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あの頃の風景  作者: ミクマリ
7/11

再会

8月中旬、殺人的な紫外線が照り付ける昼下がり

鳥の声が時折聞こえてくるだけの殺風景な風景

その度に上を見て何もない事を痛感した

まさに夏空、青い空に何処までも続いてる夏雲

裕也とマリはそこで川を見つめて座っていた

水辺はあの世とこの世の境界目となる入り口

魔はその異界から出入りする

ここは西淀川堤防、何もない景観

遠くに釣り人の姿が見える、こんな川で何が釣れるのか

裕也はぼんやり考えもした

上方には無造作に生えた草だらけの土手

こんな所に降りてくるのは釣り人だけ

なのにマリはこの場所に行きたいと裕也を連れてここまで来た

特に何も用事なく1時間も二人で川を眺めてるだけ

あれからマリの発作は落ち着いたが

今は陰性期か、何をするにしても疲労感を訴えてくる

全くこの女は何を考えてるのだろ。裕也はめんどくさくなってきた

「ねえ、20年前にこの場所で女の子の死体が見つかったんだよね」

マリは気だるそうに呟いた

いきなり何を言い出すのか、裕也は困惑したが取り合えず話しを合わせた

「そうなんだ、有名な事件があったんだね」

じっとしていても汗が滲み出し呼吸も苦しくなってくる

なんだこいつはイラつく

「結局、迷宮入りして犯人が分からなかったのよね」

裕也はマリが何を言いたいのか分からずこのまま放置しようと思った

「私、ここでレイプされてナイフで刺されて川に投げ込まれたの、、」

マリの話しは小学校から帰る途中で車に乗せられてここまで来たらしい

そこでレイプされて殺されたという内容だった

また妄想が出たかと思い、聞き役に徹する事にした

「苦しかった、怖かった、寒かったの、、」

もうお手上げだと裕也は思った

完全に狂ってる、これ以上俺にこの女をどうしろというのか

「マリ、病院行こう」

裕也は前から考えてた事を提案した

今は貯金が無い状態で苦しくなるのは分かっているが他に選択肢は無い

「行かないよ、今日決着つくんだから。ママと一緒に考えた計画なんだから」

今度はなんなんだよ「マリ、、」

いきなり空気が変わった

風景も夏空の爽やかな午前中からどす黒い雨雲になり雷が鳴りだした

景色も赤褐色となり目の前の世界が一変した

マリの形相も豹変し憎悪の目で此方を見ており

その顔は青白くこの世のものでは無い般若と化していた

「私はマリじゃない!沙和子だ!」突然叫びだした

裕也の身体に異変が起きた、金縛り状態

口も動かせず声も出せない、心臓が鷲掴みにされているみたいだ

次になにか鋭い刃物で腹部を突き刺されるような鋭い痛みが襲ってきた

身動き取れず呼吸が苦しくなってくる

遠くからお経の声が聞こえてくる

(なんだこれは、)裕也は意識朦朧で唸った





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