第三話 美少女テイマーの提案
「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!!!」
家に入れられたリヴは、レヴィの作った料理を大量に胃袋に掻き込んだ。
「うまっ!! うまいうめぇ!!」
「あはは、それは良かった。にしても椅子に座って食べればいいのに。スプーンとかも使わないんだ?」
「いつもこうやって食べてる!」
「ふーん、そうなんだ」
言いながら、レヴィは幸せそうに食べ続けるリヴ細目で見た。
◇
「ふぅぅぅぅぷへぇ!! 最高だった!! こんな美味いもん初めて食った!! ありがとな!! えーっと……」
「レヴィだよ」
キランという効果音と光が発するようないい笑顔で、レヴィは再度名を名乗る。
「レヴィ……いやレヴィさん! アンタは命の恩人だぜ!!」
レヴィが提供した料理を全て平らげたリヴは、満面の笑みを彼女に向けた。
そんな彼を見て、彼女は言う。
「ねぇねぇ、私と『お話し』しない?」
「いいっすよ! メシくれたし!」
レヴィのお願いに、リヴは即答でオーケーをした。
「やった! じゃあ今お茶淹れて来るから、そこで待ってて」
そう言い残し、レヴィはキッチンへ行き慣れた手つきで茶を淹れ始めた。
「お待たせー」
やがてティーポットと二つのカップをお盆に乗せてレヴィはキッチンから出て来た。
「はい、どうぞ!」
自分も床に座り、更にはお盆を床に置いたレヴィは、一杯の紅茶をリヴに差し出す。
「ごくごくごく! 何だこれ初めて飲んだ!!」
「紅茶ってそうやってガブガブ飲むもんじゃないんだけどね」
「え? そうなんすか!?」
「あはははは!」
飲み物にそんなルールのようなものがあるのかと驚くリヴ、何もかもが新鮮な反応の彼に、レヴィは声を上げて笑う。
が、すぐに切り替える。
「さ、それじゃあお話しタイムだ!」
「あ、うす」
周囲には豪華な家具が並んでいるにも関わらず、リヴとレヴィは床に座ったまま、向かい合い話を始める。
「まず聞かせてほしいんだけど、君は魔物だよね」
「あ、そうっすけど」
ポリポリと頬を掻きながらリヴは頷く。
魔物とは魔力を有する獣の総称だ。スライムやワイバーンなどその種類は様々である。
そして中にはリヴのように人型の魔物もいる。
「何で分かったんすか? 俺、見た目あんま魔物っぽくないのに」
「私ほどになるとそんなもの軽く見抜けるからね! で、それじゃあ何の魔物?」
「うぇ?」
何の魔物、そう問われ……リヴは何も答えることができなかった。
当然だ。ラクトたちがリヴを頑丈な魔物程度にしか認識していなかったように、リヴも自分が人型の魔物であるということ以外は全く分からない。
「な、何なんすかね?」
リヴは聞き返す。
すると、レヴィはリヴを舐めまわすように見詰めた。そしてクンクンと匂いを嗅ぐ。
彼女の行動に、リヴは何とも言えない思いが込み上げてくる。
「なるほどなるほど、自覚無しと。ねぇリヴ」
「ん、何すか?」
「ちょっと確認のために、指一本切ってもいい?」
「あー……どうぞ!」
リヴは即座に手を前に出した。
「即答だね!」
「ホントは痛いのは嫌なんすけど、美味いメシ食わせてくれたんで! 指の一本くらいでいいなら安いもんすよ! あ、でも小指とかにしてくれると助かりまぁす!」
「ん、了解!」
――ズシャ
言いながら、レヴィは手刀でリヴの右の小指を切断する。すると、
「ってぇ!! ……おぉ!?」
リヴは目の前で起きた自分の体の変化に驚愕する。切断された小指の断面から新たな小指が生えてくるのを目撃したからだ。
「すげぇ!! 生えたぞ指!」
「ふふ……! やっぱりだ!」
「や、やっぱり?」
リヴは首を傾げる。
「リヴ、君は【アンデッド】の魔物だよ! ただの傷が治るならまだしも、そうして破損した部位が再生するんだ。間違いない!」
「アンデッド……?」
全く聞いたことの無い名に、リヴは何のことなのかさっぱり分からない。
「【アンデッド】。簡単に言えば死なかったりすごい回復力を持つ魔物だね。吸血鬼とか、ゴーストとかが良い例かな」
「へ、へー」
何やら現実味の湧かないリヴは面食らう。
「そして、更に付け加えるなら……君は【アンデッド】の中でも貴重な存在!」
「そ、そうなんすか?」
「うん! 【アンデッド】の中でもこんなに再生の早い魔物は多くないよ」
「ほぇー。な、なんか照れるっすね」
な、何だ。俺ひょっとして凄い奴……?
生まれて初めて褒められたリヴは頬を赤らめ頭を掻く。
が、そんな彼を全く意に介する事無く、レヴィは頬に手を当て何やら思案している。
「ね、リヴ!」
「はい?」
「私のモノになる気は無い?」
「へ?」
レヴィさんのもの……? どういうこった?
「あーごめんごめん。言い方を変えるよ。私に、テイムされる気は無い?」
「テ、テイム……ってことはレヴィさんって」
「うん。私はテイマー! 魔物や亜人と主従関係を結んで助けてもらったりしながら戦うんだー」
「じゃあラクトさんと一緒ってことか」
「ラクトさん?」
初めて聞く名に、レヴィは首を傾げる。
「あ、ラクトさんってのは俺のテイマーで……ってもう違うのか」
言いながら、リヴは自分が彼と契約解除をしたことを思い出す。
「え、何リヴって捨てられたの? うわぁバカだなーその子!」
額に手を当て、レヴィさんは「あちゃー」と言う。だがすぐに気を取り直し、
「ま、それなら好都合!」
「っ!?」
顔をグイっと寄せるレヴィに対し、リヴは思わず顔を背けた。なんとリヴは「羞恥心」を覚えているのだ。
その理由は明確。
自分に優しくしてくれて、自分を褒めてくれて、自分を雑に扱わなくて、自分に優しく元気に話し掛けてくれる。
――そして、圧倒的美人。
端的に言えば、リヴはレヴィに「惚れた」。
「私と契約してくれれば、美味しいごはんいっぱい食べれるよ?」
「契約しまぁす!!」
そして最後のダメ押しにより、リヴは大きく手を挙げレヴィの魔物になることを誓った。
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