/26 【MAT】 15/15 【MDE】 19/20

【DEX】 90/100 【AGI】 87/90 【HIT】 20/20 【LUC】 12/13

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