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あの頃の風景  作者: ミクマリ
2/11

つむぎ

指定席は3人席で、窓際では既に先客がおり五十歳前後の上品そうな雰囲気の女性が座っていた。

艶やかな黒髪と清楚な佇まいが印象的で大人の女性の色気を優希は敏感に嗅ぎ取っていた

彼女は文庫本を読んでおり優希はその女性と麻衣に挟まれる形で座る事になった。

人見知りな優希は其れだけでも苦痛となっていたのに

発車後直ぐに麻衣がお菓子とジュースを買ってくると云い席を立ち

ひとり残された優希は隣の女性を意識し心臓の高鳴りが激しくなっているのを感じた

そして緊張とこんな事で動揺してしまう自分を恥じた。

手持ち無沙汰となりスマホを見た時、消音するのを忘れていていきなりLINE音が大音量で鳴った。

心臓が止まるかと思った。隣の席で見知らぬ女性が読書しているのになんてバツが悪いのかしら、

「すみません、直ぐに消音にしますので、、」優希は消え入りそうな細い声で女性に謝罪した。

「いえ大丈夫ですよ、気にしないで下さいね」女性は柔和な笑顔で温厚に答えた

「お嬢さん達はどこまで行かれるのですか?」

もう読書に飽きていた頃なのか彼女から話しかけられ優希は内心吃驚した

「私達は大阪まで行きます、友達とユニバまで行きます」

顔を見ながら話す事で優希はドキドキした。本当に綺麗な女性

年齢は確かに五十代位に見えるが優雅で気品があり同じ女性の優希でも赤面する程の美貌である

「そうなのですか、学生さんですか?」女性は穏やかで全てのものを慈しむかのような表情で聞いてきた

「はい、私達は同じ大学の友達です」

優希は麻衣の事を自分の友達と紹介する事に対して誇らしい気分になる

麻衣は優希とは正反対の性格、頭が良くて綺麗で社交的でいつも男子が周りにいるお姫様

そんな麻衣と友達になれた自分は麻衣と同じ人種に成れた様な錯覚に陥る

「私も大阪まで行くのです、お邪魔でなければ少しお話をさせて貰えないでしょうか?」

「私は大阪の土地に縁が遭って毎年この時期に行っておりますのよ」

女性は意味深な言葉を言ってきた。

痛切に願った、人見知りで口下手な優希は真横で話すだけで赤面する自分を放置した麻衣に

早く帰ってきてと願った。






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