不思議な出会い その1
車で30分。うるま市の石川から読谷の座喜味にある学校へ向かっている途中、音楽を聞いていた。今話題の髭なんちゃらというバンドの線路はつづくよどこまでものパクリのタイトルのドラマの主題歌を聞いて窓の外をいつも通り眺めていた。
渋滞している道を避けて通ろうとした結果、余計に遅れた経験があったため、今日は普段の道を選んで学校へ行く様子。運転しているのは父親だ。いつもちっちゃい画面でテレビを見るのだが、運転中は危ないので、表示されない設定になっている。テレビを見れるのは信号待ちの時だけ。
俺は自分の曲とラジオ状態になっているテレビの音が重なってイライラしてきたので、音量を上げるボタンを2回押した。かなり音量が大きくなってしまったが、少し我慢をすれば慣れるのでそのままにしておいた。
音楽を聞いていると何もかも忘れられるので毎日聞いているが、同じ曲をリピートで聞く癖があるので大体の場合は飽きてしまう。そしてリピートが終わり、また次の曲のリピートが終わり、そして更に次の曲のリピートが終わると、最初の曲を久しぶりに聞いて懐かしんでまたリピートをするという沼にはまってしまっているのだ。
家を出て15分くらい経つと、読谷にギリギリ入るか入らないくらいの場所に某ホテルがある。行き道だと右側に見える。いつも車の中で右側に座っている俺からするとホテルがよく見える。
ホテルの横を通るたびに(トイレ綺麗なんだろうな〜)などと意味のわからないことを考えている。
さあ、後少しで学校の裏にある駐車場に着く。信号を通るとロー○ンがあり、その手前の道を曲がると下り坂になっている。その坂の真ん中くらいで右の曲がると駐車場に着く。
いつも30分前くらいに登校をしているので人はあまりいない。うちの学校は8時25分に授業が始まる。車を降り、携帯の時計を見ると、7時55分。ぴったり30分前だ。
左側には小学生用の遊び場がある。俺が小学生の時はこんな立派な所じゃなかった。遊び場を通り、右に曲がり、その後左に曲がる。階段を登りトイレに入る。
モーニングルーティンは話してないのでわからないかもしれないが、俺は毎朝髪をアイロンで巻いている。後ろにね。その巻きがちゃんとなっているかを再確認しにトイレに入っている。
鏡を見て、だいぶ前に茶色に染めた髪が微妙に残っている黒髪を手で整えた。マスクをつけているため口元は見えないが、目はちゃんと眠そうだ。
トイレを出て教室に入る。先生以外誰もいない。
「おはよう、春太」
「おはようございます、先生。やっと金曜日ですね」
俺は席に着き、携帯をいじっていた。最初の授業はホームルームで実質自由時間なので、終わらせてない宿題があったかを確認し、ないとわかったら再度携帯をいじった。
5分くらい経ったらいつも来る女子生徒が来た。必ず俺と女子生徒のワンツー登校。10分経つと人が多くなり騒がしくなってくる。
「そういえば春太」
「なんですか、先生」
「昨日、サーバーで遊んだんだが、8時から9時の間は必ず2分ごとに落ちるんだよ」
なんでサーバーの話をしてるって?それは俺と先生はゲーム仲間だからである。おすすめしたサーバーを試した所上手く行かなかったみたいだ。
8時20分になると教室には人がたくさんいる。俺は仲のいい3人の女子グループ(オタク)に宿題がなかったかを聞いたが、ないらしい。
授業が始まるとホームルームの先生が出席を取り始めた。俺の名字は城山なのでまあまあ最初のほうである。
「城山春太」
「はい」
今日も楽しいのか楽しくないのか分からない学校の始まりだ。