16話
鑑定を使いながら鉱石を仕分けして袋に入れる。
銅、鉄、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン、銀、金、宝石の原石、それと深いワインレッド色の賢者の石とかいう鉱石も採れた。賢者の石といえば某漫画のことを思い浮かべるが、これは別物。この世界ではこの赤い石を賢者の石と呼ぶらしい。
一応多目に鉱石を掘り、残った時間で魔法の練習をする。魔物相手なら「殺す魔法」でいいのだが、この前みたいな人相手だと「殺さず倒す魔法」が必要だと思った。
大きな岩に向かって強弱を意識しながら魔法をぶつけていく。と言っても俺はルナみたいな特大の威力の魔法は撃てないので、最大威力の風の魔法でも岩を真っ二つに切断する程度だ。
それでも人を殺すのには充分な威力で、風は人に絶対撃たないように心に決めた。あとは氷で足元を凍らせて身動きが取れないようにしたり、雷で痺れさせたりと言った程度か。その日は日が暮れるまで魔法の練習をして、次の日からまた王都へ向けて出発した。
2日かけて王都へ来て8日目の朝に王都へ戻ると、リグルさんが無事でよかったと出迎えてくれた。レグルさんはいつもより豪華な朝食を作ってくれた。
部屋に戻って昼まで眠り、仕分けした鉱石を前に腕を組む。本来鍛冶をするには相応の設備が必要だ。しかし女神様からの加護の鍛冶スキルを持つ俺にはそれらがなくても鍛冶が出来ることが分かっていた。はたして本当にそれで鍛冶ができるのだろうか?…物は試しだ、やってみるか。
鉄鉱石を目の前に置き、意識を集中させる。
鍛冶スキル、【製錬】!
パァァ、と鉱石が光ったと思うと、金属が取り出され成形されたインゴットがそこにあった。
これだけでも売れるんじゃないか?とも思ったが、まずはできるところまでやってみよう。
それを再度目の前に置いて意識を集中させ、完成図を強くイメージする。鍛冶スキル【鍛造】!
これまたインゴットが光り出し、10秒ほどして光が収まると、目の前にはイメージした通りのショートソードが出来上がっていた。…ん?しまった!持つところを考えてなかった!
大慌てで街の外へ行きすぐそこにある森へ入り、伐採スキルで木を切り倒して手頃な大きさにカットしてアイテムボックスへしまっていく。これもたくさんあった方がいいだろうと思い、切り倒しまくった。それでもたった一角が更地になっただけで森は鬱蒼と生い茂っていた。
再度宿へ戻り木工スキルで木を加工して鉄の刃と合成すると、ようやく思い通りのショートソードができた。武器屋で購入したショートソードと比べても遜色ない。こんなに簡単にできていいのかとも思ったが、そこは女神様からの加護ということで割り切ることにした。
その後鉄や鋼を製錬したり剣や槍、弓や短剣なんかを量産していく。やがて夜になり、ルナと一緒に夕飯を食べた。
「イツキ、ちょっといいか」
いっぱいになったお腹をさすって一息ついていると、厨房担当のレグルさんに声をかけられた。
「何ですか?」
返事をするとレグルさんは俺の前の椅子にどかっと座る。レグルさんはリグルさんと顔は似ているが、リグルさんに比べて少し荒々しい。
「食事のメニューなんだがな、新しいメニューを増やそうと思うんだ。そこで子供の柔軟な発想を借りようと思ってな。何かこう…食いたいものとかないか?」
なるほど、レパートリーの少なさはレグルさんも感じていたらしい。しかし他の店もレパートリーはだいたいサラダと肉とスープと黒パンぐらいなもので、レグルさんの料理が特別レパートリーが少ないというわけでもないだろう。




