13話
お昼になった。
宿の前の店のご飯も宿のご飯も悪くないのだが、硬い肉以外のものが食べたいと思う。
ということで、俺はお取り寄せスキルでお皿、スプーン、フライパン、カセットコンロ、ボンベ、まな板、包丁、レトルトご飯、卵、玉ねぎ、ケチャップ、塩胡椒を購入した。作るのはそう、簡易オムライスだ。
厨房を借りてもよかったのだが、フライパンやカセットコンロは今後も必要となるだろうと思い買った。まず鍋に水を溜め沸かし、レトルトご飯を茹で戻す。
玉ねぎをみじん切りにし、フライパンで炒める。しんなりしてきたら塩胡椒をして、ご飯を入れてほぐしながら炒める。本当は鶏肉と鶏ガラスープの素も欲しかったけど無駄遣いは良くない。これだけで美味しいのだ。
ケチャップを直接フライパンに当たるように入れ、少し待って水分を飛ばしてからご飯と絡める。一度皿に出し、バターをフライパンで溶かして溶かし卵を入れて薄焼きにする。それをケチャップライスに乗せ、卵にケチャップをかけて完成だ。それを2つ作った。デミグラスソースでもよかったかもな。
「ルナ、ご飯だぞー」
俺が呼ぶとルナは俺の中から出てくる。この現象にももう慣れた。
『この黄色いのは何ですか?それにこの赤いのは…?』
「オムライスって言うんだ。俺の故郷の料理だよ。ちょっと熱いから気をつけてな」
そう言うや否やルナはオムライスにかぶりつく。
『おお、これは美味い!この前の牛丼も良かったですが、主様の故郷には美味い物が多いのですね』
「食には煩い人種だったからなぁ」
久々のオムライスを食べる。
うん、これだよこの味。男の1人飯って感じ。今はルナがいるから1人じゃないけどな。やっぱ米は美味いな。
お取り寄せでオムライスをそのまま頼んでもよかったけど、せっかく料理スキルをもらったんだし活用していかないとな。
残金16万8200ガルディン
午後からは市場を練り歩いて片っ端から品物を鑑定していき、ついでに価格調査もした。
おかげで中級ポーションや上級ポーション、マナポーションやその他の生産系のレシピを次々獲得できた。
のんびり暮らすにはまだまだお金が足りない。
どうやってお金を稼ごうか考えていると、突然後ろから肩を叩かれた。
「おや、こんなところにいたのかいレスト」
後ろを振り向くと、にやにやとした笑顔が鼻に付くちょいぽちゃの男が立っていた。
「1人でいたら危ないと何度言ったら分かるんだい?さあお父さんと一緒に行こうね」
そう言って男は有無を言わさず俺の腕を掴んで引きずり出した。
「ちょ、ちょっと!おじさん誰!?僕レストなんて名前じゃないんだけど!」
「またそんなわがままを言ってお父さんを困らせる。いけない子だな」
何で俺がおじさんの子供って設定になってるんだ!?助けを求めて周りを見るも、周りは何か微笑ましいものを見るかのようにしていた。
「待って!誰か助けて、この人知らない人です!」
大声で助けを求めるも、周りから見れば完全に反抗期の息子が父親を困らせている風景だ。
男の力は強く、そのまま騒ぐ俺をお構いなしにずるずると人気の無い路地裏まで引きずられていった。
ドンッ、と突き飛ばされ俺の体は地面に倒れる。
「ったく、散々喚きやがって。こりゃ一発や二発じゃ足りねえなぁ」
男は舌なめずりをして俺のことを頭の先から足のつま先までを舐め回すように見る。
その異端な視線にぶるりと体が震えた。




