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一所懸命★魑魅魍魎♪  作者: 之園 神楽
第弐鬼 悪戦鬼闘編
69/95

第陸拾玖巻 気絶

第陸拾玖巻 ()


 野盗達の頭領、ガズルとの戦いが終わってよりしばらく。

 力を使い果たした『川天狗かわてんぐ』の天音あまねと重い怪我けがを押して無理をした『葉天狗はてんぐ』の木埜葉このはが姉妹師弟(そろ)って力尽き、気を失った。

 咄嗟とっさに支えに入って受け止めた『センポクカンポク』の餞保せんほと『瓶長かめおさ』の芽梨茶めりさが二人を地面へと寝かせる。

「手伝う。フンフン♪ ヒョウヒョウ♪」

 今は応援に来た『ガラッパ』の嘉良波からはと『油取り』の亜鳥あとりが、砦の中へと運ぼうとしているところである。

 亜鳥あとり大きな串()を4本具現化させ2本ずつをそれぞれ横たわっている天音あまね木埜葉このはの隣に平行になるように置く。

 もちろん、野盗の血にれた大きな串()は具現化をいて消して新しい物を出している。

「こころさ~ん! ちょっと手伝ってくれますか!」

 それから、亜鳥あとり嘉良波からはに何事か指示を出し、周囲を見渡してから、こころに声をかけ手招きする。

「良いのお!」

 呼ばれて駆け寄ってくる『衣蛸ころもだこ』のこころ。

 そうしてから、亜鳥あとりはこころが走り寄ってくる間に木埜葉このはかたわらに置いた2本の棒の橋をそれぞれの手で持ち上げた

「何なのお?」

 この棒の両端をもっていてくれますか?」

「これなのお?」

 木埜葉このはかたわらに置かれていた2本の棒のはし亜鳥あとりが持ちながら、同じようにするよう言うのを小首をかしげつつも頭の上にハテナマークを浮かべながら言う通りにこころも棒の反対側の端をもって亜鳥あとりと向かい合って立つ。

「こうなのお?」

「はい、それで身体を少し前のめりに」

「こうなのお?」

「そうそう、嘉良波からはさんお願いします」

「おまかせ荒れ。ひょいっと♪」

 掛け声とともにこころの来ていた上着が脱がされ、腕を通って両手にそれぞれ持った大きな串()をとおってかぶされる。

 こころの来ていた衣装は格ゲー風のコスプレ衣装だったため、着物と違い上半身と下半身が分かれていた。

 そのため、このような体勢だと比較的脱がせやすい。

 つまりは上半身は下着姿になってしまっている。

 ちなみに、下着は以前川辺で水遊びをしていた時に披露ひろうした貝殻かいがらしたスカラップビキニとおなじようなデザインで、今回は水色と白のストライプを基調としていた。

