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合戦関ヶ原-その4-

正午。小早川秀秋が家康方に加担し松尾山を下山。

山中村において藤堂、京極両隊相手に奮戦していた

大谷吉継の陣を背後から襲う小早川秀秋。

これに対しこれまでの秀秋の行動に不信感を抱いていた吉継は、

直属の兵600を持って迎撃。

そこに前線で藤堂、京極両隊と相対していた戸田勝広と平塚為広が合流。

2度3度に渡り、小早川秀秋軍を山へと追い返すのでありました。

1万5千の兵力を持つ小早川軍が

地の利があるとは言え戸田、平塚合わせても10分の1の戦力しか有していない

大谷吉継が何故小早川を圧し返すことが出来たのか?

実はこの時、小早川秀秋の部隊の中で

家康への加担を善しとしないモノが現れていたのでありました。

その人物の名は、

松野重元。

重元は最初、豊臣秀吉に仕え丹波において300石が与えられ、

文禄4(1595)年、秀秋が小早川隆景の養子となり筑前へ移封した際、

秀吉より小早川氏に付けられ鉄砲頭となると同時に

秀吉より豊臣姓を賜るなど

亡き太閤殿下より厚い薫陶を受けて来た彼。松野重元にとって

主君・秀秋の家康への加担行為を受け入れることは

到底出来るようなモノでは無かった。

そこで彼が採った行動が

戦線離脱。

この日。彼が担っていた任務は

小早川秀秋軍の先鋒。

最精鋭の部隊を束ねる将官を失った小早川の兵は、

小早川の裏切りは想定内。

と準備していた大谷吉継の采に加え、

後ろから続々と松尾山を降りて来る後続部隊に挟まれ

身動きを取ることもままならない

混乱のるつぼと化し始めていたのでありました。


この惨状に我慢ならなかったのが

奥平貞治。

家康より

放っておいたら何を仕出かすかわからない

小早川秀秋を監視すべく派遣された貞治にとって

秀秋が大谷吉継目掛け突っ込ませる任務を果たせさえすれば

あとは軍監気取りで居れば良い役目であったのでありましたが

彼も井伊直政同様。

中途採用の身。

加えて彼の場合。

奥三河と言う地勢の関係もあり、

生き残るため今川やのちの徳川となる松平。

更には武田と

その時々の状況において主を変え、

再び徳川に鞍替えする。

と言う変遷を辿って来た奥平氏。

長篠の活躍があったとは言え、

けっして居心地の良いモノでは無かったことは容易に想像することが出来ます。

そんな彼の目の前に拡がる小早川隊の大混乱。

再仕を許してくれた殿・家康の恩に報いる機会。

この大事ないくさに間に合わない

と言う失態を演じた

普段、威張り散らしている三河譜代などと称している奴らを見返す機会は

この時をおいてほかには無い。

ひとり貞治は松尾山を駆け下り、

松野重元離脱により指示系統を失った最前線の部隊を束ね、

自ら深手を負うも。

白刃を振るい、小早川隊を鼓舞し続けるのでありました。

やがて多勢に無勢……。

大谷隊の旗色が悪くなり始めたのを見た

松尾山の麓に陣取っていた

赤座、小川、朽木に脇坂の

これまで北陸方面を大谷吉継の指揮のもと。

吉継と共に活動して来た彼ら4隊が

勝ち馬に乗るべく家康方加担を決意。

前から藤堂に京極。

後ろからは小早川。

更に側面から赤座ほか4隊に挟撃された大谷吉継は自害。

余勢を駆って今度は

福島正則と激闘を繰り広げて来た宇喜多秀家隊を。

宇喜多から小西。

小西から三成へと側面から圧迫を受けた三成方は

秀秋裏切りからわずか2時間足らずの間に壊滅。

北国脇往還を敗走していくのでありました。


そんな三成が居なくなった関ヶ原の中において

最後まで無傷のまま残った三成方は……。

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