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あの頃の風景  作者: ミクマリ
6/11

計画

「優希、席替わろう!」

麻衣はいきなり席を立ち優希の返事を待たずに強引に退かせ

あからさまに庇うようにして席を替わった

悦子は無表情でその動作を眺めていたが突然麻衣に話しかけてきた

「お待ちしておりました。神楽様」

麻衣の表情は固まった

「私は今日貴女様に会う為にこの日を何年もかけて計画しお待ちしておりました」

麻衣は無言で悦子を睨みつけている

その様はまるで髪の毛が逆立ち顔付きが完全に豹変していた

凄まじい怒りのオーラ

不動明王

優希の稚拙な言葉で言い表したこの表現は

まさに鬼神の怒りだった

優希はこんな表情をする麻衣を初めて見た

いつも天使のオーラを纏いその場を明るくする麻衣

今の彼女は天使とは真逆の殺気が放たれている。


麻衣は今回の旅行は乗り気では無かった

嫌な予感はしていたがまさかこの女性だったとは、

思い出した、夢でこの女性と既に会っていたのだ

麻衣の本当の顔は裏陰陽師、名前は神楽

祖父は直ぐに私に後を継がせたいと言ってきたが私は断った

私はまだ遊びたいし、恋もしたい

今が一番楽しい年頃の女の子なんだから!と譲らなかった

だから祖父は折れて4年間だけ大学に行かせてくれた。

卒業すれば家業の裏陰陽師を継ぐ事を約束していた

大学生活では普通の女の子で居たかった

特に友達の優希には知られたく無かった

一週間前に夢の中で女性に怨みを晴らして欲しいとお願いされていた

なんの事か分からなかったが

この女性の生き霊が麻衣に会いに来ていたのだ

この女性は私に会う為にこの日を何年もかけて計画してた

私は巻き込まれる、しかも大切な友達、優希までも

どうしよう、しらを切ってこの場から立ち去ろうか…


(お願いします神楽様。私を助けて下さい)

場所が変わった

新幹線の中からいきなり違う空間に移動した

ここには朱色の鳥居がある

空は夕焼けにしては血色で真っ赤、風景は賽の河原みたいな場所

私はこの女の世界に引きずり込まれたんだ

陰陽師の私を自分の異空間に移動させるなんて

この女は化生の者か!

神楽は腹を括った

(何故、私を知っていたのだ。何故私の処に来たのだ!)

神楽はこの女から敵対するオーラがなく

哀願しか無い事を悟った

神楽の力で娘を惨殺した犯人を見つけて欲しいとの依頼だった

悦子は今回、犯人と出会う事を予想していた

20年かけて呪いをかけて今日この日が来るのを待っていた

悦子は既に鬼になっていたのだ

でも霊能者でないから犯人を特定する事が出来ない

だから霊能者である神楽の力を貸して欲しいとの内容だった

(私は怨みにより自ら冥府に行き鬼と成り果てました)

このからだ、鬼と仏と、あいすめる

人間は弱い

簡単に鬼畜道に堕ちるし、自らも鬼に成れ果てる生き物

悦子は娘を惨殺された怨みから自ら鬼に変身した

悦子が神楽に頼ってきたのは

鬼と成った自らも救って欲しいとの内容だった

なんて因果な事だろ

この人も生きながら鬼に成りたくなかったろうに、

成らざる得ない運命だった

哀れだ

(分かった貴女を助けてやろう。)








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