不思議な出会い その3
今日の美術は手の描き方についての授業だ。先生は手を指、甲、親指の3パーツに分けて下書きを描いた方が良いという。試してみたがあまり上手く行かなかった。説明が終わるといつも練習時間になる。
練習時間は大体、日向と彩花とお喋りをしている。日向は新しくできた彼氏の話、彩花は最近出会った人といい感じになってきてる話。
日向は一人で盛り上がっているからいいとして、問題なのは彩花だ。彼女は毎日相談してくる。
「明日デートなんだけど男子ってどういう洋服が好みなの?」
「そうだなー。俺はふわっとした感じの服が好きだな」
という感じでいつも相談に乗っている。少々めんどくさいと思うが、二人には幸せになってほしいからついつい話してしまう。
そんな彼女たちの話でいっぱいの授業だが、唯一俺が話に入れる時がある。それは下のネタの話をしている時だ。
あまり話を膨らませたくないが結構良い会話をしているとだけ言っておこう。
初めて彩花にあったのは3年前。彩花の事を知ったのは光世と繋がっていたからだった。光世と遊びに行った時に、こっそりと彩花も誘っていたそうだ。
最初はお互い気まずかったのだが時間が経つと意外と馬が合い、仲良くなった。そして約一年後、うちの学校に転入してきた。
そんな彩花はこっちを見て必死に話していた。茶色いポニーテールの髪は少し揺れ、眉間にシワを寄せていた顔が少し可愛く見えた。
そんな彩花の事で最近困っている事がある。それはあまりにもくっついて来ることだ。最近いい感じになっている人もいるというのに。
いつも腕を掴んできたり、『はるちゃーん!』と遠くから叫んだり。
もうそろそろ学校で俺たちが付き合ってるという噂が流れてるだろうなあ。
これの何が困るって?
それはだな。
恥ずかしいんだよ!
抱きつかれた時とか、腕を組まれた時マジで恥ずかしいし照れる。他の人が見てるというのに容赦なくイチャついてくる。
そんな毎日を送っていると流石に耐性が付いてきて、何されても無表情で保てるようになった。恥ずかしい心はまだ残っているけどな。
ーーー
3時になると最後のベルが鳴り、全校生徒が一斉に教室から出てくる。渋滞に巻き込まれないようにいつもはさっさと渋滞ゾーンを抜け出している。
朝のルートを逆走するように待っている父親の元へ向かう。車へ乗り込むと、やはりテレビを付けていた。父親は車を出し、家へと向かった。
帰りの車も音楽を聴いている。今日は韓国で流行っている某アイドルグループの曲を聴いている。何を言っているか分からないが、メロディとノリで聴いている。
帰りの道は某ホテルが左側に見える。ホテルを通ると左側に壮大な海が広がっている。海のずっと向こうを見ると、伊江島タッチュー(城山)がある。今日は快晴でよく見える。太陽の光が海に反射して若干直視するのがキツい。
海を通ると、とあるダイビングショップがある。そこを通るたんびに、あるダイビングアニメを思い出す。
そこから10分くらい経つと家に到着だ。飼い犬が玄関の前で座って待っていた。嬉しがっている犬を少しの間撫でると、玄関を開けた。部屋に戻ってカバンを降ろし、洗面所で手洗いとうがいをした。
小さい頃からどこかから帰ってくると毎回母親に手洗いとうがいをしなさいと言われてきたので、言われなくても癖でやってしまう。
風邪を引く確率が減れば良いのだが。
部屋へ戻り、学校で使っているノートパソコンを開いた。今日の宿題は簡単ですぐ終わるので先に終わらせておこう。
今日は国語の質問を5問答えればいい。しかもその質問はネットから抜き取っているので当然答えもネットに載っている。
答えをライ○のグループチャットに送った。メンバーは今朝喋ったオタク女子3人組と龍。この5人は非常に仲がいい。
宿題の終わらせた俺は某動画投稿サイトへ行き、好きなゲーム実況者の動画を見ていた。初心者のふりをして騙しているらしい。
そこから夕ご飯、お風呂と済ませた俺はベッドに潜り込んだ。
寝る前はいつもアニラジを聴いている。今人気の恋愛頭脳戦系のラブコメのラジオがまあ面白いこと。特にラジオのミニコーナーが面白い。若手声優さんなのにトーク力が凄まじい。
最近アニメやアニラジを聴いていると、声優になってみたいと思うようになってきた。だが声優になるには高い養成所に通ったり、厳しいオーディションを通らなければいけなかったり、デビューしても売れるかわからないとかで本気で目指すか迷っている。
今日は疲れたのか、ラジオのミニコーナーが始まる前に寝落ちしてしまった。