「きゃあ! なんでうち、負けてないのに脱がされてるのお! うちは三人目なのお! 強いのお! そう簡単には脱がせられないのお!」

「なんの話? でも、あっさり脱がせられた♪」

 嘉良波からはの表情が心なしか嬉しそうに見えたのは今は置いておくとしようか。

「くぬぬっ!」

 抗議の声を上げて顔を上げると対面して反対側を持っていた亜鳥あとり嘉良波からはによって同じように脱がされていた。

 こちらも最初からこうなる可能性を予想していたのか、上着は着物ではないシンプルな洋服のような作りのものであった。

 ちなみに、こちらの下着は濃い緑のスポーツブラタイプで、どちらかと言えば「見せ」の色合いが強いものである。

 そして、やはり嘉良波からはの表情が心なしか嬉しそうに見えたのは今は置いておくとしよう。

 余談だが嘉良波からはの服装は着物である。

「御免なさいねこころさん。命がかかっていますので。即席ですが、応急担架(たんか)です」

 脱がされた亜鳥あとりは至極真面目な表情でこころに謝罪する。

「……仕方がないのお」

 その真剣な姿を見てしまえば次の言葉が出るはずもなかった。

「かわる♪」

 嘉良波からはがこころから棒の端を受け取り地面に置く。

「そっとですよ。大丈夫とは思いますが、一応揺らさないようにしてくださいね」

 餞保せんほの指示で木埜葉このはが出来上がった担架たんかに乗せられていく。

 こころがそれを眺めていると、 そこへ。

「こころ、あんた敵にまで雑に扱われていたんだって」

 急に後ろの方から声がかかる。

 こころが振り向けば、『コサメ小女郎(こじょろう)』の小雨こさめ嘉良波からはと同じく他の女の子たちに後をまかせてきたのであろう、こころの元へと歩み寄ってきていた。

「そんなことないのお! ちゃんと見せ場はあったのお!」

「はいはい……見せ場って、今のその恰好かっこうじゃないわよね?」

「違うのおお! 本当なのお!」

 両手を振り回して抗議するこころ。

「はいはい……さきらちゃんから聞いたわよ。ぞくを二人捉えて、尚且つ日和ちゃんと鈴姫を守ったんでしょ。実際良く頑張ったわよこころ」

 いつもいじってくる小雨こさめが不意に優しい笑顔になって言った言葉に一瞬呆ほうけたこころだったが、にんまりとした満面の笑顔を浮かべて自分の腰に手をあてた。

「ふふんなのお」

「上半身半裸で胸を張らない!」

「くぬぬっ! 脱がされた時のセリフを考えておくべきだったの!」

「くやしがるのそっち?」

 すぐにいつもの調子に戻っていく二人。

 この二人の関係はこれでバランスが取れているのかもしれない。

「もう一つ、どなたか上着の脱げる方二人、同じようにお願いできますか!?」

 芽梨茶めりさ天音あまねの分の担架たんかを作るべく、周りにいる女の子たちに呼びかける。

わたくし担架たんか作りに一肌脱ぎますの」

 そこにいち早く名乗りを上げた『鈴彦姫すずひこひめ』の鈴姫すずひめが走り寄ってくる。

鈴姫すずひめ、あんたそれ以上脱いだら全裸でしょうが」

 咄嗟とっさ小雨こさめが止めに入る。

「あら、布を巻きつけた方が、担架たんかに適していますの」

 ところが、小雨こさめの言葉にも意に返した様子もなく平然と言ってのける鈴姫すずひめ

「そうじゃなくて、全裸になることを気にしなさいよ!」

「別に、全く気になりませんの」

「少しは気にしろ!」

「ほかにいませんか!」

 そのやり取りを気にせず他の女の子たちに向かって声をかける芽梨茶めりさ

「は~い、わたしやります!」

「あっ、わたしも手伝います!」

 『洗濯狐せんたくぎつね』の月世つきせと『油徳利あぶらとっくり』の由利ゆりが手を上げた。

「ではお願いしますね。この棒の両端を持って向かい合って立ってください」

「何でわたくしでは駄目ですの!?」

「ええっと……善意ぜんいうれしいのですけど、全裸ぜんらはちょっと……」

 問われた芽梨茶めりさが、困ったようにひきつった笑顔で答える。

「納得いきませんの!」

「まあまあ」

 今度は鈴姫すずひめが抗議の声を上げるのを『琵琶牧々(びわぼくぼく)』の日和ひよりいさめに入る。

 どんどんと緊迫感がくずれていく。

 張りつめていた空気が少しほつれてくる気がしていた。

「ふふっ、『露出狂ろしゅつきょうめ』ですわ。ねえ、天音あまね

 その様子を火の始末を終え、少し離れた所から見ていた『雪女』の淡雪あわゆきが小さくつぶやく。

「淡雪ちゃん、何か言いました?」

 その横顔を不思議そうな顔で見つめる『つらら女』の雪良せつら

「何でもないですわ雪良せつらちゃん」

 そう言うと淡雪あわゆき担架たんかに乗せられて運ばれていく天音あまねを見ながらおだやかに微笑ほほえんだ。

